ステランティスがアマゾンと提携、コネクテッドカー体験をアップグレード

世界的な自動車メーカーStellantis(ステランティス)は、ソフトウェアから年間225億ドル(約2兆6130億円)を生み出すという計画の一環として、2024年までに一連の車載製品とサービスを同社の車両に導入するため、Amazon(アマゾン)とタッグを組む。

米国時間1月5日に2022 CESで発表されたこの提携は、Stellantisのビジネスのほぼすべての側面に影響を与えるものと思われる。両社によると、Amazonの技術は、Stellantisの自動車開発、車載接続体験の構築、次世代の自動車ソフトウェア・エンジニアの育成に活用されるとのことだ。

この複数年契約の一環として、Stellantisは車両プラットフォームの優先クラウドプロバイダーとして、Amazon Web Services(アマゾン ウェブ サービス、AWS)を選んだ。最近、既存社員および新入社員向けのソフトウェア・アカデミーを立ち上げたStellantisは、AWSと協力してソフトウェア、データ、クラウド技術を網羅するカリキュラムの作成にも取り組んでいる。

Stellantisは12月にソフトウェア計画を発表したが、その時はAmazonには触れていない。Stellantisは、ソフトウェアと電動化に2025年までに337億ドル(約3兆9140億円)以上を投資すると発表している。この投資には、2024年までのソフトウェアエンジニア5000人の雇用も含まれる。

同社の最終目標は、2030年までに3400万台のコネクテッドカーを走らせ、消費者に販売した後も何年も収益を上げられるようにすることだ。この目標を達成するために、BMW、Foxconn(フォックスコン)、Waymo(ウェイモ)、そして今回のAmazonとのパートナーシップに傾注している。

Stellantisが自動車のソフトウェアを利用して乗客やドライバーに製品やサブスクリプションを販売する計画には、すでに開発が進んでいる3つの構成要素が含まれている。

それは、同社がSTLA Brainと呼ぶ、基盤となる電気およびソフトウェア・アーキテクチャから始まる。このシステムはクラウドと統合されており、車両内の電子制御ユニットを高速データバスで車両の中央高性能コンピュータに接続する。これにより、同社は「無線」、つまりワイヤレスで車両のソフトウェアをアップグレードすることができるようになる。

この「頭脳」に、Stellantisは「SmartCockpit」を追加した。これはFoxconnと共同で構築したプラットフォームで、ナビゲーション、音声アシスト、eコマースマーケットプレイス、支払いサービスなどのアプリケーションをドライバーに提供するものだ。最後に、BMWと共同開発した3つめの自動運転プラットフォーム「AutoDrive」で、Stellantisのソフトウェア計画は完了する。

同社は1月5日に、Amazonと協力してSmartCockpitプラットフォームをさらに発展させ、ドライバーと乗客にパーソナライズされた車内体験を提供できるアプリケーションを搭載すると発表した。Stellantisの14種の自動車ブランドのいずれにおいても、乗車する人はアプリストアにアクセスしてサービスやエンターテインメントを見つけることができるようになる。また、音声アシスタントAlexaもSmartCockpitに搭載される予定だ。

AmazonのAIテクノロジーは、顧客の行動や関心事を把握し、それに適応するのに使用される。これは、顧客が厳しい地形の道を走る前に車両を調整し、性能を最適化するのに役立つデジタルオフロード「コーチ」がJeep車に搭載される可能性があることを意味する、とStellantisは述べた。

車載ソフトウェアは、スマートホームやサービスなど、Amazonの他の製品とも連携し、ユーザーは車に乗ったまま自宅を監視・管理できるようになる。また、この機能は逆にも作用する。自宅のAlexa対応デバイスやスマートフォンのAlexaアプリにコマンドを送ることで、車に乗る前に車内の温度を設定することができるようになる。

画像クレジット: DENIS CHARLET/AFP / Getty Images

[原文へ]

(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。