ハンバーガーのパテを自動でひっくり返すAI調理ロボットFlippyのデザインが新しくなった

世界で最も人気の調理ロボFlippyの開発元であるMiso Robotics(ミソ・ロボティクス)は、バーガーをひっくり返したり、フライドポテトを揚げたりするロボットのデザインを新しくする。

ロボットアームの据付けデザインを一新し、キッチンの床から伸びるのではなく、調理を行う場所の上にあるフードから伸びるようになっている。

デザインが新しくなったFlippy。フライステーションの上部に据え付けられている

同社はマクドナルドやバーガーキングといったファストフードレストランにこのロボットシェフの設置を開始しようとしている。デザインの一新はスペースの節約や効率化アップが目的だ。

今回の動きは、Miso Robotics以外のスタートアップも、ピザからバーガーまで調理のオートメーション化を試みている中でのものとなる。野心的なピザ調理用ロボットメーカーのZume(ズーム)は最近、従業員の多くを解雇しなければならなかった。バーガーの調理をオートメーション化しているレストラン、Creatorは立ち上げから2年経つが、まだサンフランシスコ1カ所でのみの展開に留まっている。

それとは対照的に、Flippyは現在、ドジャースタジアムとアリゾナ・ダイヤモンドバックス・チェイススタジアムで使用されており、さらにMiso Roboticsに投資しているCali Groupが支援するレストランでも導入が進んでいる。

投資に関していえば、ソーシャルメディアでプロモーションビデオが10億回超視聴されているのを原動力にして、Miso RoboticsはSeedInvestでクラウドファンディングキャンペーンを展開している。そこで3000万ドル(約33億円)を調達できるかもしれない。

Miso Roboticsの共同創業者でテクノロジー責任者のRyan Sinnett(ライアン・シネット)氏は、新デザインがファストフードレストランでの導入を後押し、このファストフード業界で問題になっている人手不足の解消に役立つかもしれないと考えている。

「新しいデザインで、業界は食材コストや労働コストを節約し、店舗の効率を高めることができる」とシネット氏は話した。「このロボットの導入が、いかに利益率の改善に貢献するかをアピールしたい」

シネット氏によると、最終的にはロボットをレストランに無料提供し、使用料を徴収する方式を目指す。ロボティクス・アズ・ア・サービスのモデルはすでに物流業界で人気だ。オートメーション化を進めることで倉庫は利益率を改善しているが、これまでのところレストラン業界にロボットはそれほど浸透していない。

Flippyの新デザインは今のところまだプロトタイプで、カリフォルニア州パサデナにあるMiso Robotic本社内のテストキッチンでフライドチキンやオニオンリング、ポテトフライを調理している。シネット氏は、ロボットは今後認証を受け、2020年後半にも提供されるという。

同社はすでにCaliburgerと初の契約を交わしている。Caliburgerはバーガーをひっくり返すロボットを使った事業が今後5年間で1100万ドル(約12億円)規模になると見込んでいる。

「この新デザインはキッチンの80%に導入できる」とシネット氏は話す。「キッチンで料理することは何を意味するのかを考えながらシステム全体をデザインした」

Flippyは何を調理すべきかを確認する視覚の問題、そして異なるメニューのアイテムにどう優先順位をつけて対応するのか、複数のオーダーの対応といったスケジュールの問題も解決する、とシネット氏は話している。

画像クレジット: Miso Robotics

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。