タクシーの次は出前——フードデリバリーの「UberEATS」、150店舗超のレストランと組んで東京でサービス開始

会見の様子。右から3人目がUber Japan執行役員社長の髙橋正巳氏

会見の様子。右から3人目がUber Japan執行役員社長の髙橋正巳氏

このひと月ほど、僕のFacebook上には「Uberでお仕事をしませんか?」なんて広告が回っていたのでそろそろスタートするのではないかと思っていたが、CtoC・シェアリングエコノミーモデルの配車サービスなどを展開するUber、その日本法人であるUber Japanが9月28日、フードデリバリーサービスの「UberEATS」の提供を開始すると発表した。注文の受付は9月29日11時から。

UberEATSはUberが提供するフードデリバリーサービス。ユーザーとレストランを結ぶのは、Uber同様、事前登録したパートナー配達員だ。これまで世界7カ国33都市でサービスを展開。今回スタートする東京(当初は渋谷区および港区:渋谷・恵比寿、青山・赤坂、六本木・麻布、順次対象エリアを拡大する予定)が34都市めとなる(世界8カ国め)。

専用のスマートフォンアプリを立ち上げて新規登録(もしくはUberアカウントでログイン)すれば、すぐにサービスを利用できる。ユーザーはログイン後にアプリ上で配達したい位置、デリバリーして欲しいレストランと食事を選ぶだけ。

注文は即座にレストランの専用アプリに通知されるので、レストランは混雑状況や調理時間を考慮して配達予定時間をユーザーに通知。これに合わせて同時に最適なロケーションにいる配達員に配達リクエストが届くため、配達員は調理が終わる頃にレストランに行き、そのままユーザーに食事を配達する。支払いはUber同様にあらかじめ登録したクレジットカードで行うため、現金を用意する必要もない。

UberEATSのしくみ

UberEATSのしくみ

なおローンチ時点での東京の配達員は1000人以上が登録。またユーザーにかかる配達料は当初無料としている。Uber側は店舗の売り上げの一部を徴収(店舗ごとに条件を設定しており、詳細は非公開としている)しており、配達員にはさらにその一部を支払う(こちらも詳細非公開)としている。

Uber Japan執行役員社長の髙橋正巳氏は出前、宅配といった文化自体が日本では決して新しい者ではないとする一方、「従来は何かしらの制約があった」と語る。出前を受け付けている飲食店に電話し、その中出前可能なメニューから選ばなければいけないということだ。UberEATSではさまざまなレストランのメニューをオーダーできることから、制約のない、食を起点にしたさまざまなライフスタイルを提案できると語った。例えばピクニック先に人気レストランのメニューをそのまま持ってくるなんてこともできるということだ。加えて高橋氏はまたレストラン店舗、パートナー配達員、ユーザーそれぞれのメリットについて次のように説明した。

店舗のメリット
初期投資なしにデリバリーを開始できる(提携レストランの6割が初めてデリバリーに参入。タブレットの貸与も)
固定費を変えずに売上を向上できる
新規顧客の獲得が可能

パートナー配達員のメリット
一般的なパート、アルバイトとは異なり決まったシフトがない
勤務場所の指定がない
支払いは週単位に行う
サポートも用意

ユーザーのメリット
店舗と同じ価格で商品を受け取ることができる(価格は店舗と同様に設定する必要がある)
配達状況や配達予定時間もアプリで確認できる
クレジットカードを登録すれば現金のやり取りが必要ない
アプリは世界で共通なので、訪日外国人や海外旅行中で注文できう
トラブルへのサポートも用意

Uberは2014年3月に日本でのUberBLACK(いわゆるハイヤーの配車サービス)からサービスを開始。その後もエリアを限定してライドシェアなどのサービスを試験提供してきたが規制の壁もあり中止せざるを得ない状況だった。一方でデリバリーといえば最近ではLINEが撤退し、スタートアップなどが苦戦している領域。海外で先行してサービスを展開するUberの勝算はいかほどのものだろうか。

  1. UberEATSの配達用バッグ

    UberEATSの配達用バッグ。ほかにもリュックタイプのものもある
  2. 発表会ではハンバーガーやパスタ、まぜそばなどが用意されていた

    発表会ではハンバーガーやパスタ、まぜそばなどが用意されていた
  3. Uberが提供するランチボックス

    Uberが提供するランチボックス。店舗は自前の容器も使用できる

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。