シボレー・シルバラードがついにEV化、2023年に生産開始

General Motors(ゼネラルモーターズ)は、Chevrolet Silverado(シボレー・シルバラード)のEVを発表した。航続距離は400マイル(約644キロメートル)、最高出力は664HP(馬力)、ベーシックなワークトラック版の価格は3万9900ドル(約462万円)からだ。フル装備で4輪駆動のRSTファーストエディションは10万5000ドル(約1218万円)となっている。どちらも2023年に生産ラインに載る予定だ。待てない方は、少し高価なGMC Hummer EV(GMCハマーEV)の列に並ぼう。ほぼ同じクルマだ。

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General MotorsのCEO、Mary Barra(メアリー・バーラ)氏は米国時間1月5日、CES 2022のバーチャル基調講演でこのクルマを発表した。同社は、Ford F-150 Lightning(フォード・F-150ライトニング)に対するChevy(シボレー)の答えの他に、複数の大衆向け電気自動車を発表した。また、2020年代半ばまでに個人向け自動運転車を販売する計画も発表した。

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Silverado EVは、Hummer EV、Sierra Denali(シエラ・デナリ)に続き、General Motorsが発表した3台目のEVピックアップトラックだ。同社はデナリのティーザー広告を2021年12月に発表したばかりで、それについてはほどんど何もわかっていない。しかし、Silveradoは、印象的なHummer EVと部品の大部分を共有しているようだ。Silverado EVが「付け足し」だと勘違いしないで欲しい。Silverado EVは、この3つの中で最も重要だ。Chevy Silveradoは長い間、主力製品であるFord F-150ピックアップの主要な競争相手だった。

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発売時に用意されるのは、3万9900ドル(約462万円)のWork Truck(ワークトラック、WT)エディションと、フルスペックのRSTファーストエディション(約1218万円)の2種類。どちらも航続距離は400マイル(約644キロメートル)とされている。装備品を含めると、最終的には、5万〜8万ドル(約580万〜930万円)の価格帯になりそうだ。

Silverado RSTファーストエディションは、多くの技術的な改良が施されている。Hummer EVと同じ4輪駆動と適応性のあるエアサスペンションを使用している。中央には17インチの巨大な液晶画面、運転席には11インチの画面と巨大なHUD(ヘッドアップディスプレイ)が備わっている。このエディションには、Chevyのアドバンストトレーラリングシステムも搭載されている。

3万9900ドル(約462万円)のWork Truckエディションについて、公表された情報はより少ない。パワーはより小さく、510HP(馬力)、トルクは615ポンド・フィートだ。RSTエディションは664HP(馬力)、トルクは780ポンド・フィート。また、牽引力は8000ポンド[約3600キログラム](RSTエディションの1万ポンド[4500キログラム]より小さい)。インテリアも大きく変わり、ダッシュボードには10万5000ドル(約1218万円)のRSTモデルに搭載されている巨大な液晶ディスプレイがないのが特徴だ。

また、RSTエディションは、キャビンとベッドの間に取り外し可能なパネルがあるため、収納容量が大きい。また、センターコンソールも大きくなり、ルーフも固定ガラスになった。

WTとRSTエディションは、公共のDC急速充電ステーション対応機能(350キロワット)を備え、10分で100マイル(約161キロメートル)の航続距離が得られる。Silverado EVは、Ford Lightningと同様に110ボルトの発電機として機能するが、Chevyの最大出力は10.2キロワットで、Fordの9.6キロワットを上回る。

ChevyとFordの間には歴史がある。両社は長い間、互いの開発を追いかけてきた。2021年5月にFord F-150 Lightningを発表した際には、FordがChevyに数カ月先行した。それ以来、Fordに予約が殺到した。同社は今週初め、生産を倍増し、2023年半ばまでに年間15万台の生産を達成すると発表した。

General Motorsは米国時間1月5日、3万9900ドル(約462万円)のChevy Silverado Work Truckの生産を2023年春に開始する意向だと発表した。さらに、RSTファーストエディションは2023年秋から生産する。最終的には、同日プレビューされたオフロードをテーマにしたTrail Bossエディションなど、Chevyはより多くのモデルを市場に投入する見込みだ。

Ford F-150 LightningとChevrolet Silverado EVは、初めて根本的に異なる車種となった。これらは、それぞれ異なるアプローチをとった。Ford F-150 Lightningは、伝統的なボディオンフレーム・プラットフォームを採用している。これは、現在のFord F-150 LightningやChevy Silveradoなど、ピックアップ市場で採用されているものと同じアレンジだ。しかし、General Motorsは、ボディとフレームを一体化したユニボディを採用。Tesla(テスラ)のCybertruck(サイバートラック)にも採用されている構造だ。この構造により、剛性は向上するが、牽引力と積載力が犠牲になることが多い。

電動ピックアップトラック市場は急速に拡大している。Silveradoは一部の競合他社よりも遅れて市場に投入される予定だ。SilveradoのいとこであるHummer EVは生産中であり、一部の顧客には納車が始まっている。Rivian(リヴィアン)も同様で、最初のピックアップトラックであるR1Tの生産を開始した。2021年12月に予約したピックアップトラックを受け取った顧客もいる。

TeslaのCybertruckは、わかっていないことが多い。Elon Musk(イーロン・マスク)氏は2019年11月、このワイルドなピックアップを発表したが、多くの詳細がまだ明らかにされていない。Teslaのウェブサイトからは、生産予定時期が削除された。市場では、サイバートラックがまだ開発中であることはほぼ一致しているが、時期は不明だ。

General MotorsのEVへのアプローチは広がりつつある。2008年の自動車メーカー救済の暗黒時代に、Chevy Voltでスタートした。次に、2017年にChevy Boltで初の量産型EVを生産した。そして、新型コロナウイルスの数週間前の2020年3月4日、CEOのバーラ氏は、次世代EVプラットフォーム「Ultium(アルティウム)」を発表した。その後、チップ不足や世界的なパンデミックにもかかわらず、Hummer EV、GMC Sierra Denali、Cadillac Lyriq(キャデラック・リリーク)、シボレー・シルバラード、Chevrolet Blazer EV(シボレー・ブレイザーEV)、Chevrolet Equinox(シボレー・エクイノックス)を発表した。

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(文:Matt Burns、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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