トランプ大統領の緊急命令でボーイング737 Maxは飛行全面差し止め

New York Timesによれば、トランプ大統領は米国における737 Maxの飛行を当面禁止する大統領命令を発した。これはエチオピア航空のボーイング737 Maxの墜落事故を受けたもので、ボーイング社はFAA(米連邦航空局)、NTSB(米国家運輸安全委員会)と協議した後、この措置に全面的に協力すると声明した。

3月10日にエチオピア航空の737 Maxがアディスアベバ空港を離陸した直後に墜落し、乗員、乗客157人全員が死亡する墜落事故が起きた。これによりEUを含む各国が737 Maxの飛行を禁止する中、FAAに対して同型機の飛行を差し止めるよう圧力が高まっていた。ボーイングの声明は「原因解明と再発防止に全力を挙げる」としている。

737 Maxはナイジェリアとインドネシアの航空会社の運行するフライトで事故を起こしていたが、New York Timesの以前の記事によれば、ボーイングのCEO、Dennis A. Muilenburgはシカゴからトランプ大統領に電話をかけ、737 Maxの安全性について問題ないと確約していたという。主要国の中で米国だけが737Maxのフライトを停止する措置を取っていなかった。

報道によればこの電話は月曜日から予定されていたが、トランプ大統領がTwitterでハイテク旅客機の安全性に疑念を示したため繰り上げられたものらしい。

飛行機を飛ばすのは難しくなり過ぎている。パイロットはいらない、MIT卒のコンピューター科学者だけいればいい、という具合だ。飛行機だけでなくさまざまな製品で同じことが起きている。そしていつも行き過ぎて余計な機能を付け加えてしまう。瞬時の判断が必要な場合には古き良き単純な方法のほうがずっといい。

トランプ大統領が飛行禁止の緊急命令を発する準備をしていることが報じられたが、ボーイングは争わず従う姿勢を示した。

速報:トランプ大統領、「737 max 8および737 max 9のすべての飛行を禁止する緊急命令を発する準備をしている」

ボーイング社は声明で次のように述べた。

我々は安全性に積極的に配慮した(緊急命令による)措置を全面的に支持する。 安全性は過去も現在もボーイング社が旅客機を設計、製造する過程で最優先する中心的価値であり、.これに以上に優先すべき課題は我々にも我々の産業にも存在しない。我々は調査担当チームと協力しなが事故の原因を解明し、このような事態が二度と起きないよう安全性を増強する施策を追加すべく全力を挙げている。

そしてついいにFAAは正式に737 Maxの飛行を禁止した。以下がFAAの声明だ。

FAAは米国の空域内で、あるいは米国の航空会が運行する場合において、ボーイング737 MAX航空機の飛行を一時的に禁止することを命じた。FAAは新たなデータを入手し続けており、この措置は本日朝までのデータの分析結果に基づくものだ。

飛行停止は調査が行われる期間中継続される。これにはコックピットの音声を含む墜落機のフライトレコーダー記録の解析が含まれる。フライト302の事故について、FAAのチームはNTSBの事故調査にエチオピア現地で協力している。

画像:Joe Raedle / Getty Image

【編集部注】日本の航空会社ではANAが737-8 Maxの導入を決定しただけですでに運用している例はない。Wikipediaのページ末尾に採用航空会社と運行状況の一覧があるが、FAAが飛行を差し止めたためすべての737 Maxが運行停止となった。737 Maxは昨年10月にインドネシアのライオンエアが運行する機体が墜落し189人が死亡する事故を起こしていた。

なおTechCrunchでは同じくShieber記者が昨日、「737 Maxの墜落でEUが飛行差し止め、原因はオートパイロットの不具合か?」という記事を執筆していた。記事によれば機体の迎え角(AoA)を検知するセンサー系に不具合があるとシステムが不正な機種下げを実行しようとする。自動操縦解除の手順に不慣れなパイロットの場合、高度の乱高下などを引き起こし墜落の原因となる危険性があるという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

投稿者:

TechCrunch Japan

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