スタートアップ、文化、ミームの波

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。準備OK?ここではお金の話、スタートアップの話、IPOの噂話などをお伝えする。

さてさて!米国では長い週末を迎えた(7月4日は独立記念日で7月5日に振替休日)。ということでこのニュースレターは休み前のひと仕事だ。苦行も文章書きも大好きな私から、いつも以上にたくさんの話題をお届けしたい。しかし内容としては繰り返しだ。

最初の話題: スタートアップと文化について。

先週、私が非常に楽しみにしていたのは、Robinhood(ロビンフッド)のIPO申請だった。こちらの記事では最初の報告を、そしてこちらの記事では数字の詳細を紹介している。しかし、今回は文化(カルチャー)について再確認してみよう。以下の抜粋は、S-1申請書に記載された会社の目標に関するメモの冒頭から。

時間をかけて、私たちはRobinhoodを世界で最も信頼され、最も低コストで、最も文化に寄り添ったマネーアプリにすることを目指しています。

「文化に寄り添った」という言葉が入り込んでいることに驚いただろうか?では、目論見書の「概要」欄に記載されているこの内容を確認してみよう(強調は私):

文化的影響。私たちは、多くの追随者が現れた、最低取引金額を規定しない手数料無料の株式取引のパイオニアです。また、金融システムへのアクセスをさらに拡大する新商品を導入し、お客様との関係を築いてきました私たちは、投資を文化に寄り添って理解できるものとしてきましたし、私たちのプラットフォームによって、お客様が長期的な投資家となり、ご自身の財務をよりよく管理できるようにできたと考えています。2021年3月に実施した自社ブランド調査によれば、米国の18~44歳の半数以上の方がRobinhoodを知っています。現在の私たちの関わり合いの強さをさらに示すものとして、Robinhoodは2021年の第1四半期にApple App Store(アップル・アップストア)で何度も1位を獲得し、2020年から2021年の第1四半期にかけてApple App Storeのファイナンスカテゴリで頻繁に1位を獲得しました。

まあApp Storeの自慢話はどうでもいいが、 文化へのこだわりが私の注意を引いた。

私は、文化が時間とともにどんどん進化していくのを見るのが好きなのだが、TikTokがその流れをさらに加速させた。そして、世界の若者の間では、誤解を恐れずに言うならば、ブランドと文化の境界線が曖昧になってきていて、ブランドが文化的な領域にどんどん入っていこうとしていると言えるだろう。RobinhoodのS-1申請はいろいろな意味で前向きなものだが、上場する企業がこのような形で文化について議論しているのを見ると、未来を感じる。

次の話題:米国の製造業は死んでいない。

先週The Exchangeは、Xometry(ゾメトリー)のCEOとの会話から、そのことを学んだ。同社は最近上場したばかりだ。それに関連する私たちからの記事はここで読むことができる。このスタートアップは、Robinhoodのように、多額のベンチャーキャピタルを調達しており、私たちの広範な興味の対象となる。

これまで取り上げられてこなかったのは、今回の会話のおかげで知ることができたものづくりについての話だ。CEOのRandy Altschuler(ランディ・アルトシュラー)氏によれば、ものづくりを必要とする企業と、ものづくりができる人を結びつける彼のビジネスは、ほぼすべてが米国内で行われているという。つまり、まだ米国で作られているものがあるということなのだ。

実際Xometryの事業は、マーケットプレイスの仲介役として金融サービスを提供するなど、非常にすばらしいものだ。だが私たちが最も注目したのは、デジタルサービスによって、ニーズを持つ人とツールを持つひとを米国内で結びつけることができるというアイデアだった。もしXometryゾメトリー社のビジョンがうまくいけば、米国内の製造業を維持し、さらには成長させることさえできるだろう。これまで誰がそんなことができると考えただろうか?

XometryのIPOも大成功だったことも付け加えておこう。価格帯を超えたところで価格が決まり、その後上昇した。企業としてはそれこそが望みだ。

そして3つ目の話題:楽しいものをごちゃごちゃと

  • テック企業の資金がさらにF1へ: F1カレンダーの週末のレースが終わるたびに、私は、レース界の頂点に立つこの世界に、また別のテック企業が資金を投入していることに気づく。たとえば、Zoomはたくさんのブランディングを展開している。そして先週は、Crypto.com(クリプト・ドット・コム)がF1リーグと5年間で1億ドル(約111億円)の契約を結んだというニュースが入ってきた。こいつは大金だ。特に、Tezos(テゾス)はすでにいくつかのチームのスポンサーとなっているし、またあちこちにAmazon(アマゾン)とMicrosoft(マイクロソフト)のブランド名が見られる。そういえば、Splunk(スプランク)とMcLaren(マクラーレン)の提携も延長されたばかりだ。ということで新しい人生の目標:大金を稼ぎ、F1チームのスポンサーになり、パドックに入れるようになること。それで何の問題もない筈だ。
  • Unqork(アンコーク)がCRO(Chief Revenue Officer、最高収益責任者)を採用した。念の為にいうがCFOではない。ということで、大企業のアプリ構築を支援するこのノーコードサービスのIPOに関しては、あまりお話ができない。しかし、それでもこのニュースは、ノーコードファンにとっては重要なものだ。
  • 最後に、Apptopia(アプトピア)にはネオバンクのダウンロード数が掲載されている。どれが1位だったか想像できるだろうか?

関連記事:2020年に辛うじて黒字化したRobinhoodが上場手続き開始、2021年第1四半期は売上高4倍

カテゴリー:ネットサービス
タグ:The TechCrunch ExchangeRobinhood

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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