パンデミックで需要が高まるeコマースプラットフォームのNacelleがシリーズAで18.7億円調達

新型コロナウイルス時代に消費者がオンラインショッピングに向かったことは多くのウェブストアに思いがけぬ追加収入をもたらした。同時にこのトレンドは、eコマースサイトのショッピング体験をスムーズにし運営の効率化を支援するデベロッパーツールのマーケットにも新たな活気を吹き込んだ。

パンデミックの中、ロサンゼルスを拠点としてeコマースのインフラストラクチャーの提供を目指すNacelleは投資家から注目を集めているスタートアッップの1つだ。

ウェブサービス企業はいわゆる「ヘッドレス」プラットフォームを構築して、ショッピングサイトのフロントエンドとバックエンドが対話する中間過程を改良することによりシステムの効率化を図る。Nacelleのテクノロジーを利用するデベロッパーはサイトのパフォーマンスを向上させるだけでなく、スケーラビリティをアップし、ホスティングのコストを節約させ、より洗練されたショッピング体験を提供できるとしている。

NacelleはこのほどInoviaがリードしたシリーズAのラウンドを完了し、1800万ドル(約18億7000蔓延)の資金を調達した。投資家にはAccomplice、Index Ventures、High Alpha、Silas Capital、Lerer Hippeauが参加している。同社は2020年半ばに480万ドル(約5億円)のシードラウンドを実施したばかりだ。わずか半年後にシリーズAが実施されたわけで、この速いペースはeコマース事業に対する投資家の関心が大きく高まっているいるのだろう。

同社のCEOである Brian Anderson(ブライアン・アンダーソン)氏は TechCrunchの取材に対し、「小売業が新型コロナ下でも好成績を上げていることは秘密ではない。表面に見えにくいビジネス構造の変化は新型コロナによる一時的なものではないと私は考えています。同時に(ショッピングサイトを運営する)マーチャント側ではパフォーマンスの改良にいっそう力を入れています」と述べた。

Nacelleが努力の中心としているのは 消費者に過度の負担をかけることなくとなくスムーズにプラットフォームに引き入れることだ。アンダーソン氏は「これまでは自社内の他のサービスのデータを統合することが苦痛をもたらすリスクがありました」と指摘する。Nacelleのサービスは「リッピング・アンド・リプレース」の防止を目指している。同社のテクノロジーは顧客が複数のサービスを統合しようとする場合、データをすべてコピーてして「まったく新しいシステムを再構築する」必要をなくすことが目的だ。

同社のユーザーは主にeコマースサイトを持つ中小規模の小売業だ。Nacelleは、顧客獲得のために代理店と緊密に提携しており、ShopifyPlusの代理店を運営していた時代に培ったアンダーソン氏の人脈も利用している。

消費者はショッピングを実店舗をeコマースへとシフトさせてきたが、2020年8月にIBMが発表したU.S. Retail Indexのデータによると、パンデミックはこのシフトを一気に過去5年分推し進めたという。

関連記事
ヘッドレス電子商取引プラットフォームのNacelleが約5.2億円を調達
新型コロナパンデミックで米国におけるeコマースへのシフトが5年分加速

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Nacelleeコマース資金調達

画像:jayk7 / Getty Images

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。