ゲイツ財団の支援プロジェクトがシアトルで新型コロナ用家庭検査キット提供へ

Gates Foundation(ゲイツ財団)の支援するプロジェクトが、新型コロナウィルス COVID-19の自宅でできる検査キットを近々提供する。Seattle Times(シアトル・タイムズ)紙が伝えた

検査は鼻から検体を採取する方法によるもので、結果は2日以内に衛生当局に通知され、陽性の人にはそこから通知する。感染した人はオンライン質問に答えて自分の行動履歴を伝え、当局の担当者が検査や隔離の必要なその他の人たちに連絡できるようにするとシアトル・タイムズは伝えている。

「まだすべきことはたくさんあるが、これは大流行の状況を一変させる大きな可能性のひとつだ」とビル&メリンダ・ゲイツ財団のコロナウィルス対策責任者、Scott Dowell(スコット・ダウェル)氏がシアトル・タイムズに伝えた。

「プロジェクトの明確な日程は決まっておらず、財団は関連するソフトウェアのまとめと検査を申し込んだ人たちへの質問票の最終確認を行っているところだ。同氏によると、財団は1日当り最大400件の検査を行えると推測している。

家庭用検査キットの開発に早くから取り組んでいるのはゲイツ財団だけではない。米国時間3月7日のTwitterによると、医療関連の連続起業家であるJonathan Rothberg(ジョナサン・ロスバーグ)氏も 類似の取組みを発表しており、商品化に向けてメーカーと検討に入っているようだ。

低コストで製造の容易な家庭用コロナウィルス検査キットを検討している。概要:綿棒とフリーズドライの試薬を使ってCOVID19プライマーの等温DNA増幅を行う。iOSまたはAndroidアプリで比色分析を行い、位置情報およびHIPPA準拠の報告を行う

ワシントン州シアトル周辺は米国におけるコロナウィルス流行の中心となっている。州は米国時間3月7日現在でこの疾患による感染者71例、死者15名を確認している。少なくとも1名の医療専門家が、シアトルには600例以上の感染者がいるとコンピューター・モデリングに基づいて推測している。

「世界各地の状況を観測し作業してきた経験から、私たちにとって今最も重要なのは、コロナウィルス陽性の人たちを特定し、安全に隔離して治療するとともに、彼らと接触した人々を突き止め、検査、隔離できるようにすることだ」とDowell氏がシアトル・タイムズに話した。

家庭用検査キット開発のプロジェクトは、ワシントン大学の2年間にわたる研究から発展したもので、元はインフルエンザなどの疾病の流行を追跡するためだった、と同紙は報じている。

こうした取組みのために、これまでにゲイツ財団は約2000万ドル(約20億7000万円)の資金を投入してきた。財団はさらに、地域のコロナウィルス対策に500万ドル(約5億1700万円)の支援を行うことを約束している。検査と分析能力の拡大も目的のひとつだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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