スマホでプロのスタイリストがコーデ提案、チャットで相談もできる「SOÉJU(ソージュ)」

自分に似合う服を、できるだけリーズナブルに着こなしたい。ファッション誌の「着まわし特集」が今でも人気企画であることからも分かるように、これは私たちの永遠の課題だ。この課題を解決するために、ファッション×テック業界でも、日々さまざまなサービスが生まれている。採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT」を無料配布し、体型データに合った服をオーダーメイドできるようにした「ZOZO」。ファッションの世界にサブスクリプションモデルを取り入れた「AirCloset」。そして着まわし提案アプリやD2C(Direct to Cunsumer:製造者から消費者が直接購入できる)ブランドの数々。

オンラインスタイリングサービス「SOÉJU personal(ソージュパーソナル)」は、ライフスタイルの変わり目でもあり、体型も変化する30代、40代の女性をメインターゲットにしたファッションのサービスだ。仕事や家事に追われて、なかなか毎日のコーデまで考えている余裕がない、というこの世代の女性に「自分の体や好みにピッタリくる着こなし」や「持っている洋服の見直し方」を、プロのスタイリストがオンラインで教えてくれる。

サービス利用の流れは以下の通りだ。まずは会員登録を行い、対面、もしくはオンラインで、スタイリストによる「ファッション診断カウンセリング」を受ける。カウンセリングの費用は1時間で5000円。体型タイプやファッション志向を診断し、似合うシルエットの服を提案してもらえて、対面の場合は試着体験ができる。そして、自分のライフスタイルや希望に合わせて、スタイリストが今後のスタイリングの方向性を提案する。

その後、定期的に「オンラインパーソナルスタイリング」が受けられる。6スタイルの着こなし提案画像をスマートフォンに毎月配信するマンスリープランと、3カ月に1度のシーズンごとに配信するシーズナルプランの2種類があり、費用はそれぞれ1回の配信当たり3000円だ。

オンラインパーソナルスタイリングでは、LINE@による「スタイリスト ホットライン」も提供。チャットで日々のファッションの悩みをスタイリストに相談することができる。回答は3営業日以内にもらえるので、大切な会食や商談の前にお勧めのコーディネートが知りたい、という具合に使えそうだ。

サロンでのカウンセリング、定期的な着こなし提案では、手持ちの服も含めて相談ができる。昔買って、あまり着なくなったアイテムからも、使えるものはコーディネートに取り入れて提案してくれる、ということなので、私のようにタンスの肥やしが捨てるに捨てられず困っている、という人にもよいかもしれない。

代官山に9月22日オープンするサロン「SOÉJU代官山」

ソージュパーソナルを運営するモデラート代表取締役の市原明日香氏は、「最初のカウンセリングで展示アイテムも試着してもらいながら、着まわししやすく、投資対効果の高いスタイルを提案していく」と話す。

ソージュパーソナルは、同社が2015年10月から提供するオンラインスタイリングサービス「Let Me Know」を前身としている。9月22日にカウンセリング用のサロン開設と自社商品ブランド「SOÉJU(ソージュ)」を立ち上げるにあたってサービスをリニューアルし、9月6日、先行予約を開始した。

市原氏は、「サービスの基本的な部分はLet Me Knowと同じだが、リニューアルで、よりシックで大人っぽいスタイルの提案に集中していく」と説明している。

「これまではセレクトショップと同じく、さまざまな色味やスタイルの洋服を取りそろえてコーディネートしてきた。これからは自社ブランドのソージュで、ベーシックでシンプルなアイテムを作るので、それらを使ったスタイル提案もしていく。着まわしがきき、その分、トップスや小物のスタイリングでいろいろなバリエーションを楽しんでもらえる」(市原氏)

モデラートがソージュブランドで商品開発しているのは、ベーシックなデザインで着まわししやすい、それでいて安っぽくならない、高級感のある素材で作ったアイテムだ。第一弾商品としてワンピース、ギャザースカートとタックパンツを展開する。

試作品を取材のビデオチャット越しに見せてもらったけれども、いずれも黒のシンプルなデザインで、確かにおしゃれが苦手な私でも、仕事着として取り入れやすそうだった。ブラウスやニット、ジャケットやスカーフなどの小物で工夫すれば、1週間の着まわしも考えやすいだろう。

市原氏は「D2Cモデルを取り入れ、海外のハイブランドが使うような上質な生地を使いながら、価格は市価の3分の2程度に抑えている」と説明。ワンピースなら、デパートなどで3万円以上するものを1万8000円からと、1万円台のリーズナブルな価格で提供するという。

またモデラートでは9月6日、D2C商品の本格展開に先駆けて、Makuakeでソージュの第一弾アイテムの販売プロジェクトを開始する。アイテム購入で、ソージュパーソナルのファッション診断カウンセリングの短縮版(30分)を受けられ、ソージュのアイテムと手持ちのアイテムやおすすめのアイテムを組み合わせた3種類のコーディネート画像を後日受け取ることができる。

モデラートは2014年12月、マーケティングのコンサルティング及びクリエイティブ制作会社として設立。代表の市原氏はアクセンチュアで経営コンサルティング、ルイ・ヴィトン ジャパンでCRMに従事していた。その後、子どもの看病を経て、フリーランスとして復職するときに、ファッションについての悩みに遭遇。「一度キャリアやファッションから完全に離れてしまうと取り残されてしまう」と感じ、「自分のクローゼットに入っているアイテムをどう自分の体型・雰囲気に合わせてコーディネートするか」で日々頭を悩ませていたという。

「インフルエンサーの着こなしをまねても自分には合わないことがほとんど。自分にあったアドバイスをプロのスタイリストから継続的に受けられれば」との思いと、同じような悩みを抱える同世代の女性の声を受けて、2015年にオンラインスタイリングサービスを始めた。

2017年7月には、前身のサービス Let Me Knowが500 KOBE ACCELERATORに選出された。またモデラートは、1号ファンドが組成されたばかりのFull Commit Partnersから、5月30日に2480万円をシードラウンドで調達している。

市原氏は「調達により、D2C商品の開発を早めることができた。今後は開設するサロンの機能拡充も進めていく」と資金調達と今後の展開について話している。

モデラート代表取締役の市原明日香氏

投稿者:

TechCrunch Japan

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