ゲームエンジンのUnityが汎用クラウドシミュレーターを発表、クラウドアプリの過酷ななテストが可能に

ここ数年Unityは、ゲームデベロッパー以外の顧客にとっても不可欠な存在になると公言してきた。それ以来、評価額がうなぎのぼりだ。

Unityはリアルタイムのレンダリングが可能な3Dゲームエンジン。このプロダクトのより興味深いユースケースは、企業システムの仮想環境の中で行う訓練を助けることだった。ロボティクスのスタートアップや自動運転を研究している企業など、絶えず変化する状況に対して何度も何度もテストするような技術を作っている企業のワークフローの重要な一部となる。

米国時間9月24日、UnityはUniteカンファレンスで、このようなユースケース専用のプロダクトUnity Simulationを発表した。このプロダクトは現在非公開ベータだが、UnityとGoogle Cloudのパートナーシップにより、顧客が製品をクラウドに接続したハードウェアで動かした場合のシミュレーションを行う。

以前Uberで機械学習を指揮した、UnityのAI担当副社長を務めるDanny Lange(ダニー・ラング)氏は「Unityのリアルタイム3Dレンダリングの開発プラットホームと、クラウドのスケーラビリティおよび高い自由度を組み合わせたUnity Simulationで企業は、これまでより優れた安全で信頼性の高い製品の生産を加速できる」と語る。

例えば自動運転車の企業ならこれらのシミュレーションを使って、技術の限界をテストしたり、めったにない状況を車に体験させたりすることができる。ロボティクスの企業も同様に、まだ存在しない実機に対して仮想的なテストを実行できる。

大手企業はすでに、Unityのこのような使い方を実践しているが、それらは自社のハードウェアに限定されている。Unity SimulationはGoogle Cloudを使って複数のテストを並列的に動かし、中小企業でも仮想環境におけるテストができるようにしている。

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このプロダクトはゲーム以外の顧客にも訴求できると思われるが、ゲームスタジオを排除するわけではない。Unityのウェブサイトに載っている用例の中には、このサービスが何千ものゲームプレイの結果をシミュレートして、ゲームの難易度をデベロッパーが調整する例がある。マルチプレーヤーのゲームでは、新しいアイテムやパワーアップが特定のユーザーを強くしすぎないかテストできる。そしてもちろん、ゲームソフトウェアの安定性もテストできる。

Unityの発表は、このゲームテクノロジー企業にとってきわどい時期に行われた。同社は現職CEO John Riccitiello(ジョン・リッチチェロ氏に対する女性役員からのセクハラ提訴で動揺している。コペンハーゲンで行われたUniteカンファレンスでは、リッチチェロ氏は壇上でスピーチしたが、その提訴については語らなかった。

同社は最近、60億ドルの評価額で5億2500万ドルの資金調達を完了したことを公表した。来年IPOするとのもある。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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