コンテナ化アプリケーションの標準パッケージを作るHelmがKubernetesから乳離れして独立

Helmは、コンテナ化したアプリケーションのパッケージをデベロッパーが作って、そのインストールを大幅に単純化するための、オープンソースのプロジェクトだ。これまでは、人気の高いコンテナオーケストレーションツールKubernetesのサブプロジェクトだったが、今日(米国時間6/1)」からそれは、スタンドアローンのプロジェクトになる。

KubernetesとHelmはどちらも、Cloud Native Computing Foundation(CNCF)が管理するプロジェクトだ。CNCFのTechnical Oversight Committee(技術監督委員会)が今週初めに、このプロジェクトを承認した。CNCFの事務局長Dan Kohnによると、二つのプロジェクトは関連性が密なので、Helmをサブプロジェクトにすることは理にかなっていた。

“Helmの良いところは。それがKubernetesのアプリケーションであることだ。KubernetesがAPIでHelmはそのAPIにアクセスする。これをインストールするとKubernetesのAPIにもアクセスすることになり、コンテナやポッド(pod, コンテナの集まり)の操作はすべて、デベロッパーに代わってHelmがやってくれる”、とKohnは説明する。

Helmが一連の要求をまとめて面倒見てくれるから、コンテナ化アプリケーションのインストールを何度繰り返してもその一貫性/整合性は維持される。“HelmはアプリケーションをKubernetesへデプロイするときの共通のユーザーニーズをまとめて引き受け、それらの構成を再利用可能にする”、とGoogleとKubernetesの主席エンジニアBrian Grantが声明で説明している。

パッケージは“charts”(チャート)と呼ばれ、一つまたは複数のコンテナから成る。Kohnによると、たとえば、WordPressとMariaDBを単一のコンテナに収めたチャートをデプロイしたい、としよう。チャートを作ることによってそのインストールプロセスが定義され、そのクラスターではどの部分をどんな順序でインストールするかが決まる。

Kohnによると、今回Helmを単独のプログラムにしたのは、それがKubernetesのリリーススケジュールに従わない場合があるからだ。そこでスタンドアローンしておけば、Kubernetesの毎回のリリースに縛られずにすむ。

またそれによってコミュニティの利点も享受でき、コミュニティが一般的なインストールシナリオのためのチャートを作って提供できる。Helmの共同制作者でMicrosoftの主席エンジニアMatt Butcherは、声明中でこう述べている: “CNCFに参加したことによって、コミュニティの利点を享受でき、またデベロッパーのコミュニティが、ワークロードをKubernetesの上で動かすための既製のチャートの、広大なリポジトリを提供する利点もある”。

このプロジェクトのスポンサーはMicrosoftとGoogleのほかに、Codefresh, Bitnami, Ticketmaster, そしてCodecentricなどだ。プロジェクトのWebサイトによると、現在250名のデベロッパーがこのプロジェクトにコントリビューションしている。CNCFに加わったことによって、その数はさらに増えるだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。