ハイブリッドクラウドの管理サービスを提供するNutanixがリソース予測管理ツールなどを導入

Nutanixは2009年にストレージ企業として誕生したが、つねにコンピューティングの世界に対する広い視野を忘れなかった。社長のSudeesh Nairによると、ストレージでスタートしたのも、当時はレガシーのストレージがデータセンターの変化を阻んでいたからだ。今日(米国時間6/28)同社は、その最初のビジョンを超えた新たな一歩を踏み出し、ハイブリッドクラウドのためのより大きなオペレーティングシステムの一部になる、と同社が見なす二つの新しい製品を導入した。

その最初の製品は、災害復旧プロダクトXi Cloudだ。といってもNairによるとそれは、ファイル構造を別の場所へコピーするふつうの復旧サービスではなく、ファイルやライセンスなどあらゆるものを、適切なIPアドレスへコピーする。もし災害にやられても、スイッチを入れるだけですべてが再び正常に動き出す。そのときの必要なコンピューティングパワーは、Nutanixが提供する。

典型的な災害として、2012年のハリケーン・サンディが挙げられる。そのときはニューヨークとニュージャージーのデータセンターが水没した。しかしXiがあれば、企業はほんの数分でシステムを再稼働できただろう、とNairは言う。
 
結局はクラウドサービスのようだけど、Amazonとどこが違うのか? Nairはこう説明する: “XiはあくまでもNutanixのスタックであり、それを顧客がレンタルするのだ。パブリッククラウドのように聞こえるかもしれないが、Amazonと競合する気はない。うちに、そんな力はない。われわれが提供するサービスは、顧客が保有ないしレンタルするインフラストラクチャ上で、完全に不可視だ(存在を意識しない)”。

同社が今日導入するもうひとつのプロダクトは、Nutanix Calmという名前で、同社が昨年買収したCalm.ioがそのベースだ。このサービスは、ユーザーの典型的な利用パターンに基づいて、今後必要になるクラウドリソースを予測する。今日(こんにち)のパブリッククラウドツールに欠けている管理機能を提供してリソースのコントロールを可能にする、とNairは説明する。

これらのツールはいずれも、同社があえて‘ハイブリッドアーキテクチャのためのオペレーティングシステム’と呼んでいる幅広い機能集合の一環だ。“そのスタック全体がオーナーはうちだから、管理もうちなりにエレガントなやり方でできる”、と彼は語る。

彼はパブリッククラウドのパワーを認めており、彼らと戦う気はない。彼は、別の立ち位置にいる。“オンプレミスの体験がパブリッククラウドに比べて相当悪ければ、単純にそっちへ行けばよい。しかしその前に問うべきは、今保有ないしレンタルしているインフラストラクチャ上のまあまあの体験を、もっと良い体験にすることはできないのか?、という問いだ”。

一部のリソースをパブリッククラウドに置き、残りをオンプレミスに置く、ハイブリッド形式は今後も存続する、とNutanixは信じている。そして当分のあいだそうであるのなら、その環境をできるかぎり効率化したいというニーズも必ずある。

ハイブリッドクラウドアーキテクチャの管理という、本質的に複雑な課題を、企業が意識せずにすむようになれば、これからの新しいことにも取り組めるだろう。だからNutanixが今日導入したプロダクトも、彼らにとって、何かもっと大きなことのスタートになりえるのだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。