テスラのニューヨークのギガファクトリーが人工呼吸器の生産を再開

Tesla(テスラ)のCEOであるイーロン・マスク氏は3月25日に、米国ニューヨーク州バッファローにある同社の工場を、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの蔓延により供給が不足している、人工呼吸器の生産を行うために「人手が確保でき次第」再開すると語った。

同日にTwitterに流されたマスク氏のコメントは、同氏がすでに発言していた人工呼吸器の寄付、もしくは重要な医療機器の増産を行う計画に続くものだ。こうした機器は、新型コロナウィルスによって引き起こされる呼吸器疾患に苦しむ患者たちに必要とされている。新型コロナウイルスは肺を攻撃し、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)や肺炎を引き起こす可能性がある。

そして、まだ臨床的に証明された治療法がないため、患者が呼吸し病気と戦えるように、人工呼吸器が頼られている状況だ。 ニューヨークタイムスの報道によれば、米国には現在約16万台の人工呼吸器があり、さらにNational Strategic Stockpile(国家戦略備蓄機構)には1万2700台の人工呼吸器が備蓄されている。

先週、テスラは声明で、電気自動車を組み立てるカリフォルニア州フリーモント工場とニューヨーク州バッファローのギガファクトリーでの生産を一時停止すると発表した。ただし「サービス、インフラストラクチャー、重要なサプライチェーンに必要な部品と供給品」の生産は停止されない。

マスク氏の声明からは、バッファロー工場がいつ再開するのか、あるいはソーラーパネルの製造に使用されている工場の一部の転用に、どれくらいの時間がかかるのかは明らかではない。マスク氏は、これがMedtronic(メドトロニック社)との提携の一部であるか否かには言及していない。

MedtronicのCEOであるOmar Ishrak(オマー・イシュラック)氏は、3月25日にCNBCに対して、救急医療用人工呼吸器の生産量を増やしつつ、テスラなどの他のパートナーと提携を行っていると語った。Medtronicは、他の人ができる限り迅速に製造を行うことができるように、より急性ではない状況で使える下級グレードの人工呼吸器の1つをオープンソース化すると述べた。こうした下級グレードの人工呼吸器は部品点数が少ないため生産が容易であり、重篤なケア以前の中間的な段階に利用できるという。

テスラは、GM、フォード、そしてフィアット・クライスラーに並んで、人工呼吸器を寄付するか、生産のための資源を提供することを約束した自動車メーカーの1つである。フォードは今週初め、人工呼吸器の生産能力を拡大するためにGEヘルスケアと協力していると述べた。

GMは、Ventec Life Systemsと協力して、人工呼吸器などの呼吸ケア製品の 生産拡大を支援している。Ventecは、GMの物流、購買、製造の専門知識を活用して、より多くの人工呼吸器を生産する。なお、生産数が上昇する時期や、どのくらいの数の人工呼吸器が製造される予定なのかについての詳細は、いずれの会社からもまだ明らかにされていない。

画像クレジット:Yichuan Cao/NurPhoto(opens in a new window)/ Getty Images

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(翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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