ツイッターがインド政府の威嚇行為に懸念を表明、新ITルール遵守期限の3カ月延長を要求

Twitter(ツイッター)は、同社インド支社への警察による訪問を、一種の威嚇であると指摘し、インド政府が制定した新ITルールの要求に懸念を表明した。

現地時間5月24日にインド警察の特別取締隊が同社オフィスに抜き打ち操作を行って以来初めての発言でTwitterは「インド国内の当社従業員に関する最近の出来事、および当社がサービスを提供している人たちの言論の自由に対する潜在的脅威を懸念していると語った。

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さらに同社は「当社の世界共通の利用規約の執行に対する警察による威嚇戦術の利用、およびインド政府の新ITルールの重要項目に関して懸念を示している」インド国内および世界中の数多くの組織に同調する、と述べた。

Twitterの広報担当者は次のように付け加えた。「私たちは、自由で開かれた公開の場の会話を禁止するこれらの規制項目の変更を要求します。今後もインド政府と建設的話し合いを続けるつもりであり、協力した取り組みが不可欠だと信じています。国民の利益を守ることは、公選された議員、業界、および市民社会の共同責任です」。

米国のテック巨人Twitter、Facebook(フェイスブック)とインド政府の間の緊張は、ここ数カ月高まり続けている。Twitterは、インド政府の改革とNarendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相を批判したアカウントのブロックを拒否した後、政治家たちから非難を浴びた。

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インドは米国テック企業にとって最大市場の1つであり、この10年間に何十億ドル(何千億円)という資金を注ぎ込んで、より多くの人たちをウェブとつないできた。インド政府の推計によると、Twitterはインドに1億7500万人のユーザーを有し、WhatsApp(ワッツアップ)には5億3000万人以上のユーザーがいる。

5月26日にWhatsAppが、デリー市の法廷で新しいITルールについてインド政府を訴えて以来、緊張はいっそう高まった。同社は、新ルールはユーザーのプライバシーを侵害し、インド政府に大量監視を実施する力を与えると指摘した。

インド政府は新ITルールを2月に発表し、企業が遵守するまでに3カ月間の猶予を与えた。今週その期限が切れ、TechCrunchが最初に報じたように、電子情報技術省は26日にソーシャルメディア企業に対して遵守状況を報告するよう依頼した

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Twitterは27日、新ITルールが要求しているコンプライアンス責任者のプラットフォーム上のコンテンツに対する刑事責任、事前の監視、およびユーザー情報の要求に関する無制限の権利は、危険な過剰範囲拡大であり、オープンで民主的な原則と相容れない、と発言した。

さらに同社はインド政府に対し、新ITルール遵守期限の最低3カ月間の延長、および公開協議プロセスの標準運用手続きの公表を要求した。

Twitterは、最近インド政府から別の不遵守通知を受け、通知に特定されていたコンテンツの一部を公開停止したと語った。特定されたコンテンツは、2021年2月のブロック命令に書かれていたものだとTwitterは言った。

最近同社は、不遵守通知に従ってコンテンツを非公開にせざるを得ない状況であると語った。従わない場合、Twitter従業員に多大なリスクがかかる刑事罰が課される、と同社は言った。

5月27日、Google CEOのSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は、同社は新ITルールの遵守を誓約していると語った。「今は始まったばかりで、当社の現地チームは非常に忙しい。ご存知の通り私たちは現地法を守っており、同じ枠組みに沿ったアプローチをとっていきます」とピチャイ氏はいう。

「私たちは情報の重要性を全員に説明し、情報の自由な流通を推進していますが、民主主義国家の立法プロセスを尊重したいと考えています。ルールの遵守を誓約します」と彼は話し、同社が応じた要求はすべて、透明性レポートで報告することを付け加えた。

Twitterの声明に対するインド政府の反応。

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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