ドローン配送のPrime AirにAmazonは本気だ―NASAの宇宙飛行士など多数の人材獲得

ドローンを利用して注文から30分で配達するAmazonの野心的プロジェクト、Prime Airに重要な動きがあった。Prime Airはマーケティングのための話題作りなどではないらしい。Amazonは最近宇宙航空工学の分野における重要人物を何人もスカウトした。この中にはNASAの宇宙飛行士やMicrosoftの研究者、さらにはGoogle Earthの元となったスタートアップ、Keyholeの共同ファウンダーまで含まれる。

AmazonがこのタイミングでPrime Airにテコ入れを図る理由は何だろう?

Jeff Bezosはは昨年のクリスマスを控えた時期にCBSの60 Minutesのインタビュー中で派手にドローンによる配達計画、Prime Airを発表した。インタビューしたベテランのレポーター、Charlie Roseはドアをくぐった先にPrime Airのドローンが鎮座しているのをみて「これはなんと!」と驚きの声を上げた。

多くの専門家はCBSの報道に疑問を抱いたHacker NewsなどはPrime Airは「ベイパーウェア」、つまり単なる話題作りのためのプロジェクトで現実性はないと批判した。またFAA(連邦航空局)もPrime Airに友好的ではない。去る6月にFAAhはPrime Airを名指しでドローンを商業的配送に利用することをを禁止した。

しかし、今回の人材スカウトを考えるとそうした否定的な見方には疑問符がつく。

スカウトされた重要人物

7月にAmazonは機械学習の専門家で、Bingの精度を劇的に改善したMicrosoftの研究者チームのリーダー、Paul ViolaをPrime Airのサイエンス担当副社長として採用した。LinkedInのページによると、ViolaはBingの広告チームも指導し、売上を大きく増大させるのに貢献したようだ。

もう1人の重要人物はPrime Airのシニア・マネージャーに採用されたAvi Bar-Zeev,だ。Bar-ZeevはGoogleが買収してEarthに作り変えたスタートアップ、Keyhole, Inc.の共同ファウンダーで、その後Microsoftでさまざまなバーチャル・リアリティーや拡張現実プロジェクトに関わった。また2013年には短期間だがAmazonに勤務して独自のタブレットの開発に協力した。それがPrime AirプロジェクトでAmazonに復帰した。

Prime AirはBoeingLockheed MartinMIT Space Propulsion Labから航空工学の専門家を採用している

またNASAの宇宙飛行士、Neil Woodwardもテクニカル・プログラム・マネージャーとして参加している。Woodwardはドローンの試験飛行、安全・リスク管理、許認可手続きなどを担当している。

Prime Air担当副社長のGur Kimchi(Googleが買収するまでクラウド・カーナビ・サービスのWazeの取締役だった)とPrime Airプロジェクトの共同ファウンダー、Daniel BuchmuellerFast Companyがプロフィールを掲載)も引き続きプロジェクトを指揮する。

腕力でスピードアップを狙う?

もちろんドローン配達がいつかは合法化されることになるのか不明だし、されるとしてもまだ長い時間がかかるだろう。しかしAmazonは断固としてプロジェクトを推し進める決意のようだ。

そのために、Association for Unmanned Vehicle Systems Internationalというドローンの利用促進を訴えるNPOの法律顧問だったGielowを公共政策チームのリーダーに据えてドローンの合法化運動を組織する準備を進めている。

また現在、Prime Airはシアトルとイギリスのロンドン、ケンブリッジで人材を募集中だ。これだけ力を入れているプロジェクトが単なるベーパーウェアとは考えにくいようだ。

アップデート: 8/20, 8 PM ET: Avi Bar-Zeevが自分のブログにこの記事に対するコメントをアップして、Amazon に復帰することを決めた背景を説明している。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+