ネット広告の効果をリアルタイムで測定する新技術

これまでDoubleVerify(ダブルベリファイ)は、詐欺行為を排除しブランドが安全に広告を出せる環境を整える企業として知られていたが、今週CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)で、広告の実際の効果を測定する新技術をローンチしたと発表した。

同社の最高マーケティング責任者であるDan Slivjanovski(ダン・スリブジャノフスキー)氏が私に話してくれたことによると、これまでマーケッターが広告の効果を測るには、「手早い簡単なツール」、つまりクリックスルーレート(クリックによって広告主のサイトに移動した率)やビューアブルタイム(広告が表示されている時間)のような「間接的なデータ」を見るか、キャンペーンが終わるのを待って実際に効果があったかどうかを確かめるしかなかった。

そこで、DoubleVerifyはこの2年間をかけて「広告がどれだけ首尾良く働いているかを予測するための最良の測定基準」をすでに取得してるデータを精査してきたのだと、CEOのWayne Gattinella(ウェイン・ガティネラ)氏は話していた。さらに彼は「ほとんどの場合、原材料はすでに存在しています。そこに本格的な投資を促すだけのビジネスケースがなかっただけです」と語る。

DoubleVerifyが新しく開発したAuthentic Performance(オーセンティック・パフォーマンス、確実なパフォーマンス)測定技術は、2つの大きなエリアに注目する。露出とエンゲージメントだ。露出には、広告のビューアブルタイム、画面に占める割合の合計、音声付きか否かなどの数々のデータポイントが含まれる。エンゲージメントは、人がその広告にどのように反応するかを見る。画面に触れたか、動画の調整を行ったか、画面の向きを変えたかなどだ。

次に、キャンペーンごとに、幅広いパフォーマンス指標と照らし合わせ、露出とエンゲージメントで、たとえば、広告費の比重の変更や、効果のない広告素材の引き上げなどで改善が可能な点を特定する。またDoubleVerifyでは、こうした測定基準を広告主の商取引データと照合して、実際に相関関係があるのかを確かめている。

「そうして最適化が可能になり、その情報に基づき、ほぼリアルタイムに行動を起こせます。これが結論です」とガティネラ氏。「単にキャンペーン後の結果を見るのではなく、単なる事後分析でもない。これはリアルタイムのマーケティング最適化なのです」。

DoubleVerifyは、今週の大規模なローンチに先立ち、米大手食品目カーのMondelez(モンデリーズ)など、一部の広告主の協力でAuthentic Performanceのテストを重ねてきた。これを利用するには、広告主は同社のAuthentic Impression(オーセンティック・インプレッション)技術も使う必要がある。ちなみにDoubleVerifyは、2017年に株式の過半数を投資会社のProvidence Equity Partners(プロビデンス・エクイティ・パートナーズ)に売却している。

「インプレッションのパフォーマンスを特定するためには、まずは質の高い環境にインプレッションを届ける必要があります」とガティネラ氏は言う。そして「それにより効果が積み上がるのです」と続けた。

画像クレジット:DoubleVerify

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(翻訳:金井哲夫)

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TechCrunch Japan

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