”デジタル・インディア”の波に乗って個人ローンの改革を目指すCredy

ソーシャルレンディングプラットフォームのCredyは、個人ローンをインド国民にとってもっと身近なものにしようとしている。Y Combinatorの2017年冬期バッチに参加している同社は、個人ローンの契約プロセスを電子化し、P2Pローンをより多くの借り主・貸し主に広めることで、市民が資本へアクセスしやすい環境をつくろうとしているのだ。

Credyは、現在インドで起きている、いくつかの大きな制度改革の波に乗りながらビジネスを展開中だ。改革の影響で、今後個人の特定や信用力の把握が容易になり、電子決済も増えていくと考えられている。そんな改革のひとつめが、Aadhaar IDシステムと呼ばれる、世界最大の生体認証IDシステムの導入で、既に10億人以上のインド市民が同システム上に登録されている。

ふたつめの改革が高額紙幣の廃貨だ。昨年末に施行されたこの政策によって、流通通貨の85%以上(金額ベース)が使えなくなった。政策の効果や施行プロセスについては未だ議論の余地があるものの、高額紙幣の廃貨により、インドは間違いなく現金中心の社会から、オンラインバンキングや送金中心の社会へと変わっていくだろう。

上記のような背景の中、Credyは500億ドルの規模で年間30%の成長を遂げている個人向けローン市場を変えるべく誕生した。市場規模は既にかなり大きいように感じるが、Credyの共同ファウンダーでCEOのPratish Gandhiによれば、平均でインド市民7人のうち1人しか個人ローンを借りられないという現状を考えると、市場規模は今後さらに拡大する可能性があるという。

Credyのチームは、全てオンラインで行われるローン申請や、電子IDとのリンクによって、ローンを利用できる市民の数は劇的に増えていくと考えている。紙の書類が中心で、申請完了までに数日から数週間もかかってしまうような現状の借入システムとは違い、Credyのサービスでは、申請者が基本情報を提出すると、すぐに承認が得られるようになっている。

一旦申請が承認され、本人確認のプロセスを完了すれば、Credyのプラットフォーム上でローン契約を結び、お金を借りられるようになる。平均的なローンの金額は500〜1000ドルで、返済期間は6〜9ヶ月といったところ。

Credy自体は貸付を行っておらず、彼らはマーケットプレイスとして、貸し主(主に高所得者層の個人)と承認済みの借り主を結びつける役割を担っている。Credyの創業メンバーは、以前Goldman Sachsのリスク管理部門で勤務しており、そのときの経験がコンシューマー向けの市場で活かされているようだ。

同社のプラットフォーム上では、これまでに合計約300万ドル分のローン契約が結ばれているが、この数字はバンガロール市内だけのものだ。Y Combinatorからの投資や、送金をスムーズに行うための銀行とのパートナーシップを通じて、Credyは今後数ヶ月のうちに速度を上げてスケールしていこうとしている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

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TechCrunch Japan

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