シリコンバレー最強アクセラレーターのY Combinatorがデモデー開催、初日44社を一挙紹介

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農業ドローン、自律型セキュリティーガードに次世代タンポン。Y Combinatorのスタートアップ・アクセラレータが開催する夏季2016年デモデー初日に多彩なスタートアップが登場した。この記事には全44社の概要を掲載した。TechCrunchが選ぶ「YCデモデー初日の注目スタートアップ7社」(英語)と、デモデー2日目に登場した残りのスタートアップ48社は「配送ロボットからフィンテックまで、Y Combinatorデモデー2日目の48社を紹介」に別記事として掲載した。

YCの海外に幅を広げる施策が功を奏しているようだ。今回のバッチに含まれるスタートアップの30%はアメリカ国外の企業だ。アメリカのスタートアップを真似たサービスもあるが、多くは古典的な問題に新たなアプローチを試みている。

Sam Altman Y Combinator

YC会長 Sam Altman

今日登場したスタートアップは、コンシューマー向け、開発ツール、セキュリティー、ハードウェア、マーケットプレース、非営利団体が中心だった。明日は法人向け、B2B、バイオテック、エドテック、フィンテックといったテーマを中心とするスタートアップが登場する。

投資家の反応は様々だった。心底感心するスタートアップがあったと言う人もいた。ただ大半の投資家は、過去のYCから生まれたサクセスストーリーは、デモデーで見出すことが困難だったと話す。なのでこのバッチの質は、あと数年経ってみないと分からないだろう。

1つ、デモデーに大きなイノベーションがあった。会場でDobletのポータブル充電器を提供していたので、投資家はスマホが死ぬのを心配したり、TechCrunchのメンバーみたいに電源の周りに集まったりしなくてすむようになった。

今日、発表したオフレコではない44社のスタートアップは以下の通りだ。

Joy – 結婚式を計画するためのソフトウェア
結婚式のプランニングは当事者の心かき乱すことがある。Joyは、婚約からハネムーンまでの間に発生する全てのイベントのプランを立てるのを助けるカップルのためのツールだ。Joyの一連の結婚式プランニングのソフトウェアは、ここ数ヶ月で大幅な成長を見せた。結婚式の招待状管理からグストの状況確認まで、計画通りに物事を進めるため、幸せに満ちた約150組が毎日サービスに登録している。Joyは今後、140億ドルのウエディングギフト市場に参入する方法を探している。Joyはウエディングギフト市場に健全なコミッションを得る潜在的な可能性があるとみている。Joyは、ウエディングプランナーがベンダーに予約し、新郎新婦に最適な価格を提供するのではなく、プランナーが大きな利益を得ているという捻れた常識をディスラプトすることができるかもしれない。

JoyのTechCrunch記事はこちら

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Flex – 次世代タンポン

女性が使うタンポンには過去80年間、ほとんどイノベーションが起きていない。Flexはタンポンの代替品を開発し、サブスクリプションモデルで提供する。Flexはすでに事前予約で7万ドル分を販売し、FDAの承認と特許申請を行った。Flexは女性が生理を気にせず、毎日の時間を最大限活かせるようにしたい考えだ。従来のタンポンでは性的な活動は難しい上、汚れやすく、感染症のリスクもある。Flexの使い捨て月経プロダクトは12時間着用することができ、 無侵襲で、つけ心地もよく、健康的だ。Flexはプロダクトを数週間内に出荷する予定だ。価格は月々20ドルで、Flexはプロダクトの70%を利益として得る。

FlexのTechCrunch記事はこちら

the flex company y combinator

JustRide – インド版Getaround
インドでは成人のたった6%しか車を保有していない。しかし、今後人口の多くが中流階級になるほど、より多くの人が運転することを望むようになるだろう。JustRideはピア・ツー・ピアの自動車レンタルのマーケットプレイスで、レンタル料の25%を利益として得る。ユーザーがJustRideで得られる月々500ドルという金額は、インドにおける月収と同じくらいの金額だ。ユーザーは効果的に収入を2倍にすることができる。スタートアップが所有しているIoTデバイスはドライブ状況、スピード狂のブラックリスト運転手を識別することができる。JustRideでは展開するたった3つの都市で、すでに7000回以上のレンタルが行われた。今後はインドの185億ドル規模の自動車レンタル市場を目指す。これはアメリカで展開しているGetaroundのクローンであるものの、インドの大きな市場には自国発の競合を賄う余力が十分にあるだろう。

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Exponent – モバイルアプリのUnity

モバイルで大きく賭けに出るアプリは、iOSとAndroidアプリのローンチだけに少ないリソースを集中投下し、成長が鈍化することがある。Exponentは、モバイル開発者がJavaScriptのコーディングのみでアプリのiOSとAndroid版を簡単に構築することができるようにする。無料のオープンソース・ソフトウェアはFacebook、Airbnb、Walmartといった企業が自社のネイティブアプリを構築するフレームワークであるReact Nativeを使用している。このサービスは、先週ベータ版をリリースしたばかりだ。初期のFacebookに参画し、Quoraの共同ファウンダーでもあるCharlie Cheeverが率いるExponentは、輝かしいメンバーを擁している。

Exponent YC

Airfordable – 旅行のための支払いプラン

世界中の誰もがビーチでミントの入ったカクテルを飲んでリラックスしたいときっと思っているが、誰もが旅費に当てられる余裕のある収入を得ているわけではない。Airfordableはクレジットカードの限度額や貯蓄が限定されている人でも旅行に行くことができるよう、支払いプランサービスを提供するために誕生した。旅行を予定している人がフライト予定をサービスにアップロードすると、最大3ヶ月かけて隔週ごとに支払う返済プランを作成する。完済した時にチケットが届けられる仕組みだ。Airfordableはすでに利益を上げていて、売り上げとして50万ドル分の予約を達成した。今後はホテルにも支払いプランの拡充を目指し、リソースを投入したい考えだ。同社は保険会社とパートナーシップを締結し、デフォルトリスクを回避している。月次で53%成長している。

AirfordableのTechCrunch記事はこちら

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GoGoGrandparent – 電話でライドシェア予約

高齢でもあっても自立的に行動したいと思う人は多い。しかし、多くのシニアはUberのようなスマホアプリを使いこなしているわけではない。そういったシニアはGoGoGrandparentに電話で配車を依頼すると、GoGoGrandparentがユーザーの代わりに既存の配車サービスに予約を行う。50%のマージンを得るGoGoGrandparentは、週次で12%の成長があり、21%の新規ユーザーはサービスを繰り返し使っている。現在シニアから日用品や医薬品の購入を手助けしてほしいとの依頼もあり、GoGoGrandparentは近しい市場に拡張する可能性も視野に入れている。シニアもスマホを使いこなせるようになっていくかもしれないが、GoGoGrandparentはシニアとオンデマンドエコノミーの便利な架け橋になることができると考えている。

GoGoGrandparentのTechCrunch記事はこちら

Go Go Grandparents

ZeroDB – 暗号化された法人向けクラウドストレージ

法人の情報の安全を守るという面では、クラウドにはまだ懸念がある。ZeroDBは、機密情報を持つ会社が、全体的なセキュリティーの安全性を損なわず、自社のオペレーションを安心してクラウドに移行できるようにする。ZeroDBは解読キーはオンプレミスに置きながらデータを暗号化し、クラウドに移行する。今日のデモデーで、すでにイギリスの銀行とパートナーシップを組む話を進めていて、ZeroDBには年間100万ドルの収入を得る見込みであると発表した。

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Fabric – 記憶を検索可能なネットワークに

現在、GoogleのCalicoのように何百万のリソースを持つ企業は、記憶の喪失といった老いに関連する病を治療する研究を行っている。Facebookでタイムラインを手がけていた開発チームは、彼らの知識を持って、医薬品合成より遥かにシンプルなソリューションを開発する。FabricはGPSの位置情報、完全に検索可能な記憶のプロフィールを生成し、全ての体験やインタラクションを自動で日記に記録する。このアプリは、アプリストアでトレンド入りし、これまでに150万以上の新規リアルタイムチェックインがあった。

FabricのTechCrunch記事はこちら

Fabric YC

Skylights – 機内エンターテイメント用VR

座席の後部のスクリーンは、航空会社にとって大きな負担だ。導入するコスト、航空機に加わる重量によるコストは多額で、さらに乗客は航空機に閉じ込められた気分にさせるものだ。Skylightsは乗客が巨大なバーチャルスクリーン上で2Dか3D映画を視聴できる独自のVRヘッドセットとソフトウェアを開発した。Skylightsはすでに4社の航空会社の100のフライトで導入された。現在毎日15フライトの契約があり、毎年100万ドルの反復的な収入を見込む。ファウンダーは以前商業パイロットであり、航空会社の役員を務めた人物だ。Skylightsは機内エンターテイメントとしてのVRを充実させ、差別化のポイントにしたい考えだ。

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Haywheel – 職人が手がける食品のマーケットプレイス

素晴らしいレストランは素晴らしい食材を求めているが、シェフにとっての一番の仕事は食材の調達ではなく、料理であるべきだろう。Haywheelは、職人が手がける食材を取り扱い、最高峰のレストランが納得のいくロブスターやトルテリーニを仕入れるのを抜群にシンプルにする。Haywheelにはミシュランで星を獲得した施設を含む300以上のレストランが加入している。Haywheelは、マーケットプレイス上で購入された食材ごとに10%のコミッションを得る。このサービスは先週ローンチし、50億ドル市場の高級食品市場に向けたプラグラムを開始することを計画している。

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DevColor – 才能あるアフリカ系アメリカ人の採用と保持

シリコンバレーにいる多くの人は、テクノロジー業界にダイバーシティが欠如していることを認識している。だが自分自身や同僚に対して現状を変えようと施策を推し進めることには消極的だ。ベイエリアに溢れかえるテクノロジー企業は、戦略的な採用でこの問題を解決しようとしているが、ダイバーシティの取り組みが停滞したり、近年では減少しているケースも見受けられる。非営利団体のDevColorは、アフリカ系アメリカ人のエンジニアを惹きつけ、保持したい企業に対し、面接の準備やキャリア戦略のアドバイスを提供する。このスタートアップは114名のソフトウェアエンジニアと協力し、Pinterest、Collective Health、Uberといった有力企業のスポンサーを得ている。次の2年で長期に持続可能な運営を確立することを目指す。

DevColorのTechCrunch記事はこちら

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Iris Automations – ドローンの衝突回避技術

商業ドローンは、農業、インフラ検査、配送などの分野で2020年までに230億ドルのビジネスにまで成長することが見込まれている。しかし、現在のドローンには「目」はなく、パイロットの操縦に依存している。Irisはドローンにセンサーと衝突回避の力を与える小さな箱を開発している。コンピュータービジョンとディープラーニングを活用し、ドローンの周りにリアルタイムの3Dマップを生成し、2000フィート(約600m)先までの物体をトラックすることができる。すでにサービスを展開し、有料のアルファプログラムを提供している。ドローンのハードウェア製造企業は賢い頭脳をドローンに与えることができないかもしれないが、Irisはそれを手伝うことができる。

Iris AutomationsのTechCrunch記事はこちら

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Techmate –あなた専用のテクニカル・コンシェルジェ
IoT端末の設定は面倒なものだ。問題なく動いている間はいいが、WiFiが落ちたり、電源が切れたりすると、設定がおかしくなることは目に見えている。Techmateは、自宅がスマートホームのコンシューマーに対して、一定レベルのテクニカルなサポートを提供する。次の5年でインターネット接続が可能な端末は5倍に増えることが見込まれ、コンシューマーはさらに多くのスマート電球などのメンテナンスを行う必要が出てくるとTechmateは考えている。Techmateはすでに月額3万ドルの売上があり、ローンチしてから週次で25%の成長がある。

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Looklive  – 写真からファッションアイテムを買う

メンズファッションは年間4000億ドルの市場規模で、レディースファンション市場より早く成長している。男性も洋服が欲しいと思っているが、買い物は好きではない。Lookliveのテクノロジーで、モデルやセレブの写真をスキャンしてタグを付けると、それと同じ洋服やお手ごろな価格で見た目が近いものを購入することができるようになる。Lookliveのサイトに写真をアップロードするため、HearstのComplexやEsquire誌といったコンテンツクリエーターとパートナーシップを組んだ。Lookliveはそれらの写真のアイテムを購入可能にし、Lookliveで在庫を持たずとも売上の10%から30%を得る。Lookliveの共同ファウンダーは、以前ファッションEコマースで人気となったKarmaLoopを立ち上げた。彼の新たなスタートアップは月次で25%成長しているという。

LookliveのTechCrunch記事はこちら
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Luminostics – スマホのフラッシュ機能で病気を診断

iPhoneのフラッシュ機能で心拍数を測定するといった初期のiPhoneアプリからさらに複雑に進化し、Luminosticsは同じフラッシュ機能でクラミジアなど性感染症を診断することを目指す。診断するには、少量の血液か尿、唾液サンプルをカートリッジに加え、スマホのアダプターに挿入するだけだ。スマホユーザーは15分で重要な健康データを取得できる。性感染症から着手したのは、プライバシーの不安があるために、毎年3500万人が病の危険に晒されているからだ。自宅で使用できるこのデバイスは素早く便利で、通院する従来の方法よりプラベートに行うことができる。このテクノロジーは、博士号の研究の一環として行われてたもので、来年には臨床トライアルの段階に入る。Luminosticsは、2018年にアメリカとヨーロッパでローンチすることを目指している。道のりは長いが、Luminosticsのファウンダーはコンシューマーの健康のためのアプリ以外にも獣医が診断のために使用したり、食品の安全性を確かめたりすることにも転用するなど、野心的なビジョンを描いている。

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Airo Health – カロリー消費を測定するウェアラブル

世の中には、パーソナルなデータを解析する賢いヘルスアプリは多々あるが、本当の課題はそもそも信頼できる健康に関する数値を取得することだ。Airo Healthはカロリー量を自動でトラックすることを目指す。彼らは、消化器官に向かう血流を脈拍の波形から検出する200ドルのウェアラブルを開発した。Airo Healthが元にする研究によると、この指標と人が消費する毎日のカロリーとは強い相関を示唆するという。Airo Healthはアメリカ軍とすでにパートナーシップを結び、今後はカロリーを測定している9400万人のアメリカ人をターゲットとする。

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New Incentives – 医療機関での出産にインセンティブ

医療機関で出産していないために、アフリカでは毎日5900人の新生児が亡くなっている。New Incentivesは、子供を医療機関で産んだ場合に限り母親に現金を提供する。感染症のリスクを低減し、HIVの予防になる。5000名の女性に対して行ったパイロット検証では、47人の命を救うことができた。New Incentivesは週次で36%のグロースがあり、GiveWell、Good Ventures、Bill and Melinda Gates Foundationの支援を受けている。非営利のこのスタートアップは、命を救う最も効果的な方法の1つであると研究で示されたこの方法を広めるために資金を募っている。

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MessageBird –Twilioに挑むコミュニケーションAPI

アムステルダム発のMessageBirdのミッションは、Twilioをディスラプトすることに挑戦する。MessageBirdはSMS、音声、チャットメッセージの送受信APIを開発している。MessageBirdはUber、Skype、さらにはDominos pizzaまで、すでに1万3000人のカスタマーを獲得した。MessageBirdのAPIは、Twilioより20%早い伸び率で購入されていて、価格も30%安い。現在、MessageBirdはアメリカ以外でしかサービスを提供していないが、アメリカ市場への参入のため、YCへ参加を切り口にしたい考えだ。

MessageBirdのTechCrunch記事はこちら

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Burrow – オンデマンドソファー

シリコンバレーは近年、ディスラプトの対象にマットレスを選んでいたが、購入するのも動かすのも非常に面倒な家具の1つ、ソファーには目を向けていなかった。無視されてはいるが、ソファー業界は230億ドル市場でもある。Burrowは、ソファーを購入するのに圧倒的に簡単で、配送も素早く行われる(1週間以内)サービスを提供する。ソファーを組み立てるのにツールは必要ない。Burrowはすでに事前注文で15万ドルの売上があり、850ドルのソファーに対して40%の売上利益で運営する。

BurrowのTechCrunch記事はこちら

burrow

Miso –韓国のホームクリーニングサービス

Misoは、韓国のホームクリーニング業界に参入し、オンラインでサービスを提供する。ソウルの都市の密度度合いのおかげで、Misoはすでに利益を出している。来月には他2都市に展開する。アメリカではクリーナーを確保することがとても難しい状況だが、韓国では他の仕事より60%多く稼げ、良い仕事だと捉えられている。Misoは週次で13%成長し、週間のアクティブクリーナーは600名だ。カスタマーからはさらに追加サービスの要望もある。オンデマンドクリーニングは資本金が大量に必要なビジネスで、アメリカでは失敗例もあるが、韓国では違うことを証明するかもしれない。

MisoのTechCrunch記事はこちら

Miso YC

Multiply Labs –カスタマイズ可能なサプリ

服薬は面倒だ。特定の時間に服薬するのを覚える必要がある上、食事の回数より多く服薬しなければならない場合もあるだろう。Multiply Labsはロボティクスと3Dプリンティングを活用し、パーソナルにデザインしたサプリを作成する。つまり、ユーザーはオンラインからサプリに含まれる成分を指定し、そのサプリがユーザーの元に届く。さらにはカフェインといったサプリの成分が、服薬から効果を発揮するまでの時間を調整することができる。既存の医薬品製造会社は、大量に医薬品を製造するが、Multiply Labsは3Dプリンターでカスタマイズした医薬品を製造し、ロボットが錠剤に詰めていく。

Multiply LabsのTechCrunch記事はこちら

Courtesy of Y Combinator: Joe Wilson (Head of Product), Tiffany Kuo (Head of Marketing and Operations), Alice Melocchi (CTO), Fred Parietti (CEO).

Sixa –遅延の少ないクラウドベースのPC

コンシューマーは、VRを走らせるために必要な1000ドルかかる処理能力の高いゲーム用PCより、VRヘッドセットの購入に関心がある。VRを走らせる強力なPCは全体のたった1%しかないが、Sixaは全員のシステムに十分なスペックの仮想マシンを載せることで状況を変えたい考えだ。遅延はクラウドベースの仮想PCにとって大きな問題だ。さらにVRではトラッキングの遅延が少しでも長くなるとユーザーに深刻な不快感をもたらすことになる。Sixaは遅延を10ミリ秒までにすることを可能にした。この卓越した数字は、Sixaが月々10万1000ドルの継続的な収入を得る助けとなっている。

sixa YC

ConstructVR – エンタープライズ向けVRアプリを配布

エンタープライズVRの未来に大変前向きなConstructVRチームは、エンタープライズ向けVRアプリの配布用プラットフォームを生み出した。市場は現状は小さく見えるが、分析ではVRアプリの46%はエンタープライズの現場で使われることになると見積もっている。SamsungのGearVRチームは、ConstructVRを使って営業トレーニングを提供し、従業員の営業成績向上に役立てている。クラウドインターフェイスがない場合にはUSBケーブルを使ってアプリケーションを配布する。同社は毎月7500ドルの経常収益があり、5万ドル相当の取引締結が現在進行中だ。

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Simbi – 「サービス」の物々交換マーケット

私たちの多くは、時間はあってもお金が足りない。そこでSimbiはスキルとスキルの交換を可能にする。Simbiのクレジットシステムを介せば、ヨガのレッスンと引き換えに犬の散歩を頼んだり、ダンスを教える代わりに家を片付けてもらったりできる。Simbiは1カ月あたり95%の成長率を遂げ、サービス取引高は毎月10万ドル相当だ。「サービス」の物々交換マーケット自体は、Simbiのようなシンプルで安全な情報交換の場があれば推定140億ドル以上の規模があると見込まれる。

Simbiに関するTechCrunch記事はこちら

Simbi is a marketplace online where people can swap services with one another.

Aptonomy – 自律的ドローンのセキュリティガード

防犯カメラよりも強固なセキュリティが必要となる現場に対応できるレベルの選択肢は、実はほとんど存在しない。セキュリティガードは効率も悪くて頼りにならないうえ、防犯カメラは「不審者の侵入をその場で止める」という点では何も手出しできない。Aptonomyはドローンがその解決策になると信じている。同社は決められたエリアを自動飛行して侵入者を検知/録画し、動き回って侵入を防ぐドローンを生み出した。

Aptonomyに関するTechCrunch記事はこちら

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Mentat – 若手プロフェッショナルの職探しをサポート

求職活動は骨が折れるが、ミレニアル世代にとってはなおさらだ。職探しはますます運任せの乱射状態になりつつあり、若い世代の求職者は何十社もがずらりと並ぶ巨大求人サイトに腰が引けているようだ。この問題に立ち向かうために、Mentatは履歴書のチェック、アプリからの書類送信、面接の管理を自動化して、応募プロセスの完全な変革をねらう。同社の収益は前週比40%の成長を示し、先月の収益は7万ドルだった。Mentatはニューヨーク市立大学(CUNY)での有料パイロットをローンチ予定で、これにより最大500万ドルの経常収益が年内に見込まれる。

Mentatに関するTechCrunch記事はこちら

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Women Who Code – 女性エンジニアの成長をサポート

Women Who Codeの掲げるビジョンは、データとコミュニティの融合によって、IT業界における女性の地位と幸福度を向上することだ。現在までにメンバー8万人以上のネットワークを築き上げ、開催したイベントは4200件にのぼる。この非営利団体では女性にとって重要な職務要件を求人案件に表示して女性をサポートする。情報の透明化によって、業界のエコシステム全体におけるより良い慣習を推し進めるのがねらいだ。

Women Who Codeに関するTechCrunch記事はこちら

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Metapacket- Malware corporate firewall

マルウェアはデータ改ざんの事実すら知られぬままシステムに大惨事をもたらす可能性がある。Metapacketは、アウトバウンドのトラフィックが実際に人間によって生成されたものかを検出してマルウェアを抑止するソリューションだ。 同社のファイアウォールはこうした性能を備えたものでは世界発であると自負している。また、この技術があればSonyとDNCのハッキングは防げたとも話す。

Metapacketに関するTechCrunch記事はこちら

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Raptor Maps – ドローンを活用した農業分析

農場経営者にとって、自分の畑のどの部分で収量が上がっているかを知るのは難しい。Raptor Mapsは、ドローンとトラクターに取り付けたセンサーで農地の分析とA/Bテストを行い、農場経営者はどの種子、肥料、農薬が最も効果的なのか知ることができる。Raptor Mapsは増収や、より健康的な作物を産出するサポートも提供する。同サービスは1エーカーあたり100ドルを課金し、すでにマクドナルドとコストコ向けの生産農場で有料のアルファ版を提供開始した。いずれは食料品チェーンや卸売業者向けに、作物の生育状況データの販売も可能になるという。

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Scale – 人間の労働力に最適化したAPIを提供

ScaleはAPIを介して、多数の人材に向けて繰り返し型タスクの完了をリクエスト可能にする。Mechanical Turkでは品質管理上の問題があるし、業務プロセスのアウトソーシングはAPI経由で呼び出せないうえ、そうした大手アウトソーサーはスタートアップとの協業には不向きだ。たとえばHouzzの開発者はScaleを使って、自サイトの物件リストから重複と価格のミスマッチを洗い出した。Teespringの場合はユーザー生成コンテンツのモデレーションとカテゴリ分けにScaleを使っている。Scaleは前週比40%の成長を見せ、売上総利益は50%以上となっている。コンピューターが細かい作業をすべてこなすのは無理だが、これでこなせない仕事を人間に頼めるようにはなった。

Scaleに関するTechCrunch記事はこちら

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SimpleCitizen – TurboTaxの移民申請版

毎年1300万人以上のアメリカ在住者がグリーンカードや市民権の申請書を準備し、その完了に何週間から何カ月も要している。SimpleCitizenは移民に関する書類準備プロセスが「ほんのわずか」楽になるよう目指す。249ドルの料金で、申請プロセス全体をわずか数時間に短縮する。SimpleCitizenは過去30日間で4万ドルの収益を上げ、90カ国の個人または家族による書類準備をサポートした。次なる目標はビザ申請プロセスを簡単にすることだ。

SimpleCitizenに関するTechCrunch記事はこちら

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Yoshi – 「サービスとしての」カーメンテナンス

「ガス欠時のガソリン配達」と聞けば、直感的に自家用車を思い浮かべる人が多いだろう。しかしバスや公用車、自動車ディーラーの在庫車なども、待機時間こそ長いが、肝心な出番にはスムーズに作動せねばならない点で切迫度は同じだ。Yoshiはこのような市場への参入に成功し、これまでにない「ガソリン配達」を月々15ドルの会費と、ガロンあたり24セントのマージンで提供する。同社では毎日車に乗っているオーナーも視野に入れている。エンジンクリーナー販売のほか、タイヤとワイパーブレード交換、洗車や車内クリーニングなどの追加サービスを組み込むことで、さらに大きな市場に食い込み、40から50%のマージン増収をねらう。YoshiはすでにFirestoneなどの企業と提携済みで、1カ月以内にデトロイトの自動車メーカーともパイロットをローンチ予定だ。

Yoshiに関するTechCrunch記事はこちら

yoshi yc

 

Squire – 理髪店のためのOpenTable

ほとんどの理髪店では、いまだに電話と紙とペンか、時代遅れのサロン向けソフトウェアで予約を受け付けている。Squireを使えば、顧客は1ドルの手数料でモバイル端末から予約が可能になる。Squireのファウンダーは顧客のニーズを理解するために自ら理髪店を所有・経営していたという。理髪店がSquireに登録すると、Squareが代理で顧客を見つけ、やがて顧客はSquireの有料ユーザーとなる仕組みだ。収入は理髪店1件あたり毎月1000ドルで、米国には30万件の理髪店がある。よくスタートアップを指して呼ぶ「X for Y(YのためのX)」という言い回しは使い古された感もあるものの、たしかにSquireは既存のやり方を効果的に置き換える方法を見出したのかもしれない。

squire y combinator

 

Starcity – サンフランシスコの快適な共同住宅サービス

サンフランシスコの住宅危機は深刻だが、「平均的」収入層で住まいを探す人たちを救済する技術的ソリューションをシリコンバレーは提供できていない感がある。Starcityはサンフランシスコで未使用となっている何百万平方フィートもの住居スペースを活用し、快適な共同住宅サービスの構築を目指す。同サービスならば1ベッドルーム1バスルームのユニットを、驚くほど高額な平均的スタジオルーム(訳注:米国都市部にある単身者向け不動産物件)の賃料の約半分で借りられる。

San Francisco skyline

 

Vote.org – ビッグデータで選挙動向を探り出す

Vote.orgは政治に費やされる大金を、より大規模な得票データの探り出しによって覆すことを目指す。Rock The Voteのようなグループは、セレブや大企業との強大な協力関係を構築して世論調査結果の底上げを狙うが、ほとんどの場合、最も強力なデータツールは政党の手中に留まったままだ。非営利団体のVote.orgは、最大限ターゲットを絞り込んだデータを投票推進運動に応用する意向だ。今後は特定の都市部に住む120万人の有権者にリーチする予定で、今年は競争の激しい選挙に合計102億ドルを有権者1人あたり12ドルから315ドルの間で投じる予定だ。Vote.orgが十分な資金を得られれば、SMSを活用して政治的エンゲージメントにもインパクトをもたらすだろう。

vote org yc

 

Coub – 動画ループのためのYouTube

動画視聴者の60%は、実最初の10秒も見ていないという。 Coubはこうした視聴者をターゲットに、短い動画ループを提供するサービスだ。直感性を重んじたプラットフォームで作成されたループ数は毎月4倍のペースで増えている。ユーザーはYouTube、Facebook、UploadHeroの動画からフィードしてベストシーンを切り取り、音声も重ね撮りできる。Coubはその規模からは考えられないトラフィックを獲得しており、人気GIFの動画バージョンも含めて再生回数は8億回にのぼっている。

Coubに関するTechCrunch記事はこちら

Coub YC

 

Xberts – 中国の卸売製造業者向けプラットフォーム

Xbertsは、中国のハードウェア製造業者を世界中の消費者へと直接つなぐネットワークの構築によってAlibabaに挑む。中国には12万件のハードウェア製造業者が存在し、その84%は卸売チャネルを通じて製品を輸出している。Xbertsはインフルエンサーからのレビューに基づくプラットフォームを構築し、ユーザーと製造業者間の関係をはぐくむことを目指す。これまでに1万人以上のインフルエンサーによるネットワークを構築し、現時点で450件の製造業者を擁している。

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Lollicam – アジア市場向けセルフィ動画

韓国で1年前にローンチしたLollicamは、当時で500万件のオーガニックインストールを記録した。Snapchatと同様、Lollicamではユーザーが500点ほどのスタンプライブラリを使って動画を作成できる。同社はアジアのティーン層でわずか1%しかSnapchatを使用していないことから、アジア市場に打って出られると確信する。成長の強化に向けてDisney、Pixar、Samsungなどの企業との提携に向けて動いており、映画『ズートピア』のプロモーションキャンペーンでは、同作品のキャラクターを使った動画100万本の作成があった。

Lollicamに関するTechCrunch記事はこちら

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OMG Digital – アフリカ向けBuzzFeed

アフリカのメディア会社は、モバイルやミレニアルの趣向に沿うようスピーディーに対応できていない。そこでモバイルに特化したコンテンツを提供するのがOMG Digitalだ。月間ユーザー数は600万人で、ユーザー1日あたりの利用時間は14分、わずか6カ月前にローンチしたばかりだ。ユーザーの90%はモバイルユーザーで、Guinnessやアフリカの電話・通信会社との広告契約も締結予定だ。BuzzFeedのモデルをユニークな市場に合うようコピーしたOMG Digitalは、アフリカのミレニアル向けに最適化された読み物を提供可能にした。

OMG Digitalに関するTechCrunch記事はこちら

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Wallarm – スマートなウェブアプリケーション向けセキュリティ

WallarmはアプリケーションとAPIの平均的な利用プロファイルの構築によってセキュリティーを提供する。さらにこのプロファイルをベースに、悪意のあるハッキング脅威と通常のリクエストを迅速に区別し、効果的に誤検出をゼロにする仕組みだ。これまでにウェブユーザー1億人を擁する計60社がWallarmと契約した。この非営利法人の月額経常収益はYC期間中のみで2倍となり、10万ドルに達した。

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The Athletic – 購読方式の有料スポーツニュース

本気度の高い地元スポーツファンは、ひいきのチームであれば料金を払ってでも、全国版メディアや広告付きメディアでは取り上げないようなニュースを知りたいものだ。The Athleticは新しいスポーツメディアで、ファンは月額利用料7ドルを払うとESPNなどのパブリッシャーから雇った人気ライターのコンテンツを、広告のないすっきりとしたプラットフォーム上で読める。シカゴではすでに2000人の購読者がいて、毎週18%のペースで成長しているという。同サービスは顧客の獲得に1人あたり14ドルを費やしているが、わずか2カ月で採算が取れるようになっている。The Athleticチームは堅ろうなスポーツメディアの巨人Stravaを構築し、今後は町一番のスポーツニュース源をめざして200以上の市場へ拡大を目指している。

The Athleticに関するTechCrunch記事はこちら

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SMARTSITE – 建設現場での危険物検出デバイス

SMARTSITEは、建設現場で浮遊粒子と紫外線照射をその他の物質から判別する検出デバイスだ。情報を年中無休で24時間収集し、データをリアルタイムでスーパーバイザーのダッシュボードに反映する。同社のバリュープロポジションは「負傷を減らし、訴訟を減らす」というシンプルなものだ。9月末までに建設現場40か所がこの技術を導入予定だ。同社はまた6件あるパイロットプログラムを最大240万ドルの年間経常収益へと転換するべく動いている。

SMARTSITEに関するTechCrunch記事はこちら

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Suiteness – ホテル・スイートの予約プラットフォーム

高級ホテルのベストルームはExpediaやPricelineには載らないし、場合によってはホテルのウェブサイトにすら掲出されない。しかしスタイリッシュな旅や大人数での旅を望むなら、そうした部屋こそ予約したいだろう。Suitenessはユニークな客室を閲覧・予約できるプラットフォームを提供する。平均予約価格は2194ドル。顧客獲得単価は138ドルで、315ドルの収益を得る。つまり初回の予約から採算が取れることになる。Suitenessのプラットフォーム上にはWynn、Venetian、Cosmopolitanなどの高級ホテルのスイートが3万室並び、今後は予約可能な客室を100都市30万室にまで増やす予定だ。Airbnbの成長の背後には通常のホテル客室に入りきらないグループ客の存在があったが、Suitenessならばさらに快適な滞在先を提供できそうだ。

Suitenessに関するTechCrunch記事はこちら

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Mosaic – プロがスマートフォンをセットアップ

正しいモノのインターネット(IoT)デバイスの購入は難しく、そのインストールとなればさらに難しい。Mosaicはその購入プロセスを導き、自宅に技術者を派遣してインストールしてくれる。加えてスマートフォンを管理するためのソフトウェアのサブスクリプションも提供する。Mosaicはインストール、ソフトウェアからの定期収益、新規の共同住宅全体向け一括販売などで大きなマージンを期待できる。IoTのトレンドがいよいよ勢いを増し、使えるデバイスがついに提供開始となった今、Mosaicはあなたのギークな住まいの「ギーク部隊」(Geek Squad)となるかもしれない。

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以上がY Combinatorの2016年夏期参加スタートアップ企業のうち、デモデーの初日にピッチした44社の紹介だ。2日目の残り48社については、以下の記事で紹介している。

配送ロボットからフィンテックまで、Y Combinatorデモデー2日目の48社を紹介

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(翻訳:Nozomi Okuma / Ayako Teranshi)

投稿者:

TechCrunch Japan

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