サイバーセキュリティMcAfeeを投資家コンソーシアムが1.59兆円で買収

サイバーセキュリティソフトウェア会社McAfee(マカフィー)の長く曲がりくねった歴史は、新たに興味深い展開を見せた。米国時間11月8日、6つの投資会社からなる投資家コンソーシアムが140億ドル(約1兆5850億円)で同社を買収すると発表した。

この買収額は、1株あたり26ドル(約2945円)という株価に基づくもので、11月4日の終値に対して22.6%のプレミアムがついているという。なお、11月5日の株価は20%上昇し、同日の取引終了時点での時価総額は110億ドル(約1兆2460億円)をわずかに超えたというのも注目に値する。

このコンソーシアムは、Advent International、Permira Advisers、Crosspoint Capital Partners、カナダ年金制度投資委員会、GIC Private Limited、アブダビ投資庁の完全子会社で構成されている。AdventとPermiraが買収を主導した。

McAfeeは1987年以来、さまざまな形で存在してきた消費者向けセキュリティ企業だ。同社は2021年初め、法人部門をSymphony Technology Groupに40億ドル(約4531億円)で売却した

McAfeeは長い歴史を持っているが、消費者向けセキュリティ事業はまだ成長している。11月8日発表された直近の四半期決算では、売上高は前年同期比24%増の4億9100万ドル(約556億円)、新規加入者数は64万人だった。加入者合計は2000万人を超え、これはものすごい数字であり、投資家グループが注目せずにはいられないものだ。

Permiraのテクノロジー部門共同責任者であるBrian Ruder(ブライアン・ルーダー)氏は、消費者市場においてセキュリティが大きな関心事となっている中で の今回の買収だと指摘した。「パーソナライズされた、革新的で直感的なオンライン保護サービスに対するニーズはかつてないほど高まっています」と声明で述べた。また、PermiraはMcAfeeのブランド認知度、パートナーネットワーク、忠実な顧客基盤にも好感を持ったと付け加えた。ルーダー氏は、PermiraがMcAfeeのような企業と協力してきた経験を活かし、これらのポジティブな特徴を生かして、さらに会社を成長させることができると考えている。

投資家グループの各社は、それぞれ資金と経営資源を提供する予定だ。それがどのように機能するのかは完全には明らかになっていない。McAfeeが多くのボスを持つことになるのは確かだ。McAfeeが今回の契約に「ゴー・ショップ」条項を組み込んだことは注目に値する。これは、より良い価格を模索するために45日間の猶予を与えるという、かなり一般的な慣行だ。そのような結果になる可能性は低いものの、この条項は、会社が株主のために最善の取引をしたことを株主に証明するものだ。

3月の法人部門売却の際にも書いたが、McAfeeには複雑な歴史があり、上場と非上場を行き来し、一時は社名まで変更した。

同社の歴史は複雑で、1980年代にファイアウォールソフトウェアの販売から始まった。最終的には株式を公開したが、2010年にインテルに77億ドル(約8722億円)で買収され、再び非公開になった。2014年にはIntel Securityに社名を変更したが、2017年にIntelが42億ドル(約4757億円)でTPGに株式の過半数を売却し、社名をMcAfeeに戻した。

今回の買収はMcAfeeの株主やさまざまな規制当局の審査を通過しなければならないが、これらのハードルをクリアできれば、2022年前半には買収が完了する見込みだ。買収のニュースを受けて、同社の今朝の株価は0.57%上昇した。

画像クレジット:Justin Sullivan / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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