ハワイ料理「ポケボウル」を出前するPoke Houseが5カ国での事業拡大に向け26億円調達

フードテック業界は事実上、ファストフードに進出し始めている。例えば米国のSweetgreen(スイートグリーン)は、ヘルシーな「ボウルフード」を提供する「ファストカジュアル」なレストランチェーンだ。同社はこれまで4億7860万ドル(約517億5000万円)を調達している。似たような会社に「Sweetfin」がある。どちらもバックエンドに多くの技術を採用し、効率化を図っている。

ヨーロッパ発のスタートアップPoke House(ポケハウス)は出前プラットフォーム向けに、もとはハワイ料理である「ポケボウル」の調製を能率的に工業化してこの分野に切り込もうとしている。Poke Houseは、マリネした魚を一口大の角切りにして、ご飯、ピクルス(訳註:欧米のポケボウルには洋風ピクルスがのっていることも多い)、好みの野菜などと合わせたボウルフード(丼もの)を専門としている。

Poke Houseはこのたび、Eulero Capitalが主導したシリーズB資金調達ラウンドで、FG2 Capitalの支援とMilan Investment Partners SGRの再投資を受け、2000万ユーロ(2400万ドル、約26億円)を調達した。同社はUber Eats(ウーバーイーツ)などのメジャーなフードデリバリープラットフォームを介して、技術とデータを使い製品の生産と配送を最適化している。イタリア生まれの同フードテックスタートアップは、2年以内に「1億ユーロ(約130億円)以上の企業」を作り上げたと主張している。

Matteo Pichi(マッテオ・ピキ)氏とVittoria Zanetti(ヴィットリア・ザネッティ)氏によって設立されたPoke Houseは、イタリア、ポルトガル、スペインに30以上の店舗を展開しており、現在400人の従業員を擁する。2021年には4000万ユーロ(約52億円)以上の売上を見込んでいるという。

今回の資金調達により、同社は既存市場での新規出店、フランスへの進出、英国での展開を開始する予定だ。

Poke Houseは、バックエンドに多くの技術を活用することで、サプライチェーンのあらゆる要素を追跡してビジネスを最適化しているという。また、Deliveroo(デリバルー)、Glovo(グロボ)、Uber Eatsなどのようなサードパーティのデリバリープラットフォームのデータを分析し、料理の準備時間を10分以下に、そして配達時間は25分以下にすることを目指している。

共同創業者のピキ氏は次のように述べている。「パンデミックの影響で、食品業界はチャレンジに直面しています。当社は、従来のレストラン体験を革新し、デジタル化するためには、テクノロジーが有効であると考えています。人々のニーズが、ヘルシーなファストフードへとシフトしているのを我々は目の当たりにしています。ポケボウルはこの新しいニーズに合致しており、近くから配達される、手軽で健康的な食事オプションを提供することで、よりバランスのとれたアクティブで持続可能なライフスタイルを促進します」。

ピキ氏はTechCrunchの取材に対し、こう付け加えた。「当社の競合相手は、米国で急成長しているSweetgreenやSweetfinのようなヘルシーコンセプトです。しかし同時に、我々はラッキーだと思っています。なぜなら、当社はフードデリバリーのエキスパートや元従業員によって100%構築された最初のブランドの1つだからです。次の競合相手は、データ分析やデジタルブランド構築に非常に強い、ネイティブバーチャルブランドになるでしょう。当社はフードデリバリープラットフォームをメディアプラットフォームとして利用しており、競合他社よりもそのチャンネルへの投資を多額にしています」。

Eulero Capitalの創業パートナーであるGianfranco Burei(ジャンフランコ・ビュレイ)氏は、次のように述べている。「Poke Houseのビジネスモデルは、食品分野の主要なトレンド(フードテック、ヘルシーフード、デリバリー、カスタマイズ)に乗っており、同社を欧州のトッププレイヤーに位置づけるための特徴と人材をすべて備えています。今後数年間の経済、テクノロジー、社会の発展を特徴づけるマクロトレンドに含まれる企業を探すという当社の投資戦略に沿っており、革新的で将来性のあるプロジェクトであるPoke Houseのパートナーになれることを嬉しく思います」。

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カテゴリー:フードテック
タグ:フードデリバリー 資金調達

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TechCrunch Japan

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