セカンドライフのLinden LabがVRシミュレーションのベータ版を公開

サードライフがやってきた(ベータ版で)。

サンフランシスコ拠点の Linden Labは、VR対応のユニバースシミュレーション、Sansarのオープン「クリエーター・ベータ」を公開した。世界を創造、探索するこのタイトルの構想は壮大だがまだ先は長い。数千人のクリエーター向けに以前公開された長期にわたるクリエーター・プレビューを経て、今回は1700種類の世界が提供される。

先週、1500万ドル近くを調達していたソーシャルVR会社のAltspaceVRが、閉鎖を発表驚かせたことはまだ記憶に新しいが、Linden Labの採算性には余裕があることから、Sansarは長期的ビジョンに沿って進められている。

同社が運営しているSecond Lifeは、10年以上前に社会的影響力を失ったとみられているが、オンラインシミュレーションに現金をつぎ込み続けた熱心なユーザーのおかげで豊富な資金を稼いできた。VR市場は始まったばかりであるにもかかわらず、同社はSansarの開発に焦点を移したが、Second Lifeも独特な別サービスとして今後も継続する。

Linden Labは、世界創成の収益化にいち早く成功した。Second Lifeのユーザーは土地を借りるためにかなりの金額を払うが、それ以外は比較的安価に利用できる。Sansarでは、自分の作った土地は無料だ(最初のいくつかの世界について)。アセットストアへ行って、自分の世界にものを増やし始めると費用もかさむ。友達に3Dデザイナーがいれば、カスタマイズして自分だけを作ることができる、バーチャルホーム用の椅子など出来合いの家具を置きたければ、ゲーム内コインをつぎ込む必要がある。

彼らは探索できる世界の広いネットワークを作って現実に近づけたいという野望を隠そうとしない。何度か会って話したときも、メタバースとシミュレーションについて熱心に語っていた。最近のミーティングでは、会議室のテーブルに『レディー・プレーヤー・ワン』が1冊黙って置かれていて、この会社の野望がいっそうはっきりした。

今日公開されるのは、Sansarが目指しているもののごく初期のベータ版であり、その体験は実に洗練されている部分もあればそうでないところもあって少々奇異に感じる。Sansarではバーチャルリアリティーユーザーが様々なユーザー作成世界を探索し、自分で作ることもできる。足りないのは
、探索をもっとインタラクティブにするためのツールだ。

Linden Labは多くのVRデベロッパーとは異なり、UnityやUnrealといった既存のゲームエンジンに頼らず、Sansarのために独自のカスタムエンジンを作った。Second Lifeのエンジンとも全く別物だ。ベータバージョンの制限は明らかだ。Sansarの中に美しい静的世界を作ったり、バスケットボールを投げたりすることはできるが、物理特性や制御の仕組みはまだ完成には程遠い。

Sansarは、今日からHTC ViveとOculus Riftで利用可能になり、パソコンでも2Dのデスクトップ体験ができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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