データ自動取得で火花を散らすクラウド会計、freeeとマネーフォワードが立て続けにレジ勢と提携

簿記の知識がなくても確定申告や会計処理を可能にするクラウド型会計ソフト。国内ではfreeeマネーフォワードの2社が競合。どちらも顧客となる中小企業や個人事業主を取り込むために、機能強化を図りつつ、銀行やクレジットカード、ECサイトなど各種サービスのデータを自動取得するための提携を進めている。こうした施策の一環として、freeeが19日にリクルートライフスタイルの無料POSレジアプリ「Airレジ」、マネーフォワードが20日にスマートフォンやタブレットを使った決済サービス「Coiney(コイニー)」との提携を発表した。

freeeとAirレジの提携は、Airレジを利用する店舗の売上データを自動でfreeeに取り込めるようにするもの。Airレジで集計した売上のデータは1日1回、freeeに自動で取り込まれ、freee上で複式簿記の仕訳として反映される。現金だけでなく、クレジットカードやリクルートポイントでの支払いも区別して自動で取り込めるようになっている。従来のレジを使った場合、レジに売上データが入っていても、日々の締め作業でレシートを再度印刷し、会計ソフトにその内容を手入力する作業が必要だった。

マネーフォワードとCoineyの提携は、Coineyを導入している店舗の売上データを毎日マネーフォワードに取り込むことで、マネーフォワードへの売上データの手入力を省けるようにするもの。クラウド型会計ソフトでスマホ向け決済と提携するのは国内初といい、Square楽天スマートペイPaypal Hereといった同様のサービスともデータ連携に向けて協議を進めているそうだ。

マネーフォワードは2月17日、ECサイト構築サービス「BASE」、タブレット型POSシステム「EC-Orange POS」、クラウドソーシングサービス「クラウドワークス」とのデータ連携を開始。現時点では銀行1351サイト、クレジットカード51サイト、電子マネー6サイト、通販2サイトなど合計1420サイトから、自動的に売上データを取得することが可能となっている。

3月25日には、マネーフォワードにメールで請求書を送信する機能を追加する。これまでも請求書PDFをダウンロードすることは可能だったが、メール送信機能によって請求書を相手が受け取ったかどうか確認できるようになる。

freeeは、元グーグル社員の佐々木大輔氏が2012年7月に設立。2013年3月のサービス開始から1年で6万以上の事業者が利用しており、特に2014年以降はユーザー登録のペースが年末の5倍に達する勢いなのだという。その背景には、4月にWindows XPのサポート期間が終了し、インストール型の会計ソフトから乗り換るユーザーが増えていることや、消費税率の変更によって既存アプリのアップデートの波が来ていることがあるそうだ。

一方のマネーフォワードは、ソニーやマネックス証券に勤めていた辻庸介氏が2012年5月に設立。もともとは、銀行やクレジットカードなどの複数口座を一括で管理し、入出金情報を自動入力してくれる家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」を手がけていたが、2013年11月にクラウド会計ソフト事業にも参入。2014年1月の正式ローンチ時には、月額料金をfreeeの980円より低い800円に設定するなど攻勢をかけている。現在の利用者数は「数万人」だという。


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TechCrunch Japan

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