コラボレーション型データサイエンス用ノートブック開発のためにDeepnoteが23.1億円調達

Jupyter(ジュピター)互換のノートブックの上に、データサイエンスのためのプラットフォームを構築しているスタートアップのDeepnote(ディープノート)が、米国時間1月31日、2000万ドル(約23億1000万円)のシリーズAラウンドを実施したことを発表した。ラウンドを共同で主導したのはIndex VenturesとAccelだが両社は2020年のシードラウンドにも参加していた。今回のラウンドには、既存の投資家であるY CombinatorとCredo Venturesも参加している。

Deepnoteの共同創業者のJakub Jurovych(ヤコブ・ジュロビッチ)CEOが語ってくれたように、Deepnoteは数年前に設立されて以来、当初のビジョンにほぼ忠実であり続けている。

ジュロビッチはいう「起業したときに、私たちはデータサイエンスと機械学習のバックグラウンドを持っていました。そのときの私たちは、データサイエンスの分野で何かを変えて行く必要があると確信していました。というのも、ありとあらゆるツールを試していたのですが、何を試してもコラボレーションがうまくいかなかったからです」。

すでにJupyterノートブックに精通していた共同創業者のJan Matas(ジャン・マタス)CTOと、デザイン部門責任者のFilip Stollar(フィリップ・ストーラー)を含むチームは、この既存のツールへの、コラボレーションのためのより簡単な方法の導入に着手した。

画像クレジット:Deepnote

多くの点で、Deepnoteは共有型データサイエンスノートブックの業界標準になっている。現在、ByteDance(バイトダンス)、Discord(ディスコード)、Gusto(ガスト)などの企業が同社のプラットフォームを使用している。データサイエンス市場は急速に成長しているにもかかわらず、人材の確保が困難であるため、チームは同社のツールを学生に提供することにも力を入れている。現在、世界のトップ100大学のうち80大学が、少なくとも一部の授業でDeepnoteを使用している。

「学生や教師が感じている痛みは、他の組織で見られるものとほとんど同じです。同様のコラボレーションへの要求があるのです」とジュロビッチ氏はいう。1人の教授がこのツールを使って何百人もの学生に課題を配布できるように、企業ユーザーは自分のノートブックをトップ役員を含む社内の誰とでも共有できるようになるのだ。実際、ジュロビッチ氏は、ノートブックというフォーマットは、技術者と非技術者の間のギャップを埋めることができると考えている。そのため、Deepnoteはデータサイエンティストをターゲットにしているものの、チームの目標の1つは(Jupyter規格との完全な互換性を保ちながら)ノートブックを使用する際の参入障壁を下げることだ。

画像クレジット:Deepnote

ジュロビッチ氏は「2年前には、Pythonの書き方を知らなければ、ノートブックから何の価値も引き出すことができませんでした」という。「それが今では、チームの技術者である誰かからリンクを受け取れば、そのあと視覚化を微調整することはとても簡単なことなのです。コメントを残したり、フィードバックを行うためには、高い技術は必要ありません」。

Deepnoteには無料プランが用意されている。有料のProプランは12ドル/月/ユーザーからだが、学生や教師は無料で利用できる。

リモートファースト企業のDeepnoteは、今回の資金調達により、製品の開発とデータサイエンスコミュニティでの足場拡大を図る。ジュロビッチ氏は今後12カ月の間にチームの規模を2倍の約50人にすることを計画している。

画像クレジット:Deepnote

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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