デベロッパーの安全なコードをサポートするSnykがまたも大型の資金調達、バリュエーションは約9340億円に

デベロッパーがより安全なコードを提供できるようにするボストン拠点のレートステージスタートアップSnyk(スニーク)は米国時間9月9日、またも大型の資金調達ラウンドを発表した。今回は85億ドル(約9340億円)のバリュエーションで5億3000万ドル(約580億円)を調達し、うち3億ドル(約330億円)が新規、残る2億3000万ドル(約250億円)がセカンダリーだ。セカンダリーの方は従業員やアーリー投資家がストックオプションを現金化するのに使われる。85億ドルというバリュエーションは同社が3億ドルを調達した2021年3月の47億ドル(約5170億円)から大幅にアップしている。

関連記事:アプリケーションセキュリティのSnykが評価額5100億円で約326億円を調達、トップ人事を増強しIPO間近か

投資家の長いリストは、パブリック投資家、VCファーム、戦略投資家の興味深いミックスだ。Sands CapitalとTiger Globalが本ラウンドをリードし、新規投資家としてBaillie Gifford、Koch Strategic Platforms、Lone Pine Capital、T. Rowe Price、Whale Rock Capital Managementが参加した。既存投資家からもAccel、Addition、Alkeon、Atlassian Ventures、BlackRock、Boldstart Ventures、Canaan Partners、Coatue、Franklin Templeton、Geodesic Capital、Salesforce Ventures、Temasekが参加した。

Snykによると、今回のラウンドによりセカンダリーラウンドを除く累計調達額は7億7500万ドル(約850億円)となった。Crunchbaseのデータによると、セカンダリーラウンドを含めると13億ドル(約1430億円)になる。Snykはものすごい速さで資金を調達してきた(過去3回のラウンドにはSnykの資金とセカンダリーラウンドが含まれる)。

Snykは売上高の具体的な数字を公開していないが、ARR(年間計上収益)は前年に比べて158%成長した、と同社は述べた。今回の投資家リストとバリュエーションの信頼性を考えると、同社がかなりの額を稼いでいることがうかがえる。

SnykのCEOであるPeter McKay(ピーター・マッケイ)氏は、新たに調達した資金でチャンスが来たときに買収するというフレキシビリティーが得られる、と話す。買収については、同社は常々「非オーガニック」成長と呼んでいる。「今回の資金の一部は非オーガニック拡大のために使われると確信しています。これまでに当社は3件の買収を行い、いずれも当社にとってかなりの成功でした。ですので、当社が確かに注力しているところです」とマッケイ氏は筆者に語った。

Snykの2021年初めの従業員数は400人で、2021年末までに倍になると見込んでいると同氏は話す。多様性に関しては、完璧ということはないが、懸命に取り組んでいるとのことだ。

「多様性を生み出すために世界中で良いプログラムを多く構築することができ、当社はかなり分散されているために当社のカルチャーは常に本質的に包括的でした」とマッケイ氏は付け加えた。「なりたい姿にかなり近づいている、と私は絶対に言いません。ですので、はっきりさせておきたいのです。取り組まなければならないことはまだたくさんあります」と述べた。

いつ上場するかを決めるのに今回の資金でフレキシビリティ要素が加わった、とマッケイ氏は話す。というのも、上場するときは新たな資金調達を要するときであって、上場企業でなければならない、というものではないからだ。「今回の資金調達で当社は非常に評判の良い強力なパブリック投資家からの支援を獲得でき、これによりタイミングを選ぶことに関して財務面でのリソースを得ました。当社は上場時期をコントロールしていて、正しい時期に実行します」と述べた。

画像クレジット:scyther5 / Getty Images

原文へ

(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。