スマホ対応の飲食店向けサイト作成サービス「favy」、そのマネタイズ手法は超アナログ

飲食店向けのウェブサイト作成サービス「favy」を提供するマネタイズは12月16日、ヤフーの提供する「Yahoo!予約 飲食店」との機能連携を開始した。

favyはスマートフォンだけで飲食店のウェブサイト作成から予約管理、ソーシャルメディアマーケティング、求人、予約管理、アクセス解析といったひと通りの機能をすべて無料で提供する。今回の連携によって、favyで作成したウェブサイトでYahoo!予約 飲食店のリアルタイム予約機能を利用できるようになる。

実はマネタイズは2001年に設立されており、当時はSEMコンサルをしていた。その後同事業を売却し、4年ほど前からfavyの前進となるサービスを開発してきたのだそうだ。2014年1月には名称をfavyに変更、ほぼノンプロモーションながら現在までに2000店舗がサービスを導入している。ウィークリーのアクティブ率は6割程度だという。

favyの機能だけを聞くと「スマホ対応した飲食店向けのCMSでしょ」と思うかもしれない。そう考えれば、いわゆるガラケーの時代から飲食店向けのウェブサイト作成サービスは複数存在していたし、死屍累々と言っていいのかもしれない。

現在はユーザーが店舗を検索するのもスマホ中心になっているが、店舗情報を掲載するのであればぐるなびと食べログという大手にまかせておけばいい、となってしまうことも少なくないようだ。だがマネタイズ代表取締役の高梨巧氏は「favyはただのCMSでなくデジタルマーケティングのツールと思って欲しい」と語る。

大事なのは「簡単」でなく「自動化」

高梨氏は1981年生まれで、アイレップの創業メンバーの1人で、SEO、SEM分野の立ち上げを手がけた人物。

その経験を活かしてfavyでも効果的なSEOを実現しているそうだ。またそれだけでなく、あらかじめTwitterやFacebookなどソーシャルメディアのアカウントを登録しておけば、店舗側がニュースなどを配信する際、自動で選択したソーシャルメディアへの投稿までを実行してくれる。

「自動でソーシャルメディアに投稿」と言ったところでTechCrunchの読者には驚きがないと思うが、実は飲食店向けのサービスではこういった点が大きな価値になっているのだという。高梨氏いわく僕らが考えている以上に飲食店のITリテラシーは低いそう。

それであれば集客やマーケティングの手法について伝えるより、それらを自動化をしてあげるほうがよっぽどか価値を生み出すのだという。そしてAdsenseの出稿などに興味があれば、そこはマネタイズのスタッフが代行するなどして飲食店の手を煩わせないようにしてあげればいいと説明する。

高梨氏に聞いた1つの例だが、公共交通を使うと最寄り駅から3km以上かかるという福島県のあるレストランでは、新メニューやイベントなど近況をfavyで作成したサイトに日々投稿しているのだという。それだけにもかかわらず、そのレストランのFacebookのいいね!数は3000件以上になり、売上も向上しているのだそうだ。だがそのレストランに対してマネタイズが指示したのは、「レストランに来た人たちに『ソーシャルで投稿を拡散して欲しい』と伝えてくれ」ということだけだった。

「飲食店は対面でのコミュニケーションなどは得意。ツールが使えないだけだ。きっちりした成功体験があれば、近況投稿をしたり、お客さんにシェアしたりしてくれる。これによってお客さんのリピートも変わってくる。大事なのは『簡単』ではなく『自動化』」(高梨氏)

メーカーの飲食店開拓支援で収益化

そんなfavyだが、すべての機能を無料で提供している。有料オプションの提供も検討しているそうだが、現在収益の柱になっているのは、favy提供前から展開してきたメーカー向けの飲食店開拓支援事業なのだそうだ。

これは、自社商品を飲食店に取り扱ってもらいたいメーカーなどのクライアントが、マネタイズが抱える全国70万店舗の飲食店に対して商品のサンプル提供などを告知するというもの。商品に興味を持った飲食店の申し込みによる成果報酬型の課金となり、料金は1件3000円から。これまでに約150社のクライアントが利用し、10万件の申し込みがあったそうだ。

ちなみにこの申し込みはほとんどがファックスだそうことで、あらためて飲食業にITが入り込む難しさを感じてしまった。この仕組をfavyと連携していくことで、飲食店にはシステムを無料で提供しつつ、このネットワークに入ってもらう。そしてメーカーからの報酬でビジネスを拡大していくのだという。また並行して、キュレーションメディアも立ち上げ、店舗紹介なども強化していく。


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。