サイケデリック療法とテックが融合したメンタルヘルスソリューションのNUE Life Health

NUE Life Healthは、サイケデリックセラピーなどの治療法と、グラフデータベース駆動型アプリを組み合わせた「次世代のメンタルウェルネスソリューション」を開発している米国の遠隔医療スタートアップだ。

マイアミを拠点とするこのスタートアップは、Jack Abraham(ジャック・アブラハム)氏(Atomic Ventures、Hims)、Shervin Pishevar(シャービン・ピシェバー)氏(元Sherpa Ventures、UBER)、Martin Varsavsky(マーティン・バーサフスキー)氏(Prelude Fertility、Overture)、Jon Oringer(ジョン・オリンジャー)氏(Shutterstock、Pareto Holdings)、James Bailey(ジェームス・ベイリー)氏(Multidisciplinary Assoc. for Psychedelic Studiesのキャップストーン・サポーター)、Christina Getty(クリスティーナ・ゲティ)氏などの投資家から出資を受け、330万ドル(約3億6000万円)のシードラウンドを実施した。上述の投資家は全員が、最近シリコンバレーからマイアミへ移住したグループの一員だ。

NUE Life Healthは現在、カリフォルニア州、テキサス州、フロリダ州で事業を展開しており、今後は全米に拡大する予定だ。このプラットフォームでは、市場で最も即効性のある抗うつ剤とされるケタミン療法を自宅で行い、音楽療法やデータ主導のアプローチと組み合わせて提供する。

NUE Lifeによると、ボルチモアのジョンズ・ホプキンス大学やインペリアル・カレッジ・ロンドンで行われたMDMAとシロシビンを用いた心理療法に関する研究では、これらが精神疾患の治療において「安全な代替法」であることを示しているようだという。

NUE LifeのCEOであるJuan Pablo Cappello(フアン・パブロ・カッペロ)氏は次のように述べている。「当社は、ケタミン療法やサイケデリック療法を単に変化のためのカタリストとしてとらえています。患者さんのリセットを支援することは重要ですが、NUE Lifeでは、サイケデリック療法の効果が薄れた後も、メンバーがデジタルプラットフォームを通じてコミュニティやつながりを見つけることができるよう支援していきます」。

NUE Life Healthのデジタルプラットフォームは「ナレッジグラフとAIを活用して、患者さんのケアを総合的に考え、エビデンスに基づいた個別の治療法を提供します」と、共同設立者兼CTOのDemian Bellumio(デミアン・ベルミオ)氏は述べている。同社のエンタープライズHIPPA準拠のヘルスプラットフォームは、2021年の晩夏にサービス開始を予定している。

NUE Life Healthの共同設立者であり、投資家でもあるクリスティーナ・ゲティ氏はこう語った。「米国では女性の5人に1人が抗うつ剤に頼って1日を過ごしており、1日に22人の退役軍人が自殺で亡くなっていることを考えると、これまでとは異なる種類のメンタルウェルネス企業を立ち上げなければならないと思いました」。

NUE Lifeは、MindMedやATAIなどのサイケデリック医療のプレイヤーが上場を果たしている中で登場した。

ベルミオ氏の説明によるとこのプラットフォームは、患者の詳細な「ナレッジグラフ」を作成する。これにより、統合精神医学と呼ばれるアプローチを用いて、患者のメンタルヘルス状態を診断・治療するために、患者を全体的に理解することができる。そしてAIアルゴリズムを導入し、どの治療法を使うべきか、どのサプリメントを飲むべきか、治療中にどの音楽を聴くべきかなど、パーソナライズされた提案を行う。独自の音楽ストリーミングサービスも、このサービスの一部となる予定だ。

ベルミオ氏はかつて、Accenture(Knowledge Graph Center of Excellenceを2年間運営)やNEORISに在籍していた際に、グラフデータベースに取り組んでいた。この手法は、United Healthcare(ユナイテッドヘルス・グループ)の「Connected Healthcare」プラットフォームでも採用されている。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:NUE Life Health遠隔医療メンタルヘルスマイアミ資金調達

画像クレジット:NUE Life Health app

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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