サイバーセキュリティのZeroFoxがダークウェブ脅威インテリジェンスのVigilanteを買収

企業がソーシャルメディアやデジタルチャンネルに潜むリスクを検知するのをサポートするサイバーセキュリティのスタートアップZeroFox(ゼロフォックス)が、ダークウェブ脅威インテリジェンス会社のVigilante(ヴィジランテ)を買収したと発表した。

物議を醸している犯罪レポーティングアプリと勘違いしないで欲しいのだが、Vigilanteはサイバー攻撃から組織を守るのに役立つ情報を仕入れるためにダークウェブを調査している。買収取引の条件は明らかにされなかったが「業界で最も堅牢な」ダークウェブインテリジェンスソリューションを構築するために、ZeroFoxが専門家とアナリストで構成されるVigilanteのグローバルチームを引き継ぐ。

Vigilanteの数十年前に開発されたダークウェブ監視ツールをベースに、共同のソリューションは危険にさらされたクレデンシャルとボットネットにかかるリスクインテリジェンス、感染して脆弱なホストに関するネットワークインテリジェンス、そして脅威アクターとセキュリティ侵害インジケーター(IoC)についてのインテリジェンスを提供するために2社のデータセットを組み合わせる。ZeroFoxのAI処理能力を取り込んだプロダクトはまた、ボットネット曝露モニタリング、脅威モニタリング、そして特定の顧客向けの調査と脅威アクターエンゲージメントや資産回復のインシデントレスポンスも提供する。

「別の方法ではアクセスできないデータセット、研究者や専門家で構成されるチーム、ZeroFoxのスケールと人工知能の組み合わせで、説得力あるダークウェブインテリジェンスサービスを提供します」とVigilanteの共同創業者Mike Kirschner(マイク・キルシュナー)氏は述べた。

これまでよりも広範に組織をサポートすると2社がうたう今回の買収は、ダークウェブでの犯罪行為が激増している中でのものだ。こうした傾向は最近の調査で明らかになっている。パンデミックによってサイバー犯罪が増加し、2020年の情報漏洩件数は2019年から141%増の370億件超となり、ランサムウェアは100%増えた、とRisk Based Securityは情報漏洩に関する年次レポートで指摘した。

「ダークウェブと地下犯罪組織は現代の脅威インテリジェンスプログラムの重要な要件です」とZeroFoxのCEOであるJames C. Foster(ジェームズ・C・フォスター)氏は述べた。「当社の顧客は違法な経済活動について、そしてボットがどのように攻撃しているのか、あるいは顧客のクレデンシャルやクレジットカード、個人を特定できる情報、その他の情報が違法な経済活動の中で取引され得るのかについて把握する手法を必要としていて、また新たな戦術や搾取、脆弱性を理解する必要もあります」。

フォスター氏はVigilanteの買収により、顧客の情報を保護するのに役立つダークウェブインテリジェンス収集能力の「スケールと網羅性」が増す、と話した。

ZeroFoxは2020年2月、Intel CapitalがリードしたシリーズDラウンドで7400万ドル(約82億円)を調達し、この資金をグローバルでの事業拡大とプロダクト戦略を加速させるのに使うと発表している。この発表の前の2017年に同社は Redline Capital ManagementとSilver Lake WatermanがリードしたシリーズCで4000万ドル(約44億円)を調達した

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:ZeroFoxダークウェブ買収

画像クレジット:Dmetsov / Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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