ソフトバンクのダイバーシティ&インクルージョンファンドによる最初の投資は健康分野

SoftBank(ソフトバンク)のOpportunity Growth Fund(オポチュニティー・グロース・ファンド)は、健康保険のスタートアップであるVitable Health(バイタブルヘルス)に投資する。同ファンドは有色人種の起業家が創業したスタートアップへの投資に特化する1億ドル(約105億円)のファンドで、今回の投資は同ファンドからの最初のコミットメントとなる。

Y Combinatorで最近立ち上げられ(未訳記事)、フィラデルフィアを拠点とするVitable Healthは、サービスの行き届いていない低所得のコミュニティーに基本的な健康保険を提供する。

Vitable Healthは23歳の起業家であるJoseph Kitonga(ジョセフ・キントガ)氏が創業した。同氏の両親は10年前に米国に移住した。同社は保険が不十分または無保険の人々に手頃な価格で緊急ケアをカバーする医療保険を提供する。両親が経営する在宅医療機関の従業員が基本的な補償を受けるのにも苦労しているのを目の当たりにしてきたキントガ氏の経験から生まれた。

同社のブログ投稿によると、150万ドル(約1億6000万円)のコミットメントは、SoftBank Group Corp Opportunity FundがリードしY Combinator、DNA Capital、Commerce Ventures、MSA Capital、Coughdrop Capital、MercuryBankの最高経営責任者であるImmad Akhund(イマド・アクンド)氏やGainsightの最高執行責任者を務めたAllison Pickens(アリソン・ピケンズ)氏のようなエンジェルも参加した。

「優れたヘルスケアは、誰であれ、すべての米国人に当然に与えられるべき基本的な権利です」と、アトランタを拠点とするファンドのアーリーステージ投資リードであり、TechSquare Labsという投資ファンドの創業者であるPaul Judge(ポール・ジャッジ)氏は語っている。「私たちは、ジョセフ氏自身とこの課題に取り組む彼のアプローチに触発されました。Vitable Healthは患者ケアの重大な空白領域を埋めつつあり、無保険や保険不足の人、そしてもっと良いライフスタイルを求めるすべての人にとって必要不可欠なサービスとして浮上しています」。

ソフトバンクは、米国各地の都市で市民による抗議の波が起こる最中にOpportunity Growth Fundを創設した。白人警察官の手による黒人のミネアポリス市民、George Floyd(ジョージ・フロイド)氏の殺害がきっかけとなり、組織的人種差別と警察の残虐行為に対して抗議活動が頻発した。フロイド氏の殺害では、警察の残虐行為、警察当局の軍隊化、人種プロファイリングなどの問題をめぐって、全米の都市で市民と警察の間の緊張が再び激しく高まった。

ソフトバンク自身も2020年に、ポートフォリオに人種差別に関する問題を抱えていた。同社がファンドを立ち上げる数カ月前に、ポートフォリオ企業の1つであるBanjo(バンジョー)のCEOで創業者がかつてKKKと関係があったことが明らかになった後、辞任した

ソフトバンクはOpportunity Growth Fundから問題に取り組もうとしている。特に注目すべきはファンドが取引に関して従来のマネジメントフィーを徴収しないことだ。「その代わりに、有色人種の創業者や起業家の手元にできるだけ多くの資本を投入しようとしています」。

Opportunity Growth Fundは、過去数年間にソフトバンクが発表した中で3番目の投資ビークルだ。その中で最大は1000億ドル(約10兆5000億円)のビジョンファンド(Techmeme記事)だ。その後、2019年に、ラテンアメリカに特化した20億ドル(約2100億円)のイノベーションファンド(未訳記事)を発表している。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Softbank GroupOpportunity Growth FundVitable Health資金調達

画像クレジット:James Steidl / Shutterstock

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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