チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブの元従業員が組織の人種差別を告発

Chan Zuckerberg Initiative(CZI、チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブ)の元従業員であるRay Holgado(レイ・ホルガド)氏は、人種差別に関する告発をカリフォルニア公正雇用居住局に提出した。ホルガド氏は黒人で、2018年9月から2020年8月までCZIで働いていた。

「社会的公正という美辞麗句を掲げていながら、CZIは黒人従業員にとって心地よい環境ではありません」とホルガド氏は告発状に書いている。「黒人従業員は不当な低賃金で、過小評価され、成長の機会を奪われ、軽んじられています。組織で昇進を望む黒人従業員は、抑圧され、自己主張が強すぎる、攻撃的すぎるというレッテルを貼られます。一方、黒人以外の従業員は厚遇され励まされます。黒人従業員がこうした不安をCZIの経営陣に訴えると、CZIは防衛反応を示し根本原因に対処しようとしませんでした。CZIは黒人従業員のために『包括的で公正で健全な未来を作る』ことがまったくできていません」。

ホルガド氏は告発状の中で、自分と同じような仕事をしている一部の同僚よりも給料が安かったと主張している。告発状によると、採用担当者はホルガド氏の給与交渉の要求を拒否したが、後に同氏は、他の非黒人従業員は給与交渉が可能だったことを知った。さらにホルガド氏は、自分が昇進と成長の機会を奪われた疑いがあり、人種のために異なる扱いを受けたことについても記述している。

自身の体験に加えて、ホルガド氏はCZIの差別問題は構造的であると語る。告発状によると、ホルガド氏はCZIの共同ファウンダーであるPriscilla Chan(プリシラ・チャン)氏に、組織の多様化アプローチは黒人を雇うことには成功しているが、黒人従業員に自信を持たせるために十分なことをしていないと伝えた。それに対してチャン氏は、問題を認めたものの「DEI(Diversity Equality Inclusion、多様・公正・包括)は人によって見え方が違うものです」と述べたという

CZIはTechCrunch宛の声明で訴えを否定した。

「私たちはあらゆる差別の訴えを深刻に捉え、今後も続ける所存ですが、元従業員によるこの訴えについてはすでに社内で取り上げられており、調査の結果、根拠がないと判断されています」と広報担当者は語った。「チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブはCZIチーム全員の公正な扱い、アクセス、および進歩を約束しています。私たちはいかなる差別も許しません、断固として」。

この告発は、2020年6月に70名以上の従業員グループがCZIに対して、慈善活動をもっと包括的にする12の変更への同意を求めた(Vox記事)のを受けたものだ。その後8月にThe Washington Postは一部の黒人従業員らがCZIに対してもっと人種的に平等なレンズを通して仕事をするよう要望していると報じた。彼らはチャン氏に書簡を送り、CZIには人種差別、不当な扱い、反黒人的な構造的問題があることを訴えた。

「残念なことに、チャン氏はこのときも書簡で取り上げた問題の深刻さを理解せず、グループの要求のいくつかを拒否しました。中でも重要なのは、CZIの黒人従業員に関する給与公正性データの透明化を拒否したことです」とホルガド氏が11月11日にNational Committee for Responsive Philanthropy(全米慈善責任委員会)のサイトに書いている(NCRPリリース)。「黒人従業員が提出した行動計画を実行する代わりに、彼女は最近雇った最高執行責任者に仕事を押し付け、代替案を策定、実行するよう命じました。責任を転嫁し従業員を中途半端に沈静化させようとする組織の体質を複数回目撃したことで、私はこれ以上の努力は無駄であることを認識しました」。

TechCrunchはCZIに連絡をとっており、返答があれば本稿を改訂する予定。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Chan Zuckerberg Initiative

画像クレジット:Florian Gaertner

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

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