コロナ禍と「リベンジ旅行」がバーチャル旅行スタートアップ「Heygo」の資金調達を後押し

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が最も深刻だった時期は、旅行に行ける人はほとんどいなかった。これに対し、2021年と2022年は「リベンジ旅行」の年になると予測されてきた。人々がもっと旅行に行く、あるいは少なくとももっと計画を立てる年になるという予測だ。

その背景として、人々が純粋な興味から、あるいは実際の旅行の計画を立てることを目的としてバーチャル旅行ができるサイトの存在がある。Heygoのライブツアーでは、ツアーガイドが90以上の国からライブストリーミングを実施している。「旅行版のTwitch」のようなものだ。

コロナ禍で多くの人がこのサイトを知り、有用であると理解したのは間違いない。HeygoがシリーズAで2000万ドル(約23億1600万円)を調達したのだから。このラウンドを主導したのはNorthzoneで、他にLightspeed Venture Partners、Point 9 Capital、TQ Ventures、Ascensionも参加した。

Heygoはある種のクリエイターエコノミーを活用している。ガイドはお気に入りの場所やテーマを自分のライブチャンネルで世界中の視聴者に共有し、チップで稼ぐ。同社は、2022年1月の予約件数は前年同月比の300%増で、最近200万件の予約を達成したと説明している。

共同創業者でCEOのJohn Tertan(ジョン・タータン)氏は筆者に対し次のように述べた。「マチュピチュを歩き回る、ハノイで料理教室をする、飛行機をレンタルして火山の上を飛ぶなど、あらゆるコンテンツがあります。現実の世界をストリーミングして、地元の人たちが熱心に取り組んでいることについて話をしたり、さまざまな場所にいる人たちのストーリーを共有したりする場です」。

同氏の説明によれば、視聴者は無料で参加し、ストリーミングをしているガイドに質問して、チップを送る。プラットフォームはチップに対してレベニューシェアをとるが、大半はガイドに渡される。Heygoは室内専用のストリーミングアプリもちょうどリリースするところで、これはコロナ禍で急速に広がったAirbnbやAmazonのバーチャル「体験」とは違うものになるようだ。

NorthzoneのパートナーでHeygoの取締役となったMichiel Kotting(ミシェル・コッティング)氏は「Heygoは常に存在すべきだと感じるサービスを作り上げた、たぐいまれなケースです。ガイド付きのインタラクティブなストリーミングは絶大な人気を誇る旅行番組やドキュメンタリーのジャンルにおけるTwitchに相当し、自宅から没入型の世界旅行ができる新しいカテゴリーを創出しています」と述べた。

このラウンドには、Checkout創業者のGuillaume Pousaz(ギヨーム・ポサーズ)氏、Tier創業者のLawrence Leuschner(ローレンス・ロイシュナー)氏、Postmates創業者のBastian Lehmann(バスティアン・レーマン)氏、Github創業者のScott Chacon(スコット・チャコン)氏(SCNE Ventures経由で)、Songkick創業者のIan Hogarth(イアン・ホガース)氏、GoCardlessとNested創業者のMatt Robinson(マット・ロビンソン)氏、Juro創業者のRichard Mabey(リチャード・メイビー)氏などのエンジェルも参加した。このラウンドの結果、コッティング氏、Paul Murphy(ポール・マーフィー)氏、Kolja Hebenstreit(コルヤ・ヒーベンシュトライト)氏がHeygoの取締役となった。

画像クレジット:gmstockstudio / Shutterstock

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(文:Mike Butcher、翻訳:Kaori Koyama)

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TechCrunch Japan

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