ドローン飛行のリアルタイムリスク評価の提供を計画しているFlock

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とらえどころのない規制への対応や、最先端の技術を既存の社会基盤の中でなんとか利用しようとする挑戦に比べたら、エンジニアリングの問題はむしろ単純に見える。しかし、新たなスタートアップのFlockは技術と規制の交差点を単なる新たなビジネスチャンスとして捉えている。

ロンドンに拠点を置くこのビッグデータのスタートアップは、ドローンのためのリアルタイム定量化リスク分析を行うためのプラットフォームを構築している。この分析手法には都市環境から得られるデータに対するAIを用いた追跡の適用も含まれている。現在は英国市場に注力している。

同社は発見回避を行う対象検知システムを構築しているのではなく、都市環境におけるビルや人々、そして車に関するデータを気象データと共にライセンス提供し、それらをリスク評価プラットフォームに流し込むシステムの構築を狙っている。ドローンの飛行計画をリアルタイムに分析し、コスト/ベネフィット分析を行うのがソフトウェアのアイデアである。これにより、保険業者が保険料を設定したり、ドローン飛行業者が予定するフライトを実際に行うかどうかを判断する手助けが行われる。

これがFlockの最初に狙う製品である。それに続くものとしては、ドローン飛行スケジュールに対する予測評価を行い、ドローン飛行業者に対する「リアルタイムリスク削減」を行うために、都市データに対して機械学習アルゴリズムを適用することも狙っている。その予測はリスクを最小化したルートを快適に飛ぶ完全自律ドローンを助けるために用いることができるだろう。

「指定された期間に集められたデータソースからの全履歴データを分析できるような、信頼のおけるトレンド分析機能をシステムの中に構築することが狙いです。そして、都市がどのように活動しているのか、どのように息づいているのか、そして人々の動きと交通状況がどのように変化しているのかに対する、真に役立つ理解を得るのです」と語るのはCEOのEd Leon Klingerだ。

「そうすれば私たちは、内的な物流目的と外的なリスク評価の両方の観点から最適な、取るべき最良のルートと正確な運行時間を計算することが可能になりま。そこで、ドローンがインテリジェントに都市を飛行したり、その飛行計画を立案する際に必要な予測を定式化するために、私たちは機械学習を利用するのです」。

こうしたすべてのことは、まだこれからである。チームはまだ初期の開発を行っていて、Klingerの弁によれば、6カ月以内にMVP(Minimum Value Product=必要最低限の価値を提供できるプロダクト)を提供したいという考えである。それが立ち上がり、運用が始まったなら、保険会社ならびにドローン企業と提携し、試験的な運用を行うということが短期的な計画だ。なお一体どこから都市住民の動きデータを得ているのだろうと読者が考えているなら、実はまだそれは開示されていない。

スタートアップは昨年3月に設立され、これまでのところ、自前の資金やInnovate UKの複数のR&Dグラントを使って投資を続けてきている。現在はシードラウンドの準備中である。

競合に関して言えば、既に市場にはAirMapがいて4月には1600万ドルのシリーズAを達成している。そしてドローン業者たちに対して、いつどこを飛行すべきかの決定に役立つ空中状況を提供している。しかしKlingerによれば、AirMapの「静的な」地図に比べて、Flockは都市情報のリアルタイム分析に注力している点が違うと指摘している。保険会社とリスクアセスメントを対象としている点も、ここではちょっとした特徴となっている。

「4、5年のうちには世界中の自律ドローンの全てに埋め込まれているようになりたいですね。私たちは、都市と都市環境における一般的なコンテキストデータを提供し、ドローンの安全を保つ会社になりたいと思っています」とKlingerは語る。

「都市エリアでドローンが提供できることには巨大な可能性があります…都市には渋滞があり、大気汚染やスモッグがあります。もしそうした問題の一部を道路から空中に逃がしてやることができれば助かることも多いでしょう。さらにドローンによって膨大なデータや、都市エリアの空中写真なども収集することが可能ですが、(現在のところ)それは危険だという理由でとても難しいのです」と彼は付け加えた。

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(翻訳:Sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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