ノーコードのパブリッシングプラットホームShorthandが初めての資金調達で8億円相当を獲得

オーストラリアのスタートアップShorthandは、パブリッシャーやブランドがマルチメディアのストーリーを作れるノーコードのプラットホームだ。同社はこのほど、 Fortitude Investment Partnersから1000万オーストラリアドル(ほぼ800万米ドル)を調達した。

CEOのRicky Robinson氏はメールで、これはShorthandの初めての正規の資金調達ラウンドだ、と言っている。そしてしかも、同社は2年前から黒字だ。

Robinson氏はこう書いている: 「私たちは幸運にも、完全にインバウンドの口コミ的な成長でここまで来た。それは、私たちの顧客がShorthandで美しいコンテンツを作って、彼らの見込み客を作り出してきたおかげだ。今では、そのほかのチャネルもテストしてやや成功しているし、そういうマーケティング手法にもっと力をいれても良いタイミングだ。投資はそのために使いたいが、本来のプロダクトであるShorthandを、Webのストーリー発表技術の最先端に維持するためにも、重点投資が必要だ」。

顧客は、BBC、Dow Jones、ケンブリッジ大学、Nature、マンチェスター・シティFC、Pelotonなどだ。たとえばBBC NewsはShorthandを使って恐竜の化石を探すストーリーを作った。

ShorthandのWebサイトはストーリーテリングの美徳を賞揚している。とくに、読者がスクロールという単純な方法で自分の好きな遷移やエフェクトを作れることだ。Robinson氏によれば、そうやってストーリーに対話性を持たせ、エンゲージを誘える。しかも「対話の仕方を、読者にいちいち教える必要がない」。

上のデモビデオでお分かりのように、Shorthandは簡単なドラッグ&ドロップだけで別のテキストやメディアからの引用やエフェクトを加えられる。Robinson氏によると、Webflow やCerosなど他のツールと違って、Shorthandは編集者やライターが使うために設計されている。しかもShorthandはテーマやテンプレートをサポートしているが、彼によると、それだけでは十分ではない。

「ライターがWebデザインの草むらで途方に暮れたり、彼らに面倒なデザインツールを使わせたりしなくてもいいような、柔軟性が重要だ。注力すべきはストーリーのデザインであって、Webのデザインではない。Shorthandが他と比べて一味違うのは、まさにその点だ。また顧客が、エンゲージ力が高くて賞をもらえるようなコンテンツをオーディエンスのために一貫して作り続けられるのも、そのためだ」。

関連記事: 3 steps to ease the transition to a no-code company(未訳、有料記事)

同社によると、パンデミックの間はむしろ需要が増えて、2020年の最終四半期は利用が4倍に増え、今年の2月のサブスクリプション収益は前月比で8%増えた。

FortitudeのパートナーNick Miller氏は声明でこう述べている: 「このプラットホームは、強力な出力と単純性の両立がユニークだ。Shorthandの人気や、それでできるデジタルコミュニケーションの評判が口コミで広がるのも当然だ」。

関連記事: Digital design platform Ceros raises $100M(未訳)

(文:Anthony Ha、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Shorthand

[原文へ]

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。