ドローン向けソフト開発のCLUEが3.3億円調達、すでにアフリカでもビジネス展開

ドローン用のソフトウェア開発を手がけるCLUEは11月15日、リアルテックファンドなどを引受先とする第三者割当増資を実施し、総額で3億3000万円を調達したと発表した。また、リクルートホールディングス執行役員である岡本彰彦氏が、2017年11月よりCLUEの社外取締役を兼務することも明らかとなった。

投資家リストは以下の通り:

CLUEはドローンの自動飛行制御やデータ管理・加工を行うためのソフトウェアをB向けに提供するスタートアップ。現在同社は、ドローン用のデータ管理クラウドサービスである「DroneCloud」を提供しているほか、ドローンを用いたB向けサービスとして、不動産物件点検、インフラ点検、空撮などのサービスを行っている。

ドローン用のクラウドサービス、そしてドローンを用いた企業向けサービスを2つの軸としてビジネスを展開してきたCLUEだが、今回の資金調達を期に彼らは転換点を迎えたことになる。それを象徴するのが、スマホで動かすドローン屋根撮影アプリの「Drone Roofer」だ。

Drone as a Service

Drone Rooferは、彼らがこれまで行っていたドローンによる屋根の点検サービスを、顧客自身が簡単に行えるように設計されたモバイルアプリだ。従来は派遣された専門パイロットがドローン操作を行うのが一般的だったが、機能を絞ることで、モバイルアプリを通して顧客が自分自身で操作を行えるようになる。

顧客となるのは屋根施工業者やリフォーム会社、損害保険会社などだ。操作は非常に簡単で、モバイルアプリとドローンを連携すれば、アプリのボタンを押すだけでドローンが上昇開始して画像を撮影する。

Drone Rooferは点検に使うドローンを含むパッケージとして提供される。初期導入費用、月額費用などはまだ調整中で未定だ。

CLUE代表取締役のを務める阿部亮介氏は、「Drone Rooferは、これまでに私たちが点検サービスで培ってきたノウハウと、私たちが持つ自動飛行技術を組み合わせたものだ。ドローンをスマホアプリで制御するのは、これが日本初だと思う」と語る。

代表取締役の阿部氏、そして取締役COOの夏目和樹氏はともにWeb畑の出身だ。阿部氏はディー・エヌ・エーでWebエンジニアを、夏目氏はリクルートでWebディレクターとして働いていた。そのバックグランドを持つ彼らから生まれたのが、“DaaS(Drone as a Service)”という考え方だ。

「最近になって企業が各種のドローンサービスを利用する例は増えているが、そのほとんどが現場までドローンとパイロットを運んで操縦するというものだった。それとは対象的に、CLUEでは、ユーザーがPCを通してSlackを利用するようにドローンを通して必要なサービスを必要な分だけ利用するという世界を目指しています。そのために必要となる自動飛行技術が私たちの強みです」(夏目氏)

アフリカ事業も展開

その自動飛行技術を利用して、CLUEはガーナ、ベナン、タンザニアといったアフリカ諸国の政府を相手にした海外事業も開始した。日本の道路とは違い、アフリカの道路の質は低く、至るところで陥没が発生する。CLUEのアフリカ事業では、その上空をドローンに自動飛行させて画像を撮影し、道路の問題箇所を割り出すというサービスを提供している。

単に問題箇所を見つけ出すだけではなく、問題が多い場所を特定して工事の優先度を知りたいというアフリカ政府側のニーズにも応えているそうだ。

「アフリカでは、十分な金融インフラがなかったからこそモバイル決済が先進国よりも早く普及した。それと同じく、トラックや道路など十分なインフラがないアフリカではドローンの普及スピードも早くなる」と、前職でアフリカ事業を手がけていたこともある夏目氏は分析する。

CLUEは2014年8月の設立で、これまでに2度の外部調達を実施している。今回を合わせた累計調達金額は約3億7000万円だ。CLUEは今回調達した資金を利用してエンジニアの採用を進めて技術開発体制を整えるとともに、海外展開の強化を進めていくとしている。

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TechCrunch Japan

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