スマートウォッチのiBeatが150万ドルを調達、「身につけたくなる」心拍計の提供を目指す

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サンフランシスコのスタートアップiBeatがスマートウォッチの製造に向けて150万ドルのシード資金を調達した。このスマートウォッチは着用者の心拍数を常時モニタするもので、心拍が検出されなくなると着用者の無事を確認し、必要に応じて近親者と緊急通報用番号に通知してくれる。

ファウンダー兼CEOのRyan Howardは、電子カルテ関連ベンチャーPractice Fusionのファウンダーで前CEOでもある。彼は、まだ40歳ほどだった友人を心停止で亡くしたことがiBeatを設立する動機になったと語る。

Howardによれば、iBeatは典型的なスマートウォッチや心拍・脈拍計アプリを超えた測定能力を備え、フィットネス用リストバンドとは異なり、昼夜問わず一日中快適に身につけられるように開発したという。

iBeatは1秒間に2回、パルスオキシメトリ(血中酸素濃度)のほか、心拍間隔やその他の変動などの「心臓の働き」を測定する。しかもこのウォッチはスマートフォンから独立して動作するようになっている。

また、iBeatでは着用者に関する医療データの一覧を表示し、そのデータを緊急通報の担当者や救急医療士を含め、処置に関わる医療担当者に役立ててもらうことも可能だ。

iBeatウォッチを通じて表示・送信されるデータは、アレルギーや処方薬、深刻な既往症などの医療情報を金属製のブレスレットに刻印して身につけておくものと感覚が近いかもしれない。

着用者がケガや命に関わるような状況にさらされた際には、iBeatの画面をスワイプするだけで近親者と医者に知らせることもできる。

iBeatは、Life AlertやPhilips社のLifelineComfort Keepers社のSafetyChoiceなどの個人用緊急応答システム(PERS)に挑み、あるいはそれらに取って代わるだろうとHowardは語る。

PERS機器の多くは、しゃれたウェアラブルではなく、見かけも着け心地も医療機器めいている。Howardは「身につけていても人間としての尊厳が失われないような製品を市場に提供したいと願っていました」という。

iBeatのユーザーエクスペリエンス研究者は、本来PERS機器を身につけるべき人々が、まるで病人になった気がする、病人のように見えるという理由で機器を着用したがらないことを発見した。

そこで同社はサンフランシスコのデザイン事務所Ammunition Groupと工業デザイン面で協働することになった。同事務所はビーツ ヘッドホンの立役者で、iBeatに出資もしている。

iBeatのシードラウンドを率いたのはMaveronSubtraction Capital、および Correlation Venturesだ。その他投資家にはAli & Hadi Partovi、Russell Okung(現役NFL選手)、Henry Kravis(KKR共同設立者)、Band of Angelsなどが名前を連ねる。

CEOであるHowardは、今回の資金は研究開発のほか、iBeatスマートウォッチの初回製造およびマーケティングに使う予定だと述べた。現在従業員12人を抱える同社では、クラウドファンディングのキャンペーンを実施してiBeatを広めると同時に、運用資金の追加調達を行う意向だ。

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(翻訳:Ayako Teranishi)

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TechCrunch Japan

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