トランプ氏の疑念にもかかわらず投票ソフトウェアに対する懸念は杞憂に終わる

米国の約半数の州に投票集計ツールを提供するDominion Software(ドミニオンソフトウェア)が数百万票を「削除」したとのニュースは、退場しつつあるトランプ大統領がでたらめなインターネットフォーラムで言及された数字をオウム返しにした後、明確に否定された。

米国時間11月12日の朝、選挙の不正に関して根拠のない主張をツイートしたDonald Trump(ドナルド・トランプ)氏は、右翼のニュースサイトであるOANNから引用した。ツイートは、係争中の内容を含んでいるという警告がなされ、すぐに隠された。

そのサイトに投稿した匿名の人物は、出口調査やその他の選挙関連の評価を行う会社であるEdison Research(エジソンリサーチ)とDominionの数字を比較し、まったく異なる数字に到達したと主張した。検証方法は十分に説明されておらず、その結果もきちんと説明されていない。何を何となぜ比較したのか、またどのような理由でこの「不正」を実行したと思われる会社自身が公にしたのかは本当にはっきりしない。この分析を検証した人もいない。

Politifact(ポリティファクト)へのコメントで、Edisonの社長であるLarry Rosin(ラリー・ロージン)氏は、「不正投票の証拠はありません」と述べた。その分析とやらが何を指しているのかはほとんどわからない。

Dominionは11月9日の週の初め、わずかな誤りにより多数の票がトランプ氏ではなく次期大統領Joe Biden(ジョー・バイデン)氏に入れたように見えたことで注目を集めた。しかし誤りはすぐに発見され、人為的ミスの結果だと判明した。同社はソフトウェアに関する偽情報と戦うための専用ウェブページを用意している

Politifactはトランプ氏の主張を「Pants on Fire(嘘をつくとお尻に火がつくよ)」「ばかげている」と評した。ツイートには、予想される不正の数すら正しく記載されていなかったことは注目に値する。

「分析」には何のメリットもないようだが、投票機の仕組みをよく知らない人、つまりこの問題に直接関与していないほとんどの人がソフトウェアを根本的に信頼できないと判断する傾向があることを示す優れた例だ。

しかし、民間のソフトウェアツールに全面的に頼らずに、選挙後数時間または数日で数百万の投票を数え、集計し、検証する方法はない。実際には民間のソフトウェアの信頼性と安全性は高まっている。選挙のプロセスは党派を超えて極めて綿密に監視されている。

選挙委員と州の幹部は、パンデミックの中で選挙を実施することの難しさと投票所・郵送の両方で非常に高かった投票率を考えれば、選挙は驚くほど円滑に運んだと口をそろえて明言した。

サイバーセキュリティおよびインフラストラクチャーセキュリティ当局の下にある主要な連邦委員会は11月12日、先週の選挙についてこう述べた(CISAリリース)。「米国史上最も安全な選挙でした。投票システムが投票を削除した、失くした、投票内容を変更した、何らかのかたちで侵害したという証拠はありません。我々は選挙の安全性と完全性に最大限の自信を持っていることを保証します。あなたもそうすべきです」。

政府内で数を減らしつつある重要人物らによる非難にもかかわらず、先週の選挙で重大な不正投票やその他の不正があったという証拠は提示されていない。その結果、元副大統領で現在は次期大統領のジョー・バイデン氏が勝利した。

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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