ショーン・パーカーのがん研究所、治療の有効性がわかる血液検査法を発見か

ITビリオネアSean Parkerが設立したパーカーがん免疫療法研究所の協力を得た科学者チームは、腫瘍内のPD-1(プログラム細胞死タンパク質-1)経路を標的とする治療が、メラノーマ(悪性黒色腫)患者に有効かどうかを単純な血液検査で判定する方法を発見したと、科学論文誌Natureで発表した。

元FacebookプレジデントのParkerは、自分の名前を冠した研究所を設立し、米国内の様々なトップレベルの研究大学から数百人の一流科学者を集めて最先端免疫治療を使ってがんと戦う連合組織を結成するために、30億ドルの資産の中から2.5億ドルを投入した。

この発見は病気を治癒するものではないが、Parkerの研究所の動向を見守る人たちにとって意義は大きい。Parker Instituteの業績が主要科学雑誌に載るのはこれが初めてであり、研究者と大学が一体となって病気の治療にあたる同研究所の方法の今後が期待される。

ペンシルべニア大学とメモリアル・スローンケタリングがんセンターの研究者が、プロジェクトで初めて共同作業を行った(ただし、発見の説明は微妙に異なっている)。彼らは血液バイオマーカーの値と突然変異荷重(全身腫瘍組織量)を比較することで、がん患者が治療に応答するかどうかを判定できることを発見した。

詳しい仕組みは専門外の人間には少々難しいが、興味があればNature誌の論文を読むことをお薦めする。

なおこうした取り組みは、シリコンバレーなどで数多く行われている人間の苦しみを取り除く試みのひとつにすぎない。Illuminaからスピンアウトしたバイオ技術会社のGrailも、血液検査でがんを検出する長期プロジェクトに取り組んでいる。Alphabetの生命科学子会社、Verilもこの分野でいくつかプロジェクトを立ち上げた。スタートレックを思わせる診断装置のTricorderは、体内のがんが転移する前にいち早く検知することができる。

IT業界で際立った存在であるParkerは、大規模な共同研究に必要な費用と人材を提供している。これは彼のビジョンが具体化するかもしれない最初の希望の光だ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。