ディープラーニングを企業が使いやすい形で提供するSkymind、アジア市場開拓を目指す

Y Combinatorで孵化したAIプラットホームSkymindは、ディープラーニングをエンタープライズにとってアクセスしやすくすることがミッションだ。同社は米国時間3月20日、TransLink CapitalがリードするシリーズAのラウンドで1150万ドル(約12.7億円)を調達したことを発表した。これには、ServiceNow、住友のPresidio Ventures、UpHonest Capital、およびGovTech Fundが参加した。また初期の投資家であるY CombinatorやTencent、Mandra Capital、Hemi Ventures、そしてGMO Venturesらも参加した。これで、同社の調達総額は1790万ドルになる。

TransLink Capitalの存在が、今回の資金調達の目的を示唆している。TransLinkの得意技は、起業家のアジア市場開拓を助けることだ。Skymindもアジア市場に大きな機会があると信じているので、TransLinkのリードは理にかなっている。Skymindは、今度の資金で北アメリカにもチームを作り、顧客を獲得していきたいと考えている。

SkymindのCEOクリス・ニコルソン氏(Chris Nicholson)は、次のように語った。「TransLinkはこのラウンドのリードとして完璧だ。彼らは、北アメリカとアジアの間のコネクションの作り方を知っている。そこは世界でもっとも大きく成長している地域だ。そして、さまざまなシナジーの可能性もある。ServiceNowのような戦略的投資家の参加と、住友のPresidio Venturesが初めてわれわれを支援してくれたことも、すごく嬉しい。ServiceNowとはすでにコラボレーションしており、そこではSkymindのソフトウェアが、彼らが展開する強力で新しい技術の一部になっている」。

今では誰もが知っているように、エンタープライズはAIを何らかの形で採用しなければならないことを分かっているが、そのやり方が分からない。Skymindのツール、とくにそのコアプロダクトであるSKIL frameworkを利用すれば、データの取り入れ、洗浄、モデルの訓練、その実稼働までのワークフローを、データサイエンティストがこなせるようになる。つまりここでの同社の約束は、SkymindのツールがデータサイエンティストとITとの間にあるあるギャップをなくすことだ。

ニコルソン氏は語る。「AIにとって二つの大きな機会は、顧客体験の改善と効率の向上だ。そしてどちらもその源泉は、データに関するスマートな意思決定だ。それを、AIが行う。エンタープライズにとって重要なデータは、その多くがテキストと時系列データだ。前者の典型が企業や各部署のブログ、後者の例は会計経理のデータなどだ。したがってそこには自然言語処理と、ログのようなデータストリームに基づく意思決定の、膨大な量の需要がある」。

現在のSkymindの顧客は、前掲のServiceNowや、Orangeのような通信企業だ。またCiscoやSoftBankなど一部のテクノロジー系パートナーは、Skymindのサービスを自分たちのポートフォリオに統合している。

また、忘れてならないのは、Javaで書かれたオープンソースのAI/ディープラーニングライブラリとしていちばん多く使われているDeeplearning4jの作者が、Skymindであることだ。またPythonによるディープラーニングフレームワークKerasにも、同社が大きく寄与貢献している。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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