スマホ画面から直接ポラロイド写真が焼けるPolaroid Labが登場

ほぼ全員がスマホを持ち歩き、毎分千枚もの写真を撮影し、数百万枚を保存可能なクラウドに接続している現在でも、紙の写真には抗しがたい魅力がある。それだけに、ビット(データ)からアトム(物質)に変換する価値のある特別なものというわけだ。

もちろん、フォトプリンターという製品は新しいものではないが、ポラロイドはPolaroid Lab(ポラロイドラボ)を開発して、その概念を生まれ変わらせた。これは、数年前からあったアイデアを再実現したもの。この筒状の装置は撮影済の写真を表示したスマホ画面の光をそのまま使い、何枚かのミラーに反射させて、立派なポラロイド写真に仕上げてくれる。価格は129ドル(約1万3900円)だ。

対応するスマホは、iPhone 6s以降と、Android端末としては、サムスン、ファーウェイ、Google Pixelの各現行モデルと、One Plusとなっている。まず、ポラロイドが提供するアプリで写真を開き、本体上部にスマホをセットしたら、赤いボタンを押すだけでいい。それから数秒後には、とりあえずグレーのポラロイド写真が飛び出してくる。うまく写ったかどうかを知るには、現像が完了するまで、そこからさらに数分待つ必要がある。古き良き時代と同じように。

このようにスマホ画面の光をミラーを使って転写するという方法には、写真データをBluetoothやWi-Fiでプリンターに送り、カートリッジからインクを吹き出して写真にする方法よりも優れている点があるのだろうか?おそらく、それはない。でも、なんとなくいい雰囲気だろう。なんだか理科の実験ぽくて楽しい。そして、過ぎ去ってしまった瞬間を、あたかもポラロイドカメラで直接撮影したかのような、それっぽい写真が得られるということなのだ。

同社によれば、Polaroid Labには現行のi-Type、および600シリーズのフィルムを使うことができる。ポラロイドの愛好家なら知っているように、こうしたフィルムはけっして安くはない。写真1枚あたり、1〜2ドル(日本では300円強)がかかる。これは一般的な家庭用プリンターに比べても、ちょっと高い。また、コストコあたりで、4×6インチ(約10cm×15cm)の写真を焼いてもらうより、間違いなく高くつく。それでも、ポラロイドならではの雰囲気を味わいたいという人には、魅力的な製品だろう。

もし、ポラロイドフィルムが余って困っているのなら、1枚の写真を複数枚に分割して焼くことも可能だ。以下のポラロイドラボのデモビデオを見てみよう。

同じようなコンセプトの製品として、「Impossible Instant Lab」という名前を思い出す人もいるかもしれない。2012年に、Kickstarterで50万ドル(約5400万円)以上を調達したスタートアップの製品だ。こちらの製品は、2017年7月に打ち切りになった。実は、その数カ月前には、その製品に関わっていたチームが、Polaroid(ポラロイド)というブランドを使う権利を取得していた。つまり、Polaroid Labという製品は、Impossible Instant Labのコンセプトをそのまま再構築したものと考えられる。ただし、今回は本家ポラロイドという伝統的な名前で公式に製品化することができた。

Polaroid Labのチームによれば、10月10日までには店頭に並ぶことになるという。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

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TechCrunch Japan

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