ダイソンが電気自動車の開発を断念、全固体バッテリー製造に方向転換

Dyson(ダイソン)は電気自動車の開発を中止したことを発表した。商業的に実現可能な車を作ることができないと判断し、プロジェクトの買い手も見つからなかったためだ。

先進技術の掃除機と扇風機で知られる同社は、現地時間10月10日に発表した声明で「自動車チームは素晴らしい車を開発したがプロジェクトは中止することを決定した」と語った。ダイソンは同プロジェクトの引き取り手も探したがまだ見つかっていないとも書いている。

2017年9月、同社はバッテリー式完全電動駆動自動車を開発中で2020年までに発売すると発表した。2018年10月に同社の取締役会は、最新技術による自動車製造設備をシンガポールに建設することを承認した。2階建ての工場は2020年に完成する予定だった。

ダイソンは電気自動車関連技術から完全に手を引いたわけではなく、今もシンガポールに対して将来を約束している。同社は「全固体電池の製造およびセンシング技術、視覚システム、ロボティクス、機械学習/AIの開発に向けた25億ポンド(3356億円)の投資プログラムを継続する」と創業者のJames Dyson(ジェームズ・ダイソン)氏が声明で語った。

「我々のバッテリーは、ダイソンが新しい刺激的な方向へと向かう上で必ず役に立つものだ」と語り、同社の投資意欲は衰えることがなく、英国、シンガポールの両国で引き続き基盤を固めていくことを言い添えた。

ダイソン氏は、開発中止は製品の失敗でもチームの失敗でもないと語った。同社はプロジェクトに関わっていた社員には新たな役割を与えるつもりであり、ほとんどの社員を社内で受け入れるだけの職があるという。

「我々は設立当初からリスクを取り、新しい製品とテクノロジーで現状に挑戦する道を選んできた」とダイソン氏が声明で語った。「こうしたやり方は進歩を促すが決して楽な旅ではなく、成功への道はまっすぐではなかった。方向転換したプロジェクトはこれが初めてではなく、おそらく最後でもない。私は今まで通りダイソンの未来を大いに楽しみにしている。我々の熱意はかつてないほど強く、投資能力はかつてないほど高く、チームはかつてないほど協力だ」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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