バイオプログラミングツール開発のAsimovが、アンドリーセン・ホロウィッツから470万ドルを調達

バイオテックは、今日のテクノロジーの沢山のホットフロンティアの1つだが、他の分野に比べて、従来のコンピューティング技術では扱いにくいことが特徴だ。MITの研究から生まれたAsimovと呼ばれる新しいスタートアップは、デジタルとバイオロジーのギャップを、コンピュータ支援生物デザインツールを作って埋めようとしている。それは、シード資金調達で470万ドルもの資金を集めた先見性のあるアイデアだ。

Asimovが取り組む問題は次のようなものだ。例えば、読者が必要量の薬剤を運び、特定の物質を検知したらその薬剤を放出するような、小さな生体適合性のある機械を作ろうとしている製薬会社だとしよう。

それを実現するためには、膨大な考慮事項の中でも、いわば分子レベルで動作する論理ゲートと信号プロセッサをデザインしなければならない。これは気力が萎える目標である。通常分子機械を作ることは労働集約的なプロセスだからだ。所与の構造の何千ものバリエーションを作成し、繰り返してそれらをテストしてどの分子が使えるかを調べなければならないのだ。

Asimovの革新性は、使いやすいツールと技法を用いて、上で述べたような生物学的回路を作り出すことを可能にすることだ。実際、彼らはあたかもシリコンと銅で同様の回路を作るときに用いるようなツールを使用している。

Asimovの創業者たち ―― MITのAlec Nielsen、Raja Srinivas、Chris Voigt、そしてDoug Densmore ―― が生み出したこの技法は、従来の回路の論理と構造を、生体内に注入され内部で複製されるDNA鎖へと変換する。そして細胞内で通常と似たタイプの計算(例えばXORなど)を実行するのだ。

内蔵された保護機能が、分子レベルでのエラーを防止する。例えばある構造と別の構造が近付き過ぎたことによって引き起こされる構造的問題などだ。このためこの技術の創始者たちは、このプラットフォームは利用者がデザインした回路が動作するかしないかを90%の精度で判定できると主張している。

ある程度の技術的詳細は、昨年出されたこのMITのニュースリリースや、より最近投稿されたNielsenのブログ記事で読むことができる。

別の記事では、アンドリーセン・ホロウィッツのゼネラルパートナーであるVijay Pandeが、投資対象にふさわしい理由として以下のように述べている:

Asimovのアプローチで、高精度シミュレーション、回路構築ブロックを使用することで、生体回路の開発を大幅にスピードアップすることができます ―― コストを削減し、洗練度と複雑さを大幅に向上させることができるのです。

私たちはまだ「トランジスタ段階」にいます。ということで現時点では細胞の中の回路として、現代的なマイクロプロセッサの完全な複雑さを実現できる段階には至っていません。しかしこのテクノロジーに大幅な進歩をもたらす、沢山の初期アプリケーションが存在しています ―― 初期のマイクロプロセッサが、シンプルなものでありながらも、劇的な実現技術となったように。

同社は、今回の資金調達により「迅速に規模を拡大し、さまざまな分野の顧客と連携することが可能になります」とプレスリリースで述べている。

「私たちは、バイオテックが着実に完成したエンジニアリングへと成長する中で、Asimovを生物学的計算のデザインのための、頼れるリソースとするべく奮闘しています」とNielsenは書く。「個人的には、いつかこの技術が、私たちの疾病治療能力を高め、クリーンで持続可能な製造業を助け、増大する”私は個人的には、この技術が病気を治す能力を向上させ、清潔で持続可能な製造を可能にし、増加する世界の人口を養う助けとなることを願っています」。

[原文へ]
(翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。