グーグルのArea 120、デジタルクリエイター向けウェブストアフロントを提供するサービス「Qaya」を開始

米国時間12月15日、GoogleのチームがQayaという名前の新しいサービスを立ち上げた。クリエイターはこのサービスを使ってウェブ上に店舗をオープンし、自分のプロダクトやサービスをオーディエンスに直接販売することができる。Area 120は、初期のプロジェクトの多くがGoogleのCloud、Search、Shopping、Commerceなどの部門に移管されたことを受け、地位を昇格させた会社の大規模な再編成の一環となる。

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新プロジェクトQayaは、Area 120の社内創業者であるNathaniel Naddaff-Hafrey(ナサニエル・ナダフ-ハフリー)氏らが共同で創業した。ナダフ-ハフリー氏は以前、求人のマーケットプレイスKormoに在籍し、インドやインドネシア、バングラデシュなどのいわゆる「次の10億人の」インターネットユーザーを狙っていた。

彼は何十人ものクリエイターから話を聞き、デジタルビジネスの構築は時間ばかりかかってたいへんであることを理解し、そこから、彼らがファンに直接販売できるサービスとしてQayaを考えた。Qayaのチームにも数名のクリエイターが在籍しており、既存のクリエイターツールを使った体験を貴重なものとしてQayaに持ち込んだ。彼らは自分の体験と他のクリエイターたちの話から、クリエイターが自分の作品でお金を稼ぎ、自分のファンともっと良好な関係を築ける、ワンストップショップのような、柔軟性に富んだノーコードのプロダクトへの需要があることを知った。

Qayaのソリューションでは、クリエイターが自らの店をウェブ上に開き、プロダクトやサービス、その他のダウンロード可能なデジタル作品を並べて販売する。そこには、彼らのYouTube Merch Shelfのリンクがあってもよいし、Google検索やGoogleショッピングを統合することができる。写真やファイル、eブック、デジタルアート、写真のフィルターやプリセット、各種の仕事の生産性を高めるためのテンプレート、編み物のパターン、フィットネスのビデオなど、扱える作品にはほぼ制限はない。Googleによると、1つの店で最大1000のプロダクトを取り扱うことができる。

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また、デジタル作品ではないリアルのグッズや他のプラットフォーム上のサービスを売りたいクリエイターは、それらをQayaのページ上にフィーチャーでき、それらを自分のブランドにすることもできる。

各ストアは「qaya.store/●●●」という形の独自のカスタムURLを持つ。そしてそれを、LinktreeBeaconsなどが提供しているソーシャルメディア上のいわゆる「リンクインバイオ(プロフィール上のリンク)」の代わりに使ってもよい。

そうしたストアのサービスを利用するとクリエイターは、自分のさまざまなオンラインプレゼンスを指すマイクロウェブサイトを作ることができる。そこで、ソーシャルメディアのチャンネルとかショップ、ブログ、音楽やポッドキャストなどを紹介し、リンクを張ればよい。

この種のサービスの慣行に倣って、Qayaのストアでもページ最上部にある名前と自己紹介の下に、クリエイターは他のオンラインプロフィールのリンクも置ける。しかし、ストアの本来の目的は、クリエイターが販売したいと思うコンテンツにファンを直接コネクトすることだ。ファンをクリエイターのプロフィールやその他のサービスにコネクトする、単なるランディングページではない。

QayaにはGoogle Payが組み込まれており、サブスクリプションやチップ、都度払いなど、いろいろなタイプの収益化方法をサポートしている。また、Qayaはクリエイターの商品の売れ行きに関するインサイトや分析も提供する。

現在、このプロダクトは無料で使用でき、マネタイズはトランザクションベースで管理されている。つまり、クリエイターはQayaにアップロードして販売した商品から得られる収益の「大部分」は、クリエイターの手元に残るとGoogleはいう。

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Googleは現在、Qayaのベータに参加した一部のYouTubeクリエイターに、YouTube Merch Shelfの統合を進めている。同社によると、そのうちQaya でも、もっと広い範囲のプロダクトを販売できるようにするという。「その他のタイプのデジタルグッズ」も含まれるとのことで、おそらくそれはNFTのことだろう。Googleは、この話題について無視しているが。

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Googleによると、この新しいサービスは米国では本日からローンチし、他の国のユーザーはこれからとなる。Qayaのベータにアクセスしたいクリエイターは、Qayaのウェブサイトで招待状をリクエストできる。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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