グーグルの社内インキュベーターArea 120が一口サイズビデオで会話するチームコラボツールThreadItを発表

Google(グーグル)の社内スタートアップインキュベーターArea 120のチームによると、「ThreadIt」のアイデアは、新型コロナウイルスによって世界中の人々がリモートワークを必要とするようになるずっと前からあったという。もちろんパンデミックが起きたことで、この製品に対するチームの関心が高まったのは確かだ。

ThreadItのゼネラルマネージャー兼創業者であるKeller Smith(ケラー・スミス)氏は、TechCrunchにこう語った。「私たち誰もが、ものの見方を調整せねばなりませんでした。コロナ禍の前からその傾向は強まっていましたが、ご存知の通り、世界全体が一夜にして変わりました」。

ブラウザでアクセスできるサービスとChromeのプラグインとして米国時間3月18日に公開されたThreadItは、認識されている市場の穴を埋めようとする試みだ。ユーザーが短いビデオメッセージを録画できるこのシステムは、長時間のライブビデオ会議と短いテキストやメールの中間に位置している。

使い始める手順はとても簡単だ。ユーザーは:

  1. 自分が話しているところを録画する(最初に失敗しても録り直すことができる)
  2. そのビデオを選んだ同僚に送信する。

このアプリのインターフェイスは、他のGoogle製品の主要機能を参考にしている。例えば、受信者がビデオをどのように操作するかを決めるためのドロップダウンメニューがあり、ただ見るだけでなく、自分のクリップを追加することもできる。このアプリは、ショートビデオをスレッドとしてつなぎ、物事を時系列に整理して1つのビデオ会話にする。アプリを開発したチームは実際に一度も会ったことがないそうで、ThreadItをドッグフードしてきたという。

確かにこれは、時代のムードを映し出している。パンデミックが徐々に弱まった後も、多くの人々にとってリモートワークはリアリティーであり続けるだろう。そしてもちろん、ショートビデオクリップは再びブームになっている。短い情報ビデオを作ったり見たりするのをよりストレートなアプローチにした、仕事用のTikTokかVineと思えばいいかもしれない。

「ちょっとした構造を加えて、作品を分割し一口サイズにして見せられるようにすることで、より短いメッセージで、よりポイントを押さえたものになることがわかりました」とスミス氏はいう。「それが、今日のビデオ(アプリ市場)に見られた一つのギャップでした」。

米国時間3月18日からアクセス可能になった同アプリは、Area 120の慣例に従い、パブリックベータモードとなっている。チームはこれからフィードバックを集めてアプリへの関心をくみ取り、プロジェクトを継続する価値があるかどうかを確認する。これまでにArea 120から卒業したサービスには、コード教育ツールであるGrasshopperや、旅行アプリのTouring Birdなどがある。

つまりこのプロジェクトは、まだ初期段階にあるということだ。そのため、望んでいた機能がまだ実現されていないことも多々あるだろう。例えば筆者の場合、今年初めに健康上の問題で話すことが難しくなったため、カメラに映ることができない、あるいは映りたくない人のために、直接テキストで返信する機能が欲しいと思った。

Googleのプロダクティビティアプリとの連携を深めることもおそらく理にかなっているが、アプリを成長させるためには、どれだけスタンドアローンにするかを決めることも重要ではないだろうか。例えば、Gmailとの連携を強化するのは良いことだが、Gmailが提供していない機能を増強するアプリであるならば、そのプラットフォームに依存する状況は避けたいものだ。

このサービスは現在、スマートフォンではモバイルChromeブラウザを介してアクセスできるが、将来的にはスタンドアローンのアプリも必要になるだろう。「それは今後の課題として検討したいと思っています」とスミス氏はいう。「関心や反応を見て、そこからさらに深く掘り下げることができるという好例ですね」。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Google ビデオチャット

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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