シリコンバレーの偉大なメンター、ビル・キャンベルが逝去。愛情あふれる追悼文が寄せられる

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フットボールの古い諺がある。「重要なのは注ぎ込んだ時間ではなく、その時間に何を注ぎ込んだかだ」。

ビル・キャンベル ― 誰からも畏敬された元コロンビア大学アメリカンフットボール
部コーチは、1990年代にIntuitのCEOを4年間務め、今年1月まで会長だった。彼は数多くの起業家たちに魔法を注ぎ込んだに違いない。

その大勢が今日悲しみにくれている。ビル・キャンベルは今日(米国時間4/18)、75歳で逝去した。家族によると死因はがんだった。

今日、起業家・投資家のBen Horowitzは、多くのファウンダーがキャンベルとの関係を表現しようとしたことを受け止めたかのような文章を書いた。「人生で苦闘に直面したときには必ず、ビルに電話をかけた。かけたのは彼が何か不可能な質問の答えを持っているからではない。かけたのは彼が私の感じていることを100%理解してくれるからだった。彼は私を理解してくれた。ビルのようにそれができる人を他に誰も知らない。どんな時でも私を理解してくれる人物。100回は電話をかけたに違いない。彼なら私の気持ちを感じてくれるとわかっていたから」

気持ちは広く伝わった。ペンシルバニア州生まれのキャンベルは、長年にわたり地元の学区に 2000万ドル近くを寄付し、後にカリフォルニア州アサートンのSacred Heart Schoolで中学2年生を指導した。彼はシリコンバレーの優れた人々の「コーチ」として知られていた。

その中には、Alphabet会長のEric Schmidt(キャンベルをGoogleの取締役に何年も誘い続けたが失敗した)やAppleの共同ファウンダー、スティーブ・ジョブズのように人より幸運な人たちもいる。

2014年のFortune誌のインタビューによると、ジョブズとキャンベルはパロアルトの近所同志で、ジョブズはしばしばキャンベル家を訪ね、ドアをノックしたり、バックヤードのプールサイドに座ったりしていた。1997年のApple復帰後すぐ、ジョブズが「ある日やってきて、プールサイドのベンチにふたりで腰かけた」とキャンベルはFortuneに語った。「そして彼はこう言った、『Appleの取締役になってくれないか』と」。

キャンベルはこう付け加えた。「あんな切迫感は、コロンビア大学の理事を依頼された時以来だった。私はためらうことなく言った。『もちろん』」

Forutuneの2008年の記事でキャンベルはジョブズについて、「彼には非常に人間的なところがある」と言った。

Appleは今日本誌に送った声明の中で、キャンベルについてこう書いている。「Appleの多くの人々にとってコーチであり、メンターであり、何十年にもわたって幹部としてわれわれ家族の一員であり、アドバイザーであり、最終的には取締役だった。彼は他の人が信じない時にAppleを信じた、良い時にも悪い時にも。彼がわが社に与えた貢献は言い尽せない。彼の英知、友情、ユーモア、そして人生への愛を忘れることはできない」

Eric Schmidtはキャンベルへの賛辞の中でこう書いている。「ビル・キャンベル。われわれの非常に親しい友人が今日午前に亡くなった。巨大なハートの持ち主で、会う人全員を抱きしめ、メンターを越えた存在だった。われわれがGoogleを作るのを数え切れない方法で手伝い、成功をもたらした。われわれは彼を外部コーチとしてスタートしたが、すぐに彼は経営のエキスパートになった。スタッフミーティングに参加し、幹部と会い、会社のリーダーたちと長い時間を過ごした。取締役会設立を手伝い、会社のカルチャー構築にも手を貸してくれた。わが社のファウンダーたちとは非常に密接にあらゆる方法で共に仕事をした」

「Google、そして今のAlphabetの成功に対する彼の貢献は計りしれない。彼の遺産は全員の顔に彼がつくった笑願と、彼がコーチしたシリコンバレーの偉大なリーダーたちだ。ビルは真に才能ある人物であり、世界は今日、偉大なリーダーを失った。」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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