ソニーが新型完全ワイヤレスイヤフォン「WF-1000XM4」正式発表、より小型化・ノイキャン性能向上

Sony(ソニー)がワイヤレスイヤフォンの水準を引き上げてから2年になる。Apple(アップル)がAirPods Proを発売する半年前に「WF-1000XM3」はサウンドとアクティブノイズキャンセリング(ANC)の新しいスタンダードを確立した。以来、その性能に匹敵する、ましてやそれ以上の製品はほとんどない。

数週間にわたるリーク情報の後、エレクトロニクスの巨人はついに「WF-1000XM4」を発表した。この製品は、オリジナルバージョンの音質とANCの両方を向上させると同社は主張している。これは高いハードルであり、同じく高い価格設定でもある。オリジナルは230ドル(約2万5200円)というすでに手痛い価格だったが、今作は280ドル(約3万700円)となり、ソニーはさらに踏み込んだ価格設定をしている。

ワイヤレスイヤフォンのカテゴリーは、2019年の時点ですでに混み合っているように感じられたが、2021年の状況とは比較にならない。また、50ドル(約5500円)以下の選択肢も最近はたくさんある(100ドル、約1万1000円以下でまともなソニーのイヤフォンを手に入れることも可能だ)。しかしソニーは、コストを下げる方法を見つけるのではなく、AirPods Proよりも30ドル(約3300円)高い、スペクトルの中のプレミアムグレードの地位を固めようとしている。

画像クレジット:Brian Heater

とはいえ、M3で同社がどれだけ高いハードルを設定したかを考えると、この製品をテストするのが非常に楽しみだ(手許に届いたばかりなので、近日中にレポートする)。移動することがまた普通になってきたら、M4は最適な旅行用ヘッドフォンになるだろう。同社によると、この製品の秘密のソースは「V1」で、新設計のプロセッサーがANCと音質の両方を向上させているとのこと。

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「ソニーが特別に開発した新設計の『Integrated Processor V1(統合プロセッサーV1)』は、高い評価を得ているソニーのQN1eチップのノイズキャンセリング性能をさらに向上させています」と同社は述べている(M3はQN1eを搭載していた)。「各イヤホンの表面にフィードフォワード・フィードバックの2つのノイズセンサーマイクを搭載し、周囲の騒音を分析して高精度なノイズキャンセリングを実現しています」とも。

ビームフォーミングマイクも搭載されており、ユーザーの口元から直接音をキャプチャし、不要な周囲の騒音を低減する。また「新しい骨伝導型センサーは、ユーザーの声の振動のみを拾い、通話時にはよりクリアな音声を可能にします」という興味深い情報もある。

画像クレジット:Brian Heater

新開発の6mmドライバーとともに、外出時の風切り音を自動で低減する機能を搭載。今回のリニューアルで、より豊かな低音と、歪みの少ない良い音を実現したという。もちろん、同社のハイレゾ・オーディオ・ワイヤレス技術も引き継いでおり、標準Bluetoothの3倍にあたる最大990kbpsのデータ転送が可能だという。

この製品は、ソニーの360 Reality Audioに対応している。ハイエンドのヘッドフォンでは、より多くのメーカーが拡張オーディオに向けた小さな一歩を踏み出していることは明らかだ。この機能はソニーのアプリで有効にする必要があり、当然ながら一部のサービスでのみ動作する。一方、アダプティブサウンドコントロールは、周囲の騒音に基づいて再生音量を調整する。

画像クレジット:Brian Heater

前述したように、私は今デスクの上に現物があるのだが、すぐにお伝えできるのは、M3に比べて充電ケースが大幅に小さくなっており、フル充電で24時間のバッテリーライフがあるということだ。イヤフォン本体は最大8時間だが、これは上位機種の業界標準と同程度だ。急速充電にも対応しており、5分間の充電で1時間の再生が可能になる。

形状はM3からかなり変化した。長い翼状だったのが球根状になり、耳の穴の上に来るようになった。これにより、長時間の使用による圧迫感が軽減されるかどうか気になるところだ。イヤフォン本体はIPX4の防水性能を持ち、GoogleアシスタントとAlexa(アレクサ)の両方に対応している。また、Fast Pair機能でAndroidデバイスやWindows 10マシンとのペアリングも簡単に行える。

価格は280ドル(約3万700円、国内価格は6月9日発表予定)で、米国時間6月8日より販売開始される。

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カテゴリー:ハードウェア
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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

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