コンテンツ連動型広告のGumGumが24億円調達、M&A戦略を追求へ

GumGum(ガムガム)は、既存投資家であるMorgan Stanley Expansion Capital、NEAからスピンアウトしたNewView Capital、Upfront Venturesから合計2200万ドル(約24億円)を調達したことを発表した。CEOのPhil Schraeder(フィル・シュレーダー)氏は、調達した資金で積極的な買収戦略を追求すると述べた。

今回のシリーズDは、同社がシリーズCで2600万ドル(約28億円)を調達してから5年近く経つ。シュレーダー氏は、同社の「コアビジネスは何年も黒字だ。今や当社が望む成長のスピードによって、収益性の『オンとオフ』を切り替えることができるようになった」と語った。

「過去、M&Aや買収を行ったことはないが、今後は取り組むことになる」と同氏は述べた。「当社は、驚異的で、強力な、収益性の高いバランスシート、チーム、市場での存在感を築き上げた。これらを加速、成長させたい」

シュレーダー氏はGumGumに10年近く在籍しており、財務担当副社長としてスタートした後、COO、CFO、社長を経験した。昨年、共同創業者のOphir Tanz(オフィール・タンツ)氏が歯科医業界に特化したスピンアウトのPearl(パール)の経営のために退任した後、シュレーダー氏がついにCEOに就任した。

米国カリフォルニア州サンタモニカを拠点とするGumGumは2008年の創業。チームは、画像コンテンツを識別し、画像にあわせて適切な広告を配信するコンピュータービジョンテクノロジーを開発した。

これはシュレーダー氏が言うコアビジネスであり、同社はこれを基盤にしてスポーツのスポンサーシップや動画広告などの新しい分野に進出するという。動画広告はSprint(スプリント)などのブランドですでにテストされており、今年第2四半期により広い範囲でリリースする予定だ。

同社は最近、Verity for Publishersも立ち上げた。これは、自然言語処理とコンピュータービジョンの両方を駆使してページのコンテンツを分析し、広告を掲載してもブランドを毀損しないページであること、広告主に関連したページであることを確認するものだ。

シュレーダー氏はここでも、GumGumが画像分析を基盤としていることにはなお重要性があると主張する。単純なキーワード検出では避けられないページがあるからだ。例えば、写真があれば「シュートする」という話題が暴力を伴う悲惨な事件における「銃撃」ではなくバスケットボールの「シュート」関するものであるとVerifyが判定できる。GumGumは、今年後半にVerity for Brandsという同様の広告主向けプロダクトも立ち上げる予定だ。

シュレーダー氏は、消費者を追跡対象とする方法として特にCookieの有用性が低下するにつれ、広告主にとってこの種のオンラインコンテンツの理解がますます重要になると主張している。

「ページのコンテンツを活用したより良いユーザー体験、広告の肯定的な見方を取り戻す統合的広告は、業界にとって有用なものになるはずだ」と同氏は述べた。

同社はまた、Lisa Licht(リサ・リヒト)氏を取締役に任命したことを発表した。リヒト氏は、以前はLive Nation EntertainmentのCMOを務め、現在はAllBright、Illumination Animation、Metrograph、Exploding Kittenをクライアントに抱えるコンサルタント会社を経営している。

「今がGumGumを支援する理想的なタイミングだと思う」とリヒト氏は声明で述べた。「同社は前年比成長率で市場を上回っており、収益性も維持している。デジタルコンテンツ連動広告は今、明らかに転機を迎えている。GumGumにはすでに十分な優位性があり、同社のビジネス全体の成功に貢献し、この分野でのリード拡大を支援できることを楽しみにしている」

画像クレジット:GumGum

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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