テスラの「完全」自動運転という表現に対し米上院議員がFTCに調査を要請

2人の民主党上院議員が、今度の連邦取引委員会(FTC)の議長に、Tesla(テスラ)のオートパイロットとフルセルフドライビング両システムの自動運転能力に関する、同社の声明を調査するよう求めた。上院議員Edward Markey(エド・マーキィー)氏(民主党・マサチューセッツ州)とRichard Blumenthal(リチャード・ブルーメンソール)氏(民主党・コネチカット州)は、クルマに完全な自動運転能力があると顧客に誤解させかねないTeslaの文言に対して特に懸念を表明している。

「Teslaのマーケティングは、自社の自動車の性能を繰り返し誇張しており、こうした表現は、自動車運転者や他の道路利用者に対する脅威となっています。したがって私たちはTeslaの運転自動化システムの広告およびマーケティングにおける欺瞞的で不公正な行為の可能性について調査を開始し、道路上のすべてのドライバーの安全を確保するために適切な執行措置をとることを強く求めます」と両議員はFTCに対して述べている。

FTCの新議長Lina Khan(リナ・カーン)氏に宛てた書簡で両氏は、Teslaが2019年にYouTubeの同社チャンネルにポストしたビデオを問題視している。Teslaの自動運転を見せるそのおよそ2分のビデオは「Full Self-Driving」(完全な自動運転)と題され、1800万回以上視聴された。

両議員によると「同社の主張はTeslaのドライバーと、旅をするすべて人たちを重傷や死の危険にさらしている」という。

Teslaと公式の調査は、雨が降れば土砂降りになるといった関係だ。例えばこの書簡が発表されたわずか2日前には、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)が、Tesla車が駐車している緊急車両に衝突した事件の予備調査を開始している。

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リナ・カーン氏は、これまで最も若いFTCの議長だ。彼女は多くの人たちから、反トラスト法で学位を持つことなどから、近年で最も先進的な起用だと考えられている。しかしFTCがTeslaを調査することになったら、そのケースは反トラスト法と何ら関係がなく、むしろ消費者保護に該当することになる。製品に関する企業の、偽のあるいは誤解を招きかねない主張の調査は、確かにFTCの守備範囲だ。

Teslaの主張に対してFTCに公開調査を求めた著名人や機関は、今回が初めてではない。2018年には、2つの特定利益団体Center for Auto SafetyとConsumer Watchdogが、やはり同委員会にAutopilot機能のマーケティングに関して書簡を送った。2019年には上記交通安全局がFTCに、TeslaのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏によるModel 3の安全に関する主張が「不公正または欺瞞的に相当しないか」調査するよう主張した。

Teslaの「Full Self-Driving」(完全自動運転)は、代価の一部またはサブスクリプションとして1万ドル(約110万円)を課金される。現在、同社はそのバージョン9のベータテストを数千名のドライバーで行っているが、上院議員たちはベータも対象にしている。「ベータ9へのアップデートの後でドライバーたちはビデオをポストしたが、それによると、アップデートされたTesla車は予想外の動作をして、衝突を防ぐためには人間の介入を必要とした。マスク氏がソーシャルメディア上に目立たないように置いた生ぬるい警告は、ドライバーを誤導し、路上の全員の命を危うくしたことの言い訳にはならない」という。

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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