ジラフがスマホの即時買取サービスから撤退——虚偽申込などがネックに、通常の買取形式へ移行

スマホ端末のフリマサイト「スマホのマーケット」内で、即時買取サービス「スママDASH」を2018年1月から始めていたジラフ。同社は4月26日、スママDASHのビジネスモデルを転換したことを明らかにした。今回の変更により即時買取から撤退し、物品の送付後、確定した金額を振り込む通常の買取形式でサービスを提供する。

虚偽申込の多さや商材との相性を踏まえて撤退へ

買取価格の査定申込後、与信審査などもなく即座に商品を売却できることで昨年広がった即時買取モデル。ただその一方で実際に査定金額を振り込んだもののユーザーから商品が送られてこない虚偽申込など、事業者側にリスクもある。

スママDASHの場合は、この「虚偽申込の多さ」に加えて「スマホ端末という商材の特性」上、このビジネスモデルがあまりマッチしなかったという2点が撤退に要因となったようだ。

ジラフによるとスママDASHにて買取、査定金額の振込を済ませたスマホ端末が送られてこないケースが頻発。最も高い時では80%が虚偽申込だったという。特に買取単価が2万円を超える端末において虚偽申込率が高く、買取未着荷リスクを回避するために買取価格を想定以上に下げざるを得ない状況だった。その影響で善良なユーザーとも価格面でマッチせず、期待に沿えなくなっていたという。

またスマホ端末は単価が高いため、買取価格も高価格になるという認識がある。そのため安価で即時買取されるよりも、一定時間待ってもより高い金額で売却したいユーザーが多かったというのがジラフの見解だ。

加えてスママDASHではスマホ端末のみに特化していたことで、基本的に1人のユーザーが何度も売ることがない。2回目以降に信用が蓄積され、段階的に買取価格を上げていくサービス設計も実現できていなかったという。

高額買取モデルへ転換しサービス継続

このような背景もあり、ジラフではスママDASHの設計を変更。ユーザーはアプリから仮査定をした後に端末を送り、本査定後に金額を受け取る仕様になった。商品の送料や振込手数料、キャンセルの場合の返送料などは全て無料だ。

ジラフ代表取締役の麻生輝明氏の話では、もともと2018年3月から1つのオプションとして通常買取形式の「スママDASHプラス」というサービスを提供していたそうだ。これは上述したような「待ってもいいから少しでも高く売りたい」ユーザー向けの機能。実績も出ており、同社が展開する既存サービスを活かすことで高額買取を実現できる判断し、今回の決断に至った。

「(ジラフが展開する)『ヒカカク!』から送客をしているため、広告費など集客コストを抑えられているので、買取価格を高めにしても利益を出せる状況を作れる。ここにスマホのマーケットというC向けのマーケットプレイスによる再販力を利用すれば、高額買取が実現できると考えた」(麻生氏)

合わせてスマホのマーケットにてフリマ形式で出品したものの売れ残ってしまった場合、スママDASHで高額買取をする仕組みも同時に開始する。

「売れ残っている出品であると運営側で判断した際に、買取のオプションをメッセージで連絡する。(一般的なフリマアプリやオークションサイトのように)売れ残らず、さらに言うと相場が下がっていってしまう前に売ってしまう、ということを実現したい。再出品するコストや他のサービスでまた見積もりを出する手間も省ける。近日中にきちんとした機能として実装する予定だ」(麻生氏)

なおジラフでは3月にMacBookの即時買取サービス「パソダッシュ」をリリースしていた。こちらについては現在ノートパソコン全体に範囲を広げていて、引き続き即時買取モデルで継続していくという。

 

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TechCrunch Japan

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