ハイパースペクトル衛星画像提供するPixxel、衛星コンステレーションの打ち上げに向けて約31億円調達

軌道上から撮影する人工衛星画像は、新しい宇宙産業で注目されている分野の1つだが、それには(人間の)目に見えるもの以上のものがある。Pixxel(ピクセル)は、地球のハイパースペクトル画像を提供する衛星コンステレーションの打ち上げに向け2500万ドル(約31億円)を調達した。ハイパースペクトル画像は、通常のカメラでは見えないあらゆる種の細部を明らかにすることができる、より広いスライスの電磁スペクトルだ。

基本的に、地球を数キロ上空から見下ろすことができるということは、あらゆる可能性を提供する。しかし、研究室では基本的なデジタルカメラ以上のものが必要なのと同じように、軌道上の画像もまた基本的なもの以上が必要だ。

研究室でよく見かける別のツールが分光器だ。これは、物体や物質に放射線を当て、どの周波数がどれだけ吸収されたか、あるいは反射されたかを記録するものだ。すべての物には異なるスペクトルの特徴があり、例えば同じ鉱物の2つのタイプなど、密接に関連した物質であっても互いに区別することができる。

ハイパースペクトル画像は、これと同様の処理をカメラで行ったもので、宇宙からこれを行うことで、1枚の画像から地域全体のスペクトルの特徴を見つけることができる。米航空宇宙局(NASA)などの機関は、惑星観測のためにハイパースペクトルを使用しているが、Pixxelはこれまでの研究を基に、ハイパースペクトルをオンデマンドで提供する人工衛星コンステレーションを打ち上げようとしている。

Pixxelの衛星のCGレンダリング画像

創業者でCEOのAwais Ahmed(アウェイス・アーメッド)氏は、他の新興の宇宙産業と同様、小型化の技術力と頻繁かつ安価な打ち上げの組み合わせが、このビジネスを可能にしたと語る。アーメッド氏は、NASAのおかげであることを率直に認めたが、Pixxelは税金で開発された技術を単に再利用しているわけではない。EO-1ミッションとHyperionハイパースペクトルデータセットを初期の市場調査だと考えてもいい。

「Hyperionの解像度は約30メートル(1ピクセルあたり)ほどで、科学的な目的には最適です。しかし、5メートル程度まで下げないと、私たちがやっていることには意味がありません」とアーメッド氏は説明した。

Pixxelの衛星コンステレーションは、2022年後半の打ち上げ時には6機と決して多くはないが、約48時間ごとに地球の大部分で5メートルの解像度を提供できるようになる。すでに試験衛星がサンプル画像を送っており、来月には第2世代の衛星が打ち上げられる予定だ。量産型はより大きく、撮影画像の質と量を向上させるべくより多くの機器が内蔵されている。

アーメッド氏によると、テスト衛星から送られてくる画像だけでなく、最終的に提供されるデータに対して、すでに数十の顧客を抱えているとのことだ。これらの企業は、農業、鉱業、石油・ガス産業など、広大な土地の定期的な調査が事業にとって重要である場合が多い。

5メートルの解像度は、小さなスケールでは失われたり平均化されたりしてしまうような地形を捉えるのに有効だ。大陸をマッピングするのであれば、30メートルの解像度はやりすぎだが、湖の縁に有害な化学物質がないか、田畑が乾燥状態かどうかをチェックするのであれば、できる限り正確に把握したいと考えるだろう。

画像クレジット:Pixxel

ハイパースペクトル画像では、可視光線がメタンなどの排出物を通過したり、まったく異なる物質が同じような色に見えることから、より多くのことを明らかにすることができる。湖の端が黒く変色している場合、それは藻類か水面下の棚かそれとも工業製品の流出か、「青」と「紺」だけだと判断が難しい。しかし、ハイパースペクトル画像は、はるかに多くのスペクトルをカバーしていて、人間には直感的に理解しがたい豊かな画像を生成する。鳥や蜂が紫外線を見ることで世界の見え方が変わるように、1900ナノメートルの波長を見ることができれば、世界がどのように見えるのか、我々には想像するのは難しい。

このスケールを示す簡単な例として、NASAが提供するこのチャートは、3つの鉱物の波長0〜3000ナノメートルのスペクトルの特徴を示している。

Robert Simmon / NASA

見てわかるとおり、テーブルはたくさんのことを意味している。

「何百もの色を使って遊ぶことができるのです。特定の栄養素を含む土壌で、それが飽和状態なのか、そうでないのか見るのに役立ちます。ハイパースペクトル画像では、こうしたことが滑らかなスペクトルのわずかな変化として表れます。しかし、RGBでは目に見えません」とアーメッド氏は話した。

Pixxelのセンサーは、通常のカメラが赤、青、緑の3色しかとらえられないスペクトルを、数百の「スライス」として収集する。衛星はさらに有用なスライスをいくつか持っており、マルチスペクトル画像と呼ばれるものを作成している。しかし、何十、何百ものスライスを組み合わせると、より複雑で特性を伝える画像を得ることができる。上のチャートでは、スライスの数が多いほど、カーブの精度が高くなり、より正確である可能性が高いことを意味する。

軌道からのハイパースペクトル画像を追求している企業は他にもあるが、現在データを送信している稼働中の衛星を打ち上げた企業はなく、Pixxelが行っている5メートルの解像度とスペクトルスライスの範囲を達成した企業もない。そのため、この分野ではいずれ競争が起こるだろうが、Pixxelのコンステレーションは先陣を切ることになりそうだ。

「当社のデータの質は最高です。しかも、より安価な方法でそれを実現しています」とアーメッド氏は話す。「最初のコンステレーションを通じて資金を完全に調達しています」。

2500万ドルのシリーズAはRadical Venturesがリードし、Jordan Noone、Seraphim Space Investment Trust Plc、Lightspeed Partners、Blume Ventures、Sparta LLCが参加した。

調達した資金はもちろん衛星の製作と打ち上げに使われるが、顧客がゼロからハイパースペクトル分析スタックを構築する必要がないよう、Pixxelはソフトウェアプラットフォームにも取り組んでいる。今あるものを再利用するだけではダメだ。このようなデータは文字通りこれまでなかったものだ。そこでPixxelは「モデルや分析を組み込んだ汎用的なプラットフォーム」を構築しているのだと、アーメッド氏は語った。しかし、まだ公にできる段階ではない。

宇宙関連に付き物の不確実性にもよるが、Pixxelは2023年の第1四半期か第2四半期の運用開始が見込まれている。

画像クレジット:Pixxel

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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