デートアプリTinderが任意の本人確認機能を全世界で近々利用可能に

Tinder(ティンダー)は米国時間8月16日「今後数四半期」のうちに、ユーザーはアプリ上で本人確認できるようになると発表した。この機能は2019年に最初に日本で公開された。当地ではユーザーが18歳以上であることを立証しなければならない。法律で定められている日本のような場所以外では、本人確認は「任意項目としてスタートする」とTinderがブログ記事に書いている。

本人確認は、写真検証機能と同じく全ユーザーが無料で利用できる。Tinderの広報担当者によると、同社は性犯罪者登録簿などを利用できる地域ではそのデータとの相互参照にも本人確認を使用する。すでにTinderは、ユーザーがサブスクリプション登録する際のクレジットカード認証にこの本人確認を行っている。利用規約によると、Tinderはユーザーに対して「重罪、性犯罪、あるいは暴力をともなう犯罪で有罪判決を受けたり、不抗告を申し立てたことがなく、いかなる州、連邦あるいは地域の性犯罪者登録簿にも性犯罪者として登録する必要がない」ことを要求している。

現在の写真検証機能では、ユーザープロフィールにTwitter風の青いチェックマークがつけられるが、本人確認では目につく別のバッジを取得できる。こうしてユーザーは、交際相手候補が写真検証か本人確認あるいは両方を通じて身元を確認済みであるかどうかを知ることができる。

「真に公正な本人確認方法を作ることは難題ですが、不可欠な安全プロジェクトであり、当社はコミュニティや専門家が、私たちのアプローチの情報収集に協力してくださることを願っています」と同社は 書いた

Tinderは、安全機能への継続的投資を行ってきたが、本人確認の効果は限定的だ。確認が任意であり、未確認ユーザーとの出会いを心地よく感じるかどうかが個人の責任に任されているからなおさら。しかし、2021年3月、Tinderの親会社であるMatch Group(マッチ・グループ)は、非営利の身元調査団体、Garbo(ガーボ)数億円の資金を投資した。Garboの身元調査は、暴力や虐待の履歴のあるデートアプリユーザーを検出するのに役立つ可能性があるが、どのようにTinderに統合されるのか、利用するには料金がかかるのかなどはまだ不明だ。ちなみにGarboは「公正な身元調査」を行うために、薬物所持および軽微な交通事故を対象から除外しており、これらの罪が弱い立場の人々に対して不均衡に課せられている現状を挙げた。

関連記事:Match Groupが素性調査を行う非営利団体Garboに数億円の資金を投資

Tinderは同社の本人確認にGarboの技術を使用しないと語ったが、秋にはGarboを通じた身元調査に関してさらに情報を提供する予定だとTechCrunchに伝えた。Garboから得られた情報へのアクセスが有料になるかどうかについて、Tinderは言及しなかった。Match GroupはGarboへの投資に際して、(この情報を有償で提供する場合)価格はユーザーの利用状況、すなわち何人のユーザーが使いたいか、何回検索したいかによって決定するつもりだと語った。

Tinderが安全機能に力を入れていることは明るい話題だが、もし有償提供であれば効果は限定的だ。Match Groupは2019年12月にColumbia Journalism Investigation(CII)およびProPublicaの調査が、同社が性犯罪者の排除を有料サービスのMatchで行っているが、Tinder、OkCupid(オーケーキューピッド)、PlentyofFish(プレンティーオブフィッシュ)などの無料サービスでは行っていないことを指摘したことで厳しい批判を浴びた。当時同社広報は次のように語った「当社の無料サービスに登録性犯罪者がいることは間違いありません」。

2020年1月、Raja Krishnamoorthi(ラジャ・クリシュナムルティ)下院議員(民主党・イリノイ州選出)はデートアプリのユーザー安全ポリシーの調査を実施し、Match Group、The Meet Group(ザ・ミート・グループ)、Bumble(バンブル)、およびGrindr(グリンダー)の各社にレターを送った。同氏は「性犯罪者からの保護は有料顧客に限定された贅沢であるべきではありません」。2月、Ann Kuster(アン・クスター)下院議員(民主党・ニューハンプシャー州)とJan Schakowsky(ジャン・シャコウスキー)下院議員(民主党・イリノイ州)は他の9名の議員の署名とともにMatch Group宛にレターを送り、Match Groupがユーザーの報告を性犯罪者登録簿と相互参照していないことへの懸念を表明した。

同時期にMatch Groupは、ユーザーの安全への投資を強化する動きをいくつか実施した。例えば2020年1月にNoonlight(ヌーンライト)を買収し、米国のユーザーが誰といつどこで人と会ったかをシェアできるようにした。危険な状況に陥った場合、ユーザーはわからないように緊急サービスを始動できる。Noonlightはまずユーザーと接触し、必要なら911に通報する(Noonlightの基本バージョンは無料だがApple WatchやGoogle Home、Alexaなどとの接続には月額5ドル(約550円)または10ドル(約1100円)のプランへのアップグレードが必要)。この種の機能は警察の介入に対する懸念から議論を呼ぶことがあるが、安心感を求めるユーザーには役立つかもしれない。しかし、登録前に犯罪者をブロックすることで、そもそもそのような介入の必要性を減らすことができる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Tinderデートアプリ本人確認

画像クレジット:Tinder

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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