ニンジン除草機の(ロボット)キングを目指すVerdant Robotics

アグリテック(農業テクノロジー)は、ロボットによって破壊されたくてうずうずしている巨大な産業だ。さまざまな問題に対して多くの解決策が必要とされる大きなカテゴリーだが、近頃は多くの不正スタートが見られる。例えば、りんご収穫ロボットのAbundant Robotics(アバンダント・ロボティクス)は事業に行き詰まってしまったが、現在はその知的財産を買い取った企業が、エクイティクラウドファンディングを利用してブランドを復活させようとしているところだ。一方で、イチゴを収穫するTraptic(トラプティック)は、文字通り自ら外へ出て、垂直農法への応用を目指すBowery(バワリー)に買収された。

2018年にイーストベイで設立されたVerdant Robotics(ヴァーダント・ロボティクス)は、2019年に実施した1150万ドル(約13億円)のシリーズAを含め、これまでに2150万ドル(約25億円)の資金を調達している。かなり広い範囲に網を張っているように見える同社だが、まずはニンジンの収穫から始め、RaaS(サービスとしてのロボット)のビジネスモデルとして、選ばれた農家にシステムを提供している。

このようなビジネスモデルは、少なくとも初期の段階においては、これらのシステムにとって最も理に適ったものだと思われる。

Verdantのような企業にとっておそらく最も重要なのは、そのロボットシステムをできるだけ多く農場に持ち込み、実際にテストしたりデータを収集したりすることだろう。それには、販売するよりもレンタルした方がはるかに容易だ。特にこれはまだ初期の技術であるため、システムを実行する(あるいは少なくとも監視する)技術者が必要になるからだ。

この「自律型農場ロボット」は、散布とレーザー除草という2つの作業をこなしながら、AIを活用した作物モデルを構築し、植物が何を欲しているのかを、農家により具体的に伝えることができる。

「農家の方々からは、もっと多くのデータが欲しいわけではない、すでに持っている山のようなデータを使って何をすべきかを考えて欲しい、むしろそれをやって欲しいと言われました」と、Verdantの共同創業者兼CEOであるGabe Sibley(ゲイブ・シブリー)氏は語っている。「彼らが求めているのは、リアルタイムで行動を起こせて、農家が常に状況を把握でき、かつ収益性を向上させ、危険で骨の折れる現場作業を自動化することができる完全なソリューションです」。

同社は2021年の間に「数千時間」を費やしてきた「果樹園用の精密マルチアクションマシン」を、来年には本格的に商品化する計画を立てているという。

画像クレジット:Verdant

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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